監修者:大隅識文
株式会社IPPO共同創業者/取締役
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スタートアップ、ベンチャー企業にとって、日々の社員間のコミュニケーションは事業を加速させるために必要不可欠と言っても過言ではありません。
研究でインフォマールコミュニケーションの効果やメリットが証明されていることもあり、コミュニケーションの仕組みを取り入れたオフィスの需要が高まっています。
本記事では、社員間のコミュニケーション機会を生み出し、創造性を高めるマグネットスペースについてご紹介します。
この記事の目次
マグネットスペースとは
マグネットスペースとは、磁石に引き寄せられるように「人が集まる空間」を指します。
時間を決めて集まるミーティングではなく、休憩や用事などで「人が自然と集まってくる空間」と定義されています。
インフォーマルコミュニケーションを促す効果があり、オフィスではコピー機の周りやフリースペース、給湯室などが該当します。
マグネットスペースには、同じ部署の人だけでなく、他部署の人も自然に訪れます。
コピー機の周りや給湯室という場所ではなく、あえてマグネットスペースをつくり、自然と社員が集まるように工夫する企業が増えています。
マグネットスペースのメリット
マグネットスペースには、社員同士のコミュニケーションの活性化やストレス解消、モチベーション向上など事業を推進する上でのメリットが得られます。
コミュニケーションの活性化
マグネットスペースの大きなメリットに社員同士がコミュニケーションを深められる点が挙げられます。
普段、コミュニケーションを取らない部署の社員の交流を促し、新しい発想や課題・悩みの解決法を得られるなど従来の休憩スペースにはないメリットをもたらします。
社員のストレス解消とモチベーションの向上
業務以外のコミュニケーション(インフォーマルコミュニケーション)を取ることで社員のストレス解消に繋がります。
インフォーマルコミュニケーションが取れる場所はストレス解消の場として機能するため、社員のメンタルコンディションを整え、モチベーションアップにも貢献してくれます。
話しやすく相談しやすい環境を作ることで、社内エンゲージメント(チームエンゲージメント)を高める効果も期待できます。
マグネットスペースは、「人が集まりやすい」場所・環境となっているため、チームや部署内だけでなく、他部署の社員との連携も迅速に行えるます。
総じて、会社全体の生産性の向上が可能です。
デッドスペースの有効活用
マグネットスペースはスタンティングテーブルを置くことで、簡単に設置できます。
そのため、普段、使用していないデッドスペースもすぐにマグネットスペースとして稼働することが可能です。
企業ブランドの向上
マグネットスペースは社員のリフレッシュの空間としても機能します。
雑談などのインフォーマルコミュニケーションの推進のほか、社員の多様な働き方にも寄与するため、顧客や就職希望者に対して企業ブランドの向上が期待できます。
マグネットスペースのデメリット
社員の創造力の向上やコミュニケーションの促進、メンタルヘルスの向上にも効果的なマグネットスペースですが、セキュリティや費用といった点にデメリットがあります。
機密情報の漏洩に繋がりやすい
マグネットスペースは他部署の人間が集まりやすい空間のため、社内秘・社外秘情報を話す場所としてはふさわしくありません。
また、マグネットスペースは執務スペース以外の場所に設置されることが多く、来訪する顧客や求職希望者も見学に訪れることがあります。
そのため、リリース前のサービスの情報や会社の財務状況といった会社の信用や業績に関わる機密情報が漏れるリスクが高まります。
管理コストがかかる
マグネットスペースでは、軽食やお昼休憩にも活用できます。
また、社員同士のコミュニケーションを促すためには、リラックスできるオフィス家具(什器)のほか、飲食物の販売(自動販売機やコーヒーサーバー)なども必要となることがあります。
また、執務スペースとは別に空間を確保するため、賃料・光熱費といった固定費や清掃などの維持費といった管理コストが必要です。
執務スペースと別に場所を確保する
マグネットスペースはインフォーマルコミュニケーションを前提とした空間です。
そのため、業務に集中する執務スペースとは別の場所を確保しなければなりません。
執務スペースの隅やデッドスペースを活用して場所を確保できますが、業務に集中している社員の邪魔にならないよう配慮が必要です。
そのため、オフィス移転をきっかけにマグネットスペースを設置する際は執務スペースとは別の部屋を確保する前提でレイアウトの決定、オフィス選びをしなければなりません。
マグネットスペースの作り方のポイント
効果的なマグネットスペースを作るためには、3つのポイントがあります。
執務オフィスから離れた場所に設置する
マグネットスペースを設置する場所を決めます。他の社員の邪魔にならないように執務スペースから離れた場所が望ましいといえます。
しかし、執務スペースから離れ過ぎると社員が集まらない可能性があるため、注意が必要です。
オフィス移転をきっかけにマグネットスペースを設置したい場合、オフィス物件選びからオフィス移転仲介業者に相談しましょう。
自然と人が集まりやすい環境を作る
マグネットスペースは 多目的に利用できる環境を作ることが大切です。
カフェスペースやリフレッシュスペースとして機能させることで、社員の利用を促せます。
また、機密情報を扱わない通常の会議の場としても活用できます。通常の会議室よりも利用しやすいように予約不要とするなど工夫が必要です。
また、現状、仕事中に雑談を認めていない社風を踏襲している会社ではマグネットスペースを設置することは難しいといえます。
雑談から生まれる創造性を認め、さまざまな議論ができる社風を構築することを並行して進めなければなりません。
オフィス家具を設置する
マグネットスペースは、コミュニケーションが促進しやすいように執務スペースとは異なるリラックスでき、デザイン性に優れたオフィス家具(什器)を設定します。
気軽に会話ができる空間を実現するためには、スタンディングテーブルの他、ソファ席やファミレス席、バーカウンターといったオフィス家具がおすすめです。
また、社員がくつろぎながらコミュニケーションができるようにコーヒーマシン、自動販売機などの設備も検討しましょう。観葉植物を置き、景観をよくすることも大切です。
マグネットスペースを取り入れた成約事例
株式会社IPPOでは、スタートアップやベンチャー企業を中心に事業成長を促進するオフィス移転を手がけてきました。
その中でもオフィス移転をきっかけにマグネットスペースを設置した成約事例をご紹介します。
株式会社YOUTRUSTのマグネットスペース
SNS事業とHR Tech事業を展開する株式会社YOUTRUSTは、居抜き退去をおこない、事業成長速度を加速できるオフィスに移転を実施。
ユーザーとのオフラインコミュニケーションを大切にする株式会社YOUTRUSTでは「社内のコミュニケーションもオフラインを重視する」という理念のもと、マグネットスペースを重視したオフィスを実現しました。
その結果、チームビルディングも迅速におこなうことができ、事業成長の加速に成功しています。
Crezit Holdings株式会社のマグネットスペース
FinTechのスタートアップ企業であるCrezit Holdings株式会社では、サービスレベルの向上や採用活動の強化を目的にオフィス移転を実施。
マグネットスペースとしてファミレス席、ハイカウンターテーブル、ヨギボーエリアを設置し、社員の「どう働きたいか?」を実現したオフィスに移転しました。
その結果、エンジニアにとってエンジニアにとって働きやすい環境を用意でき、社員の出社率も高まったことでサービスレベルの向上という従来の移転目的を達成しています。
コミューン株式会社のマグネットスペース
効率的なカスタマーサクセスを実現するアクション基盤「SuccessHub」の運営するコミューン株式会社は、カジュアルなコミュニケーションを実現できるオフィスへと移転を実施。
執務スペースの隣りに設置されたお堀の芝生エリアとカウンタースペースは自然とコミュニケーションが生まれるマグネットスペースとして社員の交流の場として機能しています。
社員の休憩用スペースとしても活用でき、お菓子やコーヒー、水を設置することで社員同士が抵抗なく、コミュニケーションを実施できる環境を作っています。
ラウンジのある居抜きオフィス・セットアップオフィス
ラウンジのある、おすすめ居抜きオフィス・事務所・セットアップオフィスをご紹介します。
現在公開中のラウンジのある、おすすめ新着オフィス物件です。
ハイッテでは、マグネットスペース設置のオフィスを多数掲載中
ハイッテ by 株式会社IPPOでは、スタートアップ・ベンチャー企業が事業成長速度を高める、居抜きに特化したオフィス移転をサポートしています。
東京都内の人気エリアである渋谷区や新宿区、港区のオフィス物件を多数取り扱っております。
マグネットスペースの設置を含めた、お客様のご要望に沿ったオフィス物件のご紹介が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
監修者
株式会社IPPO 共同創業者 取締役 大隅識文
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年株式会社IPPO(イッポ)を設立。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業までオフィス移転取引社数は500社以上、うち居抜きオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。オーナーとの関係性も非常に良く、居抜きオフィス移転の実務を知り尽くした、きめ細かなサポートに、オーナー・顧客からの信頼も厚く、リピートが絶えない。
執筆者 ハイッテ編集部
株式会社IPPO全般のマーケティングを担っています。ハイッテの運用のほか、オフィス移転事例や賃料相場、オフィス調査なども行なっております。