監修者:大隅識文
株式会社IPPO共同創業者/取締役
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オフィス移転をスムーズに進めるためには、全体像を把握し、的確に優先順位をつけながら、社内で連携して進めることが重要です。
本記事では、オフィス移転に際して総務部が担当するタスクを時系列で、優先順位を考慮しながらご紹介します。社内で連携をとりながら、スムーズにオフィス移転を完了させる手がかりとしてご参照ください。
この記事の目次
オフィス移転に伴うタスクの概要と優先順位
オフィス移転が決まったら最初にすべきことは、全体のスケジュールを把握し、タスクを整理することです。オフィス移転に伴うタスクは、大きく次の3つに分類できます。
- オフィスビルとの契約関連のタスク
- 原状回復や引越しに関わる業者とのタスク
- 自社内で対応するタスク
それぞれのタスクの具体例をまとめたものが以下の表です。
契約関連のタスク | 業者との必要なタスク | 自社内で対応するタスク | |
---|---|---|---|
旧オフィスのタスク | ・旧オフィスの解約 ・電話番号変更申請 ・通信設備の解約もしくは契約変更 | ・旧オフィスの原状回復工事 ・オフィス家具やOA機器の解約や契約変更手配 ・引越しの手配 ・廃棄物の収集 | ・引越し準備 ・オフィス移転に伴う資料作成や社内周知 |
新オフィスのタスク | ・新オフィスの契約、保証金の支払い ・各種届出(移転申請・住所の変更・転送手続きなど) ・健康診断のための病院契約 | ・レイアウトの作成 ・内装工事の手配 ・電気や空調設備関連の工事 ・オフィス家具やOA機器の選定と発注 ・内線番号の振り分け依頼 ・名刺、封筒など社外向け印刷物の発注 ・新社員証の作成 ・ホームページの住所変更 ・オフィス移転の挨拶状作成 | ・新オフィスの館内規則確認 ・社内マニュアルの整備 ・新社員証用の写真撮影手配 ・通勤定期券の変更 |
オフィスビルとの契約関連のタスク
最も優先順位が高いタスクは、オフィスビルとの契約関連のタスクです。
契約ミスがあれば自社だけでなく取引先や顧客にリスクをもたらす可能性もあるため、慎重かつ迅速な対応が求められます。
ただし相手先によっては移転が近くなるまで手続きできないこともあります。
契約のタイミングを把握する上でも、あらかじめ手続き先にオフィス移転の時期について打診しましょう。
手続きのタイミングや必要な書類についてもタスクの優先順位やスケジュールを見ながら、確認しましょう。
業者との必要なタスク
業者の必要なタスクは、業者やオーナーの都合により、自社のスケジュール通りに進行しないことがあります。
また依頼する際は、複数の業者から見積りをとり、契約内容やサービス料金を比較検討することも大切です。
自社内で対応するタスク
企業規模が大きくなるほど総務部が自社内で行うべきタスク量は増えます。
住所変行に伴う、社員の交通費の変更手続きが必要です。
手配が遅れれば、過不足分の修正や支払い、返還といった対応が必要になるため、注意が必要です。
また新オフィスの建物全体のルールや入退館のルール、駐車場の利用方法といった規則の周知徹底も、総務部の重要な業務です。
社内周知が十分できていない場合、新オフィスでのトラブルの原因になるため、ご注意ください。
総務部にしかできないタスクは可能な限り、社内全体に周知しながら、総務部以外の部署に役割分担することが大切です。
総務部では各部署の作業進捗を把握すれば良いような仕組みを作ることは、総務部の負担を減らし、優先すべきタスクに的確に対処するために欠かせません。
オフィス移転に伴うタスクを整理しましょう
オフィス移転が決まったら、移転スケジュールに紐づいたタスクを整理します。
移転スケジュール上で考慮すべきタスクを、確認しましょう。
今回は移転4ヶ月前、3ヶ月前、1ヶ月前の3つのポイントで解説します。
オフィス移転4ヶ月前までのタスク
オフィス移転4ヶ月前までに済ませるべきタスクには、次のようなものがあります。
- 移転先オフィスの契約手続き
- 移転先オフィスの契約金支払い
- 原状回復の見積り
- 原状回復の日程調整
- 現在のオフィスの解約手続き
- 移転先オフィスのレイアウト作成
- 移転先オフィスの内装工事見積り
これらのタスクについて、現在のオフィスでおこなうべきタスクと移転先オフィスでおこなうべきタスクに分けて、解説します。
オフィス移転スケジュール上では、現在のオフィスと移転先オフィスのタスクを、同時進行で進めてください。
現在のオフィスに関するタスク
移転先オフィスの契約が済み、移転日が決まったら、現在のオフィスの原状回復の手配をスタートします。
賃貸オフィスの場合、契約解約に際して、あらかじめ管理会社へ予告する必要があります。
予告のタイミングは「解約希望日の6ヶ月前」が一般的です。
旧オフィスと新オフィスの賃貸契約が重複する期間が長くなるほど、新オフィスと旧オフィスと二重に賃料がかかるので、経費負担が増えます。
新オフィスが決まったらすぐ旧オフィスの解約手続きを行いましょう。
同時に原状回復に伴う工事金額の見積りを取ります。
どの程度まで原状回復が必要なのか、現在のオフィスの管理会社と相談の上、検討しましょう。
日程が調整でき次第、現在のオフィスの解約手続きを行なってください。
移転先のオフィスに関するタスク
移転先オフィスの内装工事の手配は、契約完了し保証金の支払いが済み次第、すぐに着手しましょう。
内装工事は建物の構造や築年数、工事の内容によって時間を要します。
特に電気の配線や空調といった配管工事を伴う場合、時間がかかるため、早々に着手することが大切です。
移転先オフィスの内装工事については、複数業者から見積りを取って比較検討しましょう。
アフターフォローのサービスが万全な内装会社を選ぶと、入居後のトラブル時にも対応依頼できるため、安心です。
オフィスのレイアウトを作成する際は、デスクや棚、ソファのような大型の家財のみならず、電子機器の配置場所も考慮しましょう。
電源の配置によっては、想定した場所にオフィス機器を配置できないことがあります。
電気の配線工事で対応できる可能性もありますが、建物の構造などの条件があり、必ず理想通りになるとは限りません。
誤った電気の使用方法は事故の危険に繋がるため、考慮が必要です。
しかしオフィスでの作業効率低下を避けるため、気軽に相談できる内装会社を選ぶことが、快適なオフィス作りのポイントといえます。
オフィス移転3ヶ月前のタスク
オフィス移転3ヶ月前までに済ませるべきタスクには、次のようなものがあります。
- リース機器の契約確認
- 電気、空調の工事
- 移転先オフィスの館内規約の確認
- 移転先オフィスルールの計画・協議
- 移転先オフィスルールの社内周知資料の作成
- 移転先で使用する社員証の作成
- 通勤定期券の変更
- 健康診断に伴う近隣病院との契約
移転3ヶ月前は、移転先オフィスで迅速に業務が開始できるように事前準備が必要です。
総務部しか対応できない業務も集中するため、入念に確認しましょう。
総務部でのタスク
移転先のオフィスで全社員がスムーズに業務開始できるように、施設ルールや社内ルールを取りまとめ、共有するための準備を行います。
同時に新しい社員証の手配も必要です。
外注の場合、新しい社員証が間に合わないといった事態を避けるために、あらかじめ手配しましょう。
また移転先オフィスと現在のオフィスが離れている場合、交通費の変更手続きなども行なっておくと、オフィス移転後の業務負担やタスクが軽減でき、混乱を防げます。
業者が伴うタスク
移転先オフィスですぐに業務を再開できるように、オフィス機器のリース契約手配すると同時に、工事の進捗を確認しながら、スケジュールやタスク調整を行います。
古い建物の場合、工事の最中に古い建物に特有のイレギュラーな要件が発生し、工事日程に遅れが生じることもあります。適宜進捗を確認してください。
オフィス移転1ヶ月前のタスク
オフィス移転1ヶ月前までに済ませるべきタスクには、次のようなものがあります。
- 新オフィスルールの社内共有
- オフィス移転作業の社員への周知
- 引越し業者との打ち合わせ
- 電気、通信関連の契約変更
- 郵送物移送の手続き
- オフィス移転に伴い発生する廃棄物の処理についてビルの管理者とのすり合わせ
- 取引先や顧客への通知
社内におけるタスク
オフィス移転間近では、全社をあげた協力体制を整えることが大切です。
社員それぞれがオフィス用品や私物の移動に伴う準備を滞りなく進められるよう、繰り返し周知するとともに、移転当日はどのような流れで進めるのか、を共有しましょう。
各部署の所属長を中心としたチーム制にして、物品の搬出や所有者が不明な私物の管理を一任することで、総務部の負担が大幅に軽減できます。
移転先オフィスのレイアウトや作業動線も再確認しましょう。
見落としがあっても、移転1ヶ月前に対応できれば、当日までに軌道修正できる可能性があります。
対外的なタスク
オフィス移転1ヶ月を切る頃には、電気通信関連の契約変更や、郵便物の転送手続きといった、契約関連の手続きが必要です。
手続きに誤りがあると、取引先や顧客に迷惑をかける可能性があります。諸手続きは漏れなく、慎重に行なってください。
取引先や顧客宛のオフィス移転の通知の発送手配も移転1ヶ月前までにに行います。
オフィス移転中は、引越し業者の出入りが頻繁になる、大量の廃棄物を処理するなどオフィスの利用者や管理会社には迷惑がかからないように最大限の配慮を施しましょう。
またオフィス移転後も原状回復工事の騒音対策が必要です。
最後までトラブルなしにオフィス移転を完了させるために、現在のオフィスの利用者や管理会社への心配りを欠かさないよう、ご留意ください。
オフィス移転で失敗しないタスク実行のポイント
オフィス移転で失敗しないためには、総務部が中心となってタスクの内容と着手するタイミングを的確に把握することが大切です。
- タスクの可視化
- タスクは必要に応じて共有
- 外注が必要やタスクは早めに着手
タスのは可視化
オフィス移転スケジュール上で必要なタスクをピックアップしましょう。
オフィス移転のスケジュールはタスクの可視化でより精度の高いスケジュールとなります。
スケジュールと連携することで、タスクの見落としやスケジュールに組み込み忘れる事態を避けられます。
タスクは必要に応じて共有
オフィス移転スケジュールを元に可視化したタスクは、総務部で共有しながら、必要に応じて全社にも共有範囲を拡大します。
ただし極端に早いタイミングで社内共有しても、浸透しない可能性があります。
1ヶ月前程度を目処に、繰り返し情報共有の機会を持ち、協力を得てください。オフィス移転をスムーズに進めるためには、全社で体制を整えることが大切です。
総務部だけで奔走しても、思うように進みません。
総務部の指揮のもと、全社員の協力を仰ぎましょう。
業者が必要やタスクは早めに着手
契約に係るタスクや業者が必要なタスクは事前に取り組みましょう。
事前打ち合わせや相談、見積りには時間がかかります。
また、希望するスケジュールで進行するとは限りません。
契約に係る事項はあらかじめ必要な書類や、契約完了までに要する日数を確認しましょう。
業者に依頼する際も、必ず複数者から見積りをとって、比較検討しておくことが大切です。
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監修者
株式会社IPPO 共同創業者 取締役 大隅識文
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年株式会社IPPO(イッポ)を設立。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業までオフィス移転取引社数は500社以上、うち居抜きオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。オーナーとの関係性も非常に良く、居抜きオフィス移転の実務を知り尽くした、きめ細かなサポートに、オーナー・顧客からの信頼も厚く、リピートが絶えない。
執筆者 ハイッテ編集部
株式会社IPPO全般のマーケティングを担っています。ハイッテの運用のほか、オフィス移転事例や賃料相場、オフィス調査なども行なっております。