監修者:大隅識文
株式会社IPPO共同創業者/取締役
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オフィスの居抜き退去とは、内装や造作、什器や家具をそのままにして退去する移転方法です。
退去するテナントは、原状回復費用や廃棄費用を削減できます。
本記事では、居抜きでオフィス・事務所を退去する際のポイントを解説します。
この記事の目次
オフィスの居抜き退去はオーナーの許可が必要
居抜きでオフィス・事務所を退去する際、一番始めにやらなくてはいけないことは、貸主(オーナー)から居抜き退去の承諾を得ることです。
通常、特約がない限り全ての賃貸オフィス物件で原状回復義務があります。
そのため、先に次の入居テナントを見つけてきても、貸主(オーナー)から承諾を得られなければ、居抜き移転はできません。
極稀に、居抜きの入居・退去を前提としたオフィス・事務所もありますが、契約内容が煩雑になる懸念などから居抜きを許可していない貸主(オーナー)もいらっしゃいます。
必ず最初に貸主(オーナー)の承諾を得てから動きましょう。
居抜き退去の事前準備
オフィス・事務所を居抜きで退去する場合、スムーズに進めるための事前準備が必要です。
後手に回ってしまうとトラブルになりかねないため、スケジュールを把握した上で準備しましょう。
賃貸借契約書の確認
オフィス・事務所の移転をする際は、入居・退去時共に賃貸借契約書の内容をよく確認することが大切です。
内容を理解し、納得した上で契約を結びましょう。
居抜きで退去する際に確認すべき項目を紹介します。
●解約予告期間
賃貸借契約書で解約予告期間を確認します。
オフィス・事務所の場合は3〜6ヶ月前の解約予告を義務付けている物件が多いため、移転検討の最初の段階で確認が必要です。
解約予告の方法は、賃貸借契約書に記載されている場合はそれに従います。
期間満了で解約する場合も解約書の提出がない場合自動更新となるケースがあるため、注意しましょう。
●原状回復範囲
賃貸借契約書で原状回復の範囲を確認します。
入居する際に交わした賃貸借契約書に原状回復の範囲が記載されており、通常それに従って原状回復をした後、物件を引き渡します。
居抜き退去が認められた場合、原状回復義務は次に入居するテナントへ引き継がれます。
後継テナント探し
次に入居する借主(テナント)を以下の方法で探します。
- 居抜きオフィス移転サイトに退去予定のオフィス・事務所を登録する
- SNSで募集する
- 居抜きオフィス移転専門の仲介会社に依頼する
貸主(オーナー)に居抜き退去の承諾を得る際、併せてインターネットへの掲載可否を確認します。
許可なく専門サイトやSNSへ掲載すると、トラブルに繋がる可能性があるため注意しましょう。
居抜き退去は、原則原状回復工事発注までに後継テナントを見つけなければなりません。
後継テナントが見つからない場合、居抜き退去不可となることがあるため貸主(オーナー)に確認しましょう。
円滑に居抜き退去するために大切なポイント
居抜き退去する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
オフィスを綺麗に利用する
オフィスは貸主(オーナー)から貸してもらっているという意識を常に持ち、綺麗に利用することが大切です。
居抜き退去をした後クリーニングが実施されるとはいえ、居抜きで退去することによって次回原状回復工事をするまでの期間が延びるため、貸主(オーナー)にとっては貸室内が汚い、著しく劣化した状態ではオフィス・事務所の価値が下がってしまいます。
また、貸室内が綺麗ではない場合、後継テナントを見つける際にも影響が出ます。
居抜き入居候補のテナントが内見をした際、入居したいと思ってもらうためにも、貸室内は綺麗に利用しましょう。
原状回復工事の見積もりを事前に取得しておく
居抜き退去をする場合も、できる限り早い段階で原状回復工事の見積もりを取得します。
居抜きで退去した場合、原状回復義務は次に入居するテナントへ引き継がれます。
そのため、次に入居するテナントに原状回復工事費はいくら掛かるかを伝えなければなりません。
ただし、次に入居するテナントが追加内装を入れた場合や、原状回復工事の相場が変わる可能性があるため、あくまで目安という点に注意しましょう。
原状回復工事の発注のタイミングを確認しておく
居抜き退去ができなかった場合を考慮し、原状回復工事の発注期限を確認します。
通常、オフィス・事務所物件は契約満了までに原状回復工事を完了し明け渡さなければなりません。
つまり、原状回復工事の発注期日=居抜きで契約できる期日となり、後継テナントが期日までに見つからなかった場合は原状回復工事義務が発生します。
譲渡リストを作成しておく
譲渡リストをできる限り詳細に作成します。
リストを作成する際は、メーカー名や品番、個数や購入日などを記載し、画像を添付するとトラブルを防ぎやすくなります。
また、リース品やレンタル品の有無の確認も忘れないようにしましょう。
リストを詳細にわかりやすく作成することで、譲渡予定の物が不足していたり、不要な物が置いてあるなどのトラブル回避に繋がります。
造作譲渡契約書の内容を事前に確認しておく
造作譲渡契約と賃貸借契約の前に、必ず契約書の内容を確認しましょう。特に気をつけるべきポイントは以下です。
- 原状回復義務は継承されているか
- 設備の所有権の所在は誰にあるか
原状回復義務が継承される旨や造作譲渡に伴う設備などの所有権の所在を明確にしなければなりません。
また、譲渡する設備に故障や不具合があった場合、大きな事故に発展する可能性があります。
そのため、書面に原状回復義務の継承や設備の所有権の所在を明確に記載することで、万が一の事があった際に対処しやすくなります。
可能であれば、弁護士によるリーガルチェックを経た後に契約を結びましょう。
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監修者
株式会社IPPO 共同創業者 取締役 大隅識文
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年株式会社IPPO(イッポ)を設立。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業までオフィス移転取引社数は500社以上、うち居抜きオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。オーナーとの関係性も非常に良く、居抜きオフィス移転の実務を知り尽くした、きめ細かなサポートに、オーナー・顧客からの信頼も厚く、リピートが絶えない。
執筆者 ハイッテ編集部
株式会社IPPO全般のマーケティングを担っています。ハイッテの運用のほか、オフィス移転事例や賃料相場、オフィス調査なども行なっております。