監修者:大隅識文
株式会社IPPO共同創業者/取締役
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「オフィス移転ってどのくらいの面積に引っ越すのが適切なの?」と思っていたり、悩んでいたりしませんか?
そこで今回は、一人当たりに必要なオフィス面積について、普段スタートアップのオフィス仲介を支援しているIPPOが紹介していきます。
本記事を読んでオフィス移転に必要な面積を理解しましょう。
この記事の目次
オフィス移転場所を選ぶ基準とは?
オフィス移転の際、「どこのエリアに移転するのか」は重要なファクターになります。
エリアを選ぶ際の指標は様々ありますが、エリアが持つイメージが会社にも紐付いたり、採用のしやすさにも影響を与えます。
今回はそんな移転の際のエリア選定基準に関して説明させていただきます。
最寄り駅からの距離
住宅の場合もそうですが、最寄り駅から近いところという条件は魅力的ですよね。
社員が通勤しやすいのはもちろん、取引先の来社のしやすさ、営業の行きやすさも関係してきます。
また、東京駅や新宿駅などのターミナル駅へのアクセスのしやすさも重要なポイントです。
駅からの距離は、近ければ近いほどビジネスはしやすくなります。
賃料の価格(坪単価)
エリア選定は賃料にも影響してきます。
最寄り駅がターミナル駅だったり、エリア的に人気だったりすると、移動は楽になりますが、比例して賃料は高くなる傾向があります。
逆に交通の便を妥協すると、移動は大変ですが賃料は安くなります。
自分たちの会社が何を重視するのかを明確にしておくと、エリア選定がスムーズでしょう。
同業種・職種が多く集まるエリア
東京の例で言うと、各エリアにはそれぞれの特徴があります。
丸の内エリアは数百年続く老舗の大企業や金融系企業が多かったり、渋谷は創立数年のベンチャー、スタートアップが多数オフィスを構えていたりなど、エリアごとに同じような系統の企業が集まっている傾向があります。
近隣企業同士、コミュニケーションが生まれ、結果ビジネスにつながる可能性もあるため、同業種が集まるエリアに移転するのもひとつです。
会社のブランディングとの相互性
オフィスの立地は企業のイメージにも影響を与えます。
若い女性が好むエリアであれば、必然的に若い女性の採用がしやすくなったり、住所の地名で会社の権威性が問われることもままあります。
東京都内各エリアの特徴
それでは、東京のエリアごとの特色をいくつかピックアップしてみていきましょう。
東京駅・丸の内エリア
昔からの財閥企業も多く、金融機関や外資系企業も多数オフィスを構えています。
大企業向けのオフィスが多いため、その分ワンフロアが広く、賃料も高いのが特徴です。
交通の便は非常によく、東京駅は東日本の在来線だけでも27路線が通っています。
徒歩15分圏内には有楽町駅、大手町駅、京橋駅、銀座一丁目駅、日本橋駅などがあり、非常にアクセスがいいです。
表参道・青山エリア
流行のアパレルブランドや高級ブランド店が多く立ち並ぶイメージですが、アパレル企業やビューティー関連企業のみならず、IT企業や外資系企業も多くオフィスを構えています。
新宿エリア
1日の乗降人数が200万人を超え、日本の乗降駅ランキングでは常に首位に位置している新宿駅。
新宿の西側は、高層ビルが立ち並ぶ丸の内に次ぐオフィス街です。
新宿エリアは、様々な業種の企業が集まっており、IT企業や飲食、不動産、人材、行政機関など多種多様です。
ターミナル駅である新宿駅のアクセスの良さがありながら、昔からあるオフィスビルも多く、賃料が安い場合もあります。
西側がオフィス街な一方で、東側は繁華街が大いに賑わっています。
渋谷エリア
いわずと知れた若者の街、渋谷。
商業地として長い歴史がある中、近年では駅の再開発と共に駅前には高層オフィスビルが建設され、ベンチャー、スタートアップ企業が多く入居しています。
一時には、GoogleやAmazonなどの世界的なIT企業がオフィスを構えたこともあり、ITのメッカとも言われ、多くのIT企業が集まるようになりました。
また、ベンチャー、スタートアップ企業の自由な働き方に合わせ、シェアオフィスやコワーキングオフィスなど様々な形態のオフィスも多いのが特徴です。
推奨される一人あたりの面積
オフィス移転をする際、規模の参考値となるのが社員一人あたりに必要な面積です。
推奨される面積は、一人あたり2〜4坪(3坪=約10㎡=約6畳分)とされており、法律上に面積で縛りはないものの6畳分となるとワンルームほどの広さになります。
オフィスレイアウトについて
オフィスレイアウトは1人あたりの坪面積を考えることが一般的です。
1人あたり1.5〜2坪とする場合
この坪数でも執務作業には十分な広さが確保できます。
しかし、会議室や休憩スペースなどの共有スペースが設置されると、必然的に一人あたりの面積は小さくなっていき、少し窮屈に感じるかもしれません。
反対に一人分の面積を確保しようとすると、今度は通路が狭くなってしまう可能性も…。
どうしても面積が小さくなってしまう場合は、フリーアドレスのデスクレイアウトを導入してみると、席が固定ではないため私物や書類をデスクに置くことがなくなり、スペースを有効活用できます。
また、フレックス制やリモート勤務を導入している場合も、出社率に応じて席が埋まっていくため、面積が狭くても対応可能になります。
ノートパソコン1台あれば作業が完結する職種であれば、席を固定せずに作業ができることも多いため、一人あたりの面積が1.5〜2坪でも快適に過ごすことができます。
1人あたり3〜4坪とする場合
4坪は、約13㎡=約8畳の面積があり、かなり広く使えると感じます。
例えば、役員や管理職の社員に個室オフィスを用意することも可能になります。
大きなデスクも設置できるため、たくさんの書類が必要だったり、複数のPCディスプレイが必要となる職種の場合も、ゆとりを持ったスペースで作業できます。
面積にゆとりがあるため、執務スペースだけでなく、ミーティングスペースや休憩スペース、作業スペースなどを設けることもできる広さになります。
社員数に応じた目安面積
社員数 | 目安面積 | おすすめの坪数 |
---|---|---|
~10名 | 50~70平方メートル | 20~40坪 |
~30名 | 150~210平方メートル | 50~70坪 |
~50名 | 250~350平方メートル | 80~100坪 |
~100名 | 500~700平方メートル | 150~200坪 |
※1人あたり1.5〜2坪で算出
※会議室や休憩スペースを設置する場合はさらに広さを加味する必要があります。
人材紹介事業者(企業)は注意が必要
他の業界とは異なり、オフィスの選定では、法律上定められているルールがあります。
法令で定められた面積
2017年5月まで、法律上で「おおむね20㎡」以上の面積を有していることが要求されていましたが、現在(2019年7月時点)では、以下のルールを満たすことによって、上記のルールは免除されます。
- 職業紹介の適正な実施に必要な構造・設備(個室の設置、パーティション等での区分)を有すること。
- 他の求職者又は求人者と同室にならずに対面の職業紹介を行うことができるような措置(予約制、貸部屋の確保等)を講ずること。
出典:職業紹介業の許可基準緩和 厚労省、5月下旬にも │ 日本経済新聞社
また、人材派遣業に関しては、トイレ、給湯部分除く執務スペースで20㎡の制限があります。
この条件を満たすことにより、レンタルオフィスなどの使用も可能になります。
また、同業者との共同部屋を使用していても、パーティション(目安としては180cm以上)などの仕切りを設けることで使用できます。
インターネットで面談を行うといった会社でもこれによりオフィス予算を比較的安価に抑えられます。
個人情報を保管するスペース(鍵付きロッカーや金庫など)を保有しておく必要があるのも意識しておきましょう。
マンションタイプの物件に関して
SOHOの物件となると、住居契約もしくは住居兼事務所契約となります。
住居契約をする場合は人材紹介、人材派遣業はできないので注意が必要です。
住居兼事務所契約により使用する場合は、2部屋の確保が必要です。
トイレ、キッチンや寝室などとのスペースをわけ、事業用の執務スペースを作ることが一般的です。
事務室として使用できるスペースが2部屋なければ、人材紹介・人材派遣業ができません。また、2部屋は確保しているが、合計20㎡以上の広さがない場合、事業はできません。
事業運営に好ましくないお店の近くに置かない
風俗店などの事業運営に好ましくない場所にオフィスを構えることは法律上禁止されています。
オフィスのオススメの選び方について
人材系のオフィス選びについては会社の方針によって、さまざまです。
コスト削減や競合の少ないエリアにオフィスを構える場合と、求職者など訪問しやすいオフィスにしたい場合などニーズも多岐に渡ります。
営業効率と求職者獲得どちらを優先すべきか、ひとつ、データを参考にしてみましょう。
現時点では有効求人倍率は約1.59倍となり、求人数が求職者数を多く上回っています。
求職者が少ない中で来訪する機会が多いのであれば、求職者向けの立地にした方がいいかもしれません。
実際、企業の多くが求職者獲得をメインとしてオフィスを選定されています。
- 誰もがアクセスのしやすいターミナル駅…新宿・渋谷・池袋 等
- 人材紹介スタートアップの企業が多く物価が安い…神保町・神田・飯田橋 等
通常のスタートアップですとビルの外観より内装を重視しますが、人材紹介系の会社では内装・外装どちらも求められるケースが多いといえます。
また、多くの企業が駅からの距離、場所のアナウンスがしやすいかといった点に気を付けるのもポイントです。
オフィス探しや退去サポートはハイッテまでご相談ください
ハイッテ by 株式会社IPPO(イッポ)では、スタートアップ・ベンチャー企業から100坪以上の中堅企業のオフィス移転もおこなっております。
お客様の経営課題や今後の事業戦略、採用計画に最適なレイアウトをご提案し、オフィス移転のサポートをご提案いたします。
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監修者
株式会社IPPO 共同創業者 取締役 大隅識文
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年株式会社IPPO(イッポ)を設立。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業までオフィス移転取引社数は500社以上、うち居抜きオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。オーナーとの関係性も非常に良く、居抜きオフィス移転の実務を知り尽くした、きめ細かなサポートに、オーナー・顧客からの信頼も厚く、リピートが絶えない。
執筆者 ハイッテ編集部
株式会社IPPO全般のマーケティングを担っています。ハイッテの運用のほか、オフィス移転事例や賃料相場、オフィス調査なども行なっております。