監修者:大隅識文
株式会社IPPO共同創業者/取締役
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オフィス移転は、レイアウトや内装を考える時間がかかることで長期化することが多いため、事前にスケジュールとステップの把握が大切です。
オフィス賃料も決して安くないため、移転スケジュールが遅延すると、事業計画や採用計画、資金調達計画人も支障をきたす恐れがあります。
本コラムでは、オフィス移転のスケジュールやステップを中心に、オフィス移転を成功させるポイントを解説します。
オフィス移転成功のための計画とスケジュール
オフィス移転成功のためには、時間をかけて計画的に進める必要があります。
まずは6カ月前からの移転スケジュールについて、ご紹介します。
ご紹介するポイントに従って準備を進めることで、迅速なオフィス移転が可能となります。
6カ月前:オフィス選定と前準備開始
オフィス移転の成功は、物件選定から始まります。
自社に適切なオフィスを見つけることが、移転計画全体のスムーズな進行を左右します。
オフィス選定の段階では、立地、価格、設備などさまざまな条件を比較検討しましょう。
- 交通アクセスが良好で社員の通勤に便利なオフィス
- 目標としている成長の事業規模に適した広さのオフィス
- 業務に必要な設備が揃っている、またはカスタマイズ可能なオフィス
上記の条件でオフィスを選定することで、全体の移転計画を迅速に進められます。
前準備であるオフィス移転6ヶ月前は、とても重要なタイミングと言えます。
4~5カ月前:内装工事業者選定とコスト検討
内装工事の業者選定とコストの検討をおこないましょう。
オフィス移転4~5カ月前は、新オフィスの内装について詳細な計画を立てることが必要です。
内装工事には多額の費用がかかるため、複数の業者から見積もりを取り、コストパフォーマンスが最も高い業者を選びましょう。
- 施工の品質が高く、信頼できる内装業者かどうか
- コストとサービスのバランスが取れているか
- 施工スケジュールが移転計画に合っているか
3カ月前:現オフィスの整理と退去手続き
オフィス移転の3カ月前には、現在のオフィスの整理と退去手続きが必要です。
オフィス移転の3カ月前は、現テナントの整理を始めることで、移転日が近づいてきた際の混乱を避けられます。
整理のプロセスでは、不要な書類や機器の処分、重要書類のデジタル化が含まれます。
整理作業を行う際には次のような活動が行われることが多いです。
- 不要な備品や書類の選別と処分
- オフィス移転に伴う重要書類の整理とデータ化・保存
- データのバックアップとセキュリティの確認
また、退去通知の提出や居抜き退去の場合、次のテナントへの情報引き継ぎもオフィス移転の3ヶ月前までに完了させておきましょう。
2カ月前:オフィス移転スケジュールの詳細決定と各種手続き
オフィス移転の2カ月前には、具体的な移転スケジュールの詳細を決定し、必要な手続きを行いましょう。
オフィス移転の2ヶ月前の計画性が、オフィス移転の成功を左右します。
具体的なスケジュール作成には、移転日の確定、搬出・搬入のタイミングの設定が含まれます。
- 新旧オフィスの賃貸借契約の確認と調整
※居抜きオフィス移転の場合、造作譲渡契約書の締結も忘れずにしましょう。 - 電気、水道、インターネットなどのインフラの手配
- 必要な保険の手続き(火災保険など)
1カ月前~当日:オフィス移転手続きの準備と新オフィスルール作成
オフィス移転の1カ月前から当日は、従業員の移動や片付けも含めた、最終的なオフィス移転の準備を行いましょう。
オフィス移転手続きだけでなく、新オフィスでのルール作成も含まれます。
新オフィスでのルール作成には、新しいオフィスレイアウトの確定や、効率的な作業環境を作り出すためのガイドライン策定が必要です。
オフィス移転当日の作業は、以下となります。
- 業務機器やオフィス家具の正確な配置
- 最後の清掃とオフィスの残留物の確認
- 社員へのオリエンテーションと新オフィスルールの共有
上記の作業を迅速に行えるかどうかが、新しいオフィスでのスタートを切ることができます。
オフィス移転後:移転届提出と原状回復工事
オフィス移転後の重要な作業には、移転届の提出と原状回復工事があります。
法的な義務が課せられているだけでなく、旧テナントのオーナーや後継テナントとの良好な関係を維持し、トラブル防止にもつながる大切な作業です。
移転届の提出は、新しいオフィスの所在地を行政に正式に通知する手続きです。
- 移転先への管轄役所への住所変更の届出
- 業種によっては特定の許認可の更新手続き
- 法人登記簿の変更申請
行政手続きを適切に行うことで、ビジネスの法的な要件を満たせます。
原状回復工事は、旧オフィスを退去する際に、賃貸借契約に基づいて元の状態に戻す作業であり、テナントの義務です。
原状回復工事をしっかりと行うことで、退去時のトラブルを避けることができます。
- 壁や床の修復作業
- 不要な設備の撤去と清掃
- 損傷があった設備や備え付けの什器の修理・交換
居抜き退去の場合、原状回復義務は次のテナントへ引き継がれます。
造作譲渡契約書に基づき、引き継ぐ什器と移転先に運搬する什器もしっかりと共有し、確実に履行しましょう。
居抜き退去に限らず、行政手続きや原状回復工事の履行は、テナントに課せられた義務を果たすだけでなく、法的リスクを減少させることにもつながります。
オフィス移転計画における社内コミュニケーションについて
オフィス移転では、社内コミュニケーションと効率的な作業の割り当てが必要となります。
オフィス移転では、社員への情報共有、作業分担の効率化、そして移転後の環境整備について、詳しく説明します。
下記のポイントを把握し、適切に対処することで、オフィス移転当日の作業や移転後の迅速な業務再開が可能となります。
- 社員への移転情報共有と期間管理
- 効率的な作業分担とオフィスレイアウト調整
- 移転後の環境整備と業務再開の準備
社員への移転情報共有と作業時間確保
オフィス移転の計画と実行には、経営陣を含めたすべての社員を巻き込むことが大切です。
適切な情報共有と作業時間確保が、オフィス移転後の混乱を避けるための鍵となります。
オフィス移転に関する情報は、早い段階で全社員に共有しましょう。
以下のステップで情報共有をおこないましょう。
社員一人ひとりがオフィス移転計画を実行する主役と認識し、オフィス移転作業を促しましょう。
オフィスレイアウトの調整と効率的な作業分担
新しいオフィスのレイアウト調整は、業務の効率を向上させる絶好の機会といえます。
また、オフィス移転当日や移転後の作業分担は、オフィス移転の効率を大きく左右します。
各部署のニーズを理解し、それに基づいて作業を割り当てましょう。
- 各チームの作業スペースの最適化(対向式、ブーメラン式、背壁式など)
- コミュニケーションを促進するリフレッシュスペースの設計
- 効率的な導線の確保(来訪対応や会議室への導線など)
移転後の環境整備と業務再開の準備
オフィス移転後は迅速に業務を再開するために、環境整備と適切な準備が必須です。
新しいオフィスでの業務効率を最大化し、スムーズな移行を支援するためのステップをご紹介します。
オフィス移転後の初日から業務がスムーズに進行できるよう、万全の準備が求められます。
- 新オフィスの安全確認と設備の最終チェック
- ITシステムと通信設備の完全な設定とテスト
- 必要な文書や資料のアクセス可能性の確保
設備の配置と最終チェック
新しいオフィスの設備配置は、業務の効率を直接的に影響します。
事前にレイアウトを計画し、各部署が最適な環境で作業できるように配慮することが大切です。
- 全ての機器の動作確認
- 非常灯や消火設備のチェック
- 空調システムの調整
ITシステムと通信設備の調整
新しいオフィスでは、ITインフラを設定しなければ、業務を開始できません。
移転前に計画したITシステムの設定とテストを行い、全てのネットワーク接続とサービスが正常に機能していることを確認しましょう。
- サーバーとワークステーションの設置と接続
- Wi-Fiと有線ネットワークの機能テスト
- 電話システムとその他の通信機器のセットアップ
業務に必要な情報通信技術は専門業者もしくは情報システム室に協力を仰ぎましょう。
緊急時対応計画の確認
新しいオフィスにおける緊急時対応計画を再確認し、必要な項目を更新します。
緊急時対応計画には、避難経路の確認、緊急連絡網の再構築、安全訓練の実施が含まれます。
適切な緊急時対応計画を整えることで、万一の事態にも迅速に対応できます。
以上の準備を通じて、オフィス移転後の業務再開が迅速になり、効率良くオフィス移転を完了できます。
オフィス移転に伴う影響を最小限に抑え、新たな作業環境での生産性を最大限に高めましょう。
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ハイッテ by 株式会社IPPOでは、東京都内の主要ビジネスエリアである中央区、港区、千代田区、渋谷区の最新オフィス事情に精通しており、お客様の事業計画や採用計画だけでなく、その後の経営計画(資金調達や上場など)を考慮したオフィス提案に強みを持っております。
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監修者
株式会社IPPO 共同創業者 取締役 大隅識文
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年株式会社IPPO(イッポ)を設立。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業までオフィス移転取引社数は500社以上、うち居抜きオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。オーナーとの関係性も非常に良く、居抜きオフィス移転の実務を知り尽くした、きめ細かなサポートに、オーナー・顧客からの信頼も厚く、リピートが絶えない。
執筆者 ハイッテ編集部
株式会社IPPO全般のマーケティングを担っています。ハイッテの運用のほか、オフィス移転事例や賃料相場、オフィス調査なども行なっております。