
監修者:大隅識文
株式会社IPPO共同創業者/取締役
大隅識人の監修者情報 ▶︎
居抜きオフィスは、初期費用を最大1,000万円以上削減でき、最短2週間で入居可能な、スタートアップ・ベンチャー企業に最適なオフィス形態です。ただし、物件選びには注意点もあります。
居抜きオフィスとは、前テナントの内装・家具をそのまま引き継いで入居できるオフィスです。
結論から言うと、居抜きオフィスは「初期費用を抑えて事業投資を優先したい企業」に最適な選択肢です。一方で、物件数が少なく、退去時の原状回復義務を引き継ぐ点は注意が必要です。
本記事では、居抜きオフィスのメリット・デメリットを具体的な費用データとともに解説し、失敗しない物件選びのポイントをお伝えします。
- 居抜きオフィスで削減できる費用の具体額(最大1,000万円以上)
- 入居時・退去時それぞれのメリット・デメリット
- セットアップオフィス・スケルトンとの違い(比較表付き)
- 居抜きオフィス選びで失敗しないための注意点5つ
- 向いている企業・向いていない企業の判断基準
この記事の目次
オフィス形態比較表|居抜き・セットアップ・スケルトン
まずは居抜きオフィス・セットアップオフィス・スケルトン(通常賃貸)の違いを比較表で確認しましょう。
| 比較項目 | 居抜きオフィス | セットアップオフィス | スケルトン(通常賃貸) |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | ◎ 最安(0〜500万円) | ○ 中程度 | × 高い(1,000〜2,000万円) |
| 入居までの期間 | ◎ 最短2週間 | ○ 2週間〜1ヶ月 | × 2〜3ヶ月 |
| 内装の自由度 | × 低い | × 低い | ◎ 高い |
| 設備・家具 | 中古(前テナントのもの) | 新品(オーナー設置) | なし(自社で購入) |
| 月額賃料 | 通常賃貸と同等 | やや高め(+10〜20%) | 通常賃貸 |
| 退去時原状回復 | △ 引き継ぐ(高額リスクあり) | ○ 不要のケースが多い | × 全額負担 |
| 物件数 | △ 少ない | ○ 増加傾向 | ◎ 多い |
この比較表を見て「自社にはどれが最適?」と迷ったら、ぜひお気軽にご相談ください。規模・予算・スケジュールに応じて最適なオフィス形態をご提案します。
オフィス形態の選び方で初期費用は数百万円〜1,000万円以上変わります。スタートアップ・ベンチャー企業の移転を年間300件以上支援するIPPOが、最適なオフィス形態を無料診断します。
\ どのような移転が良いか迷っている方/
移転のプロが貴社に最適な物件形態をご提案
居抜きオフィスとは
居抜きオフィスとは、前の入居者が残した内装・家具・設備をそのまま引き継いで入居できるオフィスです。飲食店では一般的でしたが、近年はオフィスでも急速に広がっています。
居抜きオフィスでは、デスク・チェア・会議室の造作・照明設備などが残された状態で入居できます。
最大の特徴は「原状回復義務の引き継ぎ」です。前テナントは原状回復工事を行わずに退去でき、新テナントは内装工事なしで入居できます。この仕組みにより、双方にコストメリットが生まれます。
- 東京都心の再開発により、取り壊し予定ビルでの居抜き募集が増加
- 渋谷区・港区で50〜70坪の居抜きオフィス供給が拡大
- オフィス空室率の上昇により、オーナーが居抜きを許可するケースが増加
- 特にスタートアップ・ベンチャー企業に人気の200坪以下の中小規模物件が増加
セットアップオフィスとの違い
セットアップオフィスは、オーナー(貸主)が内装工事を行い、新品の家具・設備を完備した状態で提供するオフィスです。
居抜きオフィスとセットアップオフィスの違いを詳しく比較してみましょう。
| 比較項目 | 居抜きオフィス | セットアップオフィス |
|---|---|---|
| 内装・設備の状態 | 前テナントが残したもの(中古) | オーナーが新規設置(新品) |
| デザインの質 | 前テナント次第(当たり外れあり) | 統一されたデザイン |
| 賃料水準 | 通常賃貸と同等 | 通常賃貸より10〜20%高め |
| 退去時の原状回復 | 引き継ぐ(高額になる場合あり) | 原状回復不要のケースが多い |
| 募集期間 | 前テナント退去前の3〜6ヶ月 | 常時募集 |
| 向いている企業 | コスト最優先、内装にこだわりなし | スピード・デザイン重視、予算に余裕あり |
セットアップオフィスは賃料が高めですが、退去時の原状回復が不要なケースが多いため、トータルコストで見ると大差ないことも。どちらが有利かは物件ごとに異なります。
スケルトン(通常賃貸)との違い
スケルトンは、内装や設備を一切設けず、床・天井・躯体のみの状態で引き渡される物件です。自由度は高いですが、内装工事に多額の費用と時間がかかります。
居抜きオフィスとスケルトンで、どれだけ費用に差が出るのか見てみましょう。
スケルトンと居抜きオフィスで初期費用を比較すると、その差は歴然です。
| 項目 | スケルトン | 居抜きオフィス | 差額 |
|---|---|---|---|
| 内装工事費 | 1,500万円(坪単価30万円) | 200万円(軽微な追加工事) | ▲1,300万円 |
| 什器購入費 | 500万円 | 0円(引き継ぎ) | ▲500万円 |
| 工事期間 | 2〜3ヶ月 | 2週間 | ▲2ヶ月短縮 |
| 合計削減額 | – | – | 約1,800万円 |
このように、居抜きオフィスを選ぶことで最大1,800万円以上の費用削減が可能です。削減した費用を採用やマーケティング、研究開発に回せるのは、成長期のスタートアップ・ベンチャー企業にとって大きなメリットです。
居抜きオフィスのメリット
居抜きオフィスのメリットを「入居時」と「退去時」に分けて詳しく解説します。
【入居時】メリット①:初期費用を大幅に削減できる
居抜きオフィス最大のメリットは、内装工事費用と什器購入費用を大幅に削減できることです。
| 削減項目 | スケルトンの場合 | 居抜きの場合 | 削減額 |
|---|---|---|---|
| 内装工事費(50坪) | 1,000〜2,000万円 | 0〜500万円 | 500〜1,500万円 |
| オフィス家具 | 300〜500万円 | 0円 | 300〜500万円 |
| 電気・LAN工事 | 100〜200万円 | 0〜50万円 | 50〜150万円 |
| 合計 | 1,400〜2,700万円 | 0〜550万円 | 850〜2,150万円 |
削減した1,000万円以上の費用を、エンジニア採用(1名100〜300万円)や研究開発に回せるのが、スタートアップにとって最大のメリットです。
【入居時】メリット②:入居までの期間を大幅短縮
スケルトン物件では内装工事に2〜3ヶ月かかりますが、居抜きオフィスなら最短2週間〜1ヶ月で入居可能です。
| オフィス形態 | 契約から入居まで |
|---|---|
| 居抜きオフィス | 2週間〜1ヶ月 |
| セットアップオフィス | 2週間〜1ヶ月 |
| スケルトン | 2〜3ヶ月 |
資金調達後に「すぐにでもオフィスを構えて事業を加速させたい」というスタートアップ企業にとって、この2ヶ月の短縮は大きなアドバンテージです。
また、内装工事の打ち合わせ・業者選定・コンペなどの工数も削減できるため、本業に集中できます。
【入居時】メリット③:デザイン性の高い内装を低コストで
前テナントがこだわって作った内装をそのまま使えるため、通常なら数百万円かかるデザイン性の高いオフィスを低コストで手に入れられる可能性があります。
特にスタートアップ企業の退去物件では、採用・ブランディングを意識したおしゃれな内装が多く、採用競争力の向上にもつながります。
【退去時】メリット④:原状回復費用を削減できる可能性
居抜きオフィスとして退去できれば、原状回復工事費用を大幅に削減できます。
- オフィス原状回復:坪単価3〜5万円
- 50坪オフィスの場合:150万〜250万円
- 内装にこだわった物件:坪単価5〜10万円(高額リスク)
居抜き退去が成立すれば、この費用をゼロに近づけることができます。
【退去時】メリット⑤:解約予告期間を短縮できる場合も
通常のオフィス賃貸では解約予告期間が3〜6ヶ月必要ですが、居抜き退去の場合は後継テナントが決まり次第、退去できるケースもあります。
また、原状回復工事が不要になるため、引き渡し直前までオフィスを使用できるメリットもあります。
【SDGs】メリット⑥:環境負荷の軽減・企業ブランディング
居抜きオフィスは、内装や什器を再利用することで廃棄物を減らし、SDGs目標No.12「つくる責任 つかう責任」に貢献できます。
ESG投資が拡大する中、環境に配慮した企業というブランディングは、VCや投資家へのアピールにもなります。
物件選び・契約条件・退去計画をトータルで考える必要があります。年間300件以上の居抜き仲介実績を持つIPPOが、最適な物件をご提案します。
\ 移転のコストメリットを最大化したい方 /
居抜き専門スタッフがサポート
居抜きオフィスのデメリット
メリットの多い居抜きオフィスですが、見落としがちなデメリットもあります。ただし、これらは専門家のサポートで回避可能です。
【入居時】デメリット①:希望通りのレイアウトが見つかりにくい
居抜きオフィスは前テナントのレイアウトをそのまま使うため、自社の働き方に最適な物件を見つけるのは難しい場合があります。
「内装が綺麗だから」という理由で契約したが、会議室の数が足りない、執務スペースの動線が悪いなど、業務効率に支障が出るケースがあります。
【対策】入居前に「何人でどう働くか」を明確にし、レイアウトが自社の働き方に合うか確認しましょう。専門の仲介会社に相談すれば、非公開物件を含めた選択肢を提示してもらえます。
【入居時】デメリット②:物件数が少なく、タイミングが重要
居抜きオフィスの募集期間は、前テナントの解約予告から退去までの3〜6ヶ月程度に限られます。良質な物件は競争率が高く、常にアンテナを張って情報収集しておく必要があります。
【対策】居抜きオフィス専門の仲介会社に相談しておくと、非公開物件や募集前の情報を早めにキャッチできます。
【入居時】デメリット③:設備・什器の老朽化リスク
前テナントが使用していた設備や家具は中古品です。老朽化した設備の修繕・交換費用が発生すると、コストメリットが薄れる可能性があります。
- エアコン・空調設備の稼働状況(製造年・メンテナンス履歴)
- 照明器具の状態(LED化されているか)
- 椅子・デスクの劣化具合(ガタつき、汚れ)
- OAフロア・床の状態
- セキュリティ設備の有無と動作確認
- ネットワーク環境(回線速度、配線状況)
【対策】内見時に設備の状態を詳しく確認し、修繕が必要な箇所の費用を見積もってから判断しましょう。
【入居時】デメリット④:原状回復義務を引き継ぐリスク
居抜きオフィスに入居すると、前テナントの原状回復義務を引き継ぐことになります。これが最も注意が必要なポイントです。
前テナントがこだわって作った特殊な内装(スケルトン天井、造作家具、装飾壁など)は、退去時の原状回復費用が坪単価5〜10万円と高額になる場合があります。
50坪オフィスなら250万〜500万円の原状回復費用が発生するリスクも。
【対策】入居前に原状回復の範囲と概算費用を必ず確認しましょう。契約書の原状回復条項を専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。
【退去時】デメリット⑤:居抜き退去できるとは限らない
自社が退去する際に居抜きで退去できるかは、オーナーの許可と後継テナントの有無によって決まります。
- オーナー(貸主)の承諾
- 後継テナントの確保
- 解約予告期間内での引き継ぎ成立
これらすべてが揃わないと、通常の原状回復工事が必要になります。
【対策】居抜き退去を前提にした計画は危険です。最悪の場合、通常の原状回復費用が発生することを想定して予算を組みましょう。
デメリットまとめ ― 専門家サポートで回避可能
居抜きオフィスのデメリットは、専門知識を持った仲介会社のサポートで大部分が回避可能です。特に原状回復義務の確認と退去計画は、入居前に必ず専門家に相談してください。
居抜きオフィスを選ぶときの注意点5つ
居抜きオフィスで失敗しないために、以下の5つの注意点を押さえておきましょう。
注意点①:移転スケジュールの確認
居抜きオフィスでも追加の内装工事が必要な場合があります。
- 前テナントの退去日
- 追加工事の要否と期間
- 現オフィスとの重複期間(二重賃料の発生)
- 解約予告期間との調整
大規模な内装工事や部品が届かないなどにより予定よりも工事期間が数ヶ月伸びる可能性もあります。余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
注意点②:関係者間の調整の複雑さ
居抜きオフィスの契約では、最大4者間でのやり取りが発生します。
- オーナー(貸主)
- 前テナント(退去企業)
- 後継テナント(入居企業=自社)
- 仲介業者
通常のオフィス賃貸より調整が複雑になるため、居抜き仲介の実績がある仲介会社に依頼することが重要です。
また、出資を受けている企業の場合は株主からオフィス選びの指摘を受けるケースもあります。事前に決裁ルートを確認しておきましょう。
注意点③:造作譲渡契約の締結
内装や什器を譲り受ける場合は、造作譲渡契約書の締結が必須です。
- 譲渡対象物の一覧(什器、造作、設備)
- 譲渡価格(無償か有償か)
- 設備の瑕疵担保責任(故障時の責任範囲)
- 引き渡し時の状態確認方法
- 契約不成立時の取り扱い
どの内装を引き継ぐのか、どの什器をいくつ譲渡するのかを明確にすることでトラブル防止に繋がります。
注意点④:退去時の原状回復義務の範囲確認
入居前に必ず原状回復義務の範囲と概算費用を確認しましょう。
契約書の原状回復条項を確認し、「どこまで戻す必要があるのか」「概算でいくらかかるのか」を事前に把握しておくことが重要です。特殊な内装が入っている物件は要注意です。
注意点⑤:設備・什器の状態確認
中古の設備・什器を引き継ぐため、入居後に修繕費用が発生するリスクがあります。
- 空調設備の製造年・稼働状況
- 照明器具の交換時期
- 家具の劣化具合
- ネットワーク環境
- セキュリティ設備
内見時には写真や動画を撮影し、後から確認できるようにしておくと安心です。
居抜きオフィスに向いている企業・向いていない企業
居抜きオフィスのメリット・デメリットを踏まえ、向いている企業・向いていない企業の傾向をまとめました。
| 居抜きオフィスに向いている企業 | 居抜きオフィスに向いていない企業 |
|---|---|
| ✅ 初期費用を抑えて事業投資を優先したい | ❌ オフィスデザインで独自のブランディングをしたい |
| ✅ 移転後すぐに業務を開始したい | ❌ 特殊な設備・レイアウトが必要 |
| ✅ 内装にこだわりがない | ❌ 長期間(5年以上)同じオフィスを使い続けたい |
| ✅ 2〜3年で再度移転の可能性がある | ❌ 新品のオフィス家具・設備にこだわりたい |
| ✅ SDGs・環境配慮をアピールしたい | – |
「向いていない」に当てはまる場合でも、セットアップオフィスという選択肢があります。居抜きとセットアップを比較検討したい方は、ぜひご相談ください。
よくある質問
Q. 居抜きオフィスの最大のメリットは何ですか?
A. 最大のメリットは初期費用の大幅削減です。内装工事費用や什器購入費用が不要となり、50坪オフィスなら1,000万円以上のコスト削減が可能です。また、内装工事期間も省略できるため、最短2週間での入居も実現できます。
Q. 居抜きオフィスはどんな企業に向いていますか?
A. 初期費用を抑えて事業投資を優先したいスタートアップ・ベンチャー企業に特に向いています。200坪以下の中小規模オフィスに多く、2〜3年で再度移転する可能性がある成長企業にも最適です。
Q. 居抜きオフィスとセットアップオフィスの違いは?
A. 居抜きオフィスは前テナントの内装・家具を引き継ぐのに対し、セットアップオフィスはオーナーが新品の内装・家具を設置します。居抜きは初期費用が最安ですが、セットアップは退去時の原状回復が不要なケースが多いため、トータルコストで比較する必要があります。
Q. 居抜きオフィスのデメリットは回避できますか?
A. 専門知識を持った仲介会社のサポートで大部分が回避可能です。特に「原状回復義務の確認」「設備の状態確認」「造作譲渡契約の締結」は、居抜き専門の仲介会社に任せることでトラブルを防げます。
まとめ|居抜きオフィス選びで失敗しないために
居抜きオフィスは、初期費用を最大1,000万円以上削減でき、最短2週間で入居可能な、スタートアップ・ベンチャー企業に最適なオフィス形態です。
一方で、物件数が少なく、原状回復義務の引き継ぎや設備の老朽化など、注意すべきポイントもあります。
- 居抜き専門の仲介会社に相談する→ 非公開物件の情報、契約条件の交渉、トラブル回避のノウハウ
- 入居前に原状回復費用の概算を確認する→ 退去時のコストを見据えたトータルでの判断
- 複数物件を比較検討する→ 焦って決めず、自社に最適な物件を見つける
ハイッテ by 株式会社IPPOは、スタートアップ・ベンチャー企業を中心に年間300件以上の居抜きオフィス仲介実績があります。
- 非公開物件のご紹介
- 入居から退去までのトータルサポート
- 居抜き契約特有のトラブル回避
- 原状回復費用の事前確認
まずはお気軽にご相談ください。
居抜きオフィスへの入居はお気軽にご相談ください
ハイッテ by 株式会社IPPOでは、スタートアップ・ベンチャー企業のあらゆるフェーズのオフィス移転を支援しています。
従業員数10人の小規模オフィスから100人以上の大規模オフィスまで、採用計画や事業計画も考慮しながら、お客様の発展を第一に考えたご提案を行なっております。

監修者
株式会社IPPO 共同創業者 取締役 大隅識文
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年株式会社IPPO(イッポ)を設立。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業までオフィス移転取引社数は500社以上、うち居抜きオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。オーナーとの関係性も非常に良く、居抜きオフィス移転の実務を知り尽くした、きめ細かなサポートに、オーナー・顧客からの信頼も厚く、リピートが絶えない。

執筆者 ハイッテ編集部
株式会社IPPO全般のマーケティングを担っています。ハイッテの運用のほか、オフィス移転事例や賃料相場、オフィス調査なども行なっております。