本記事では、旧耐震基準と新耐震基準の違いや耐震基準が変更となった背景を紹介します。
旧耐震基準のビルでも新耐震基準のビルと同等の耐震構造である場合もあります。耐震基準の違いを把握してオフィス移転の際に併せて検討しましょう。
この記事の目次
耐震基準について
耐震基準とは、建築基準法で定められている地震動で倒壊・崩壊する恐れがないかどうかの基準を指します。
許容応力度計算(一次設計)と保有水平体力計算(二次設計)を用いて、中規模地震や大規模地震にも耐えることができる基準が設けられています。
1978年に発生した宮城県沖地震で大きな被害があったことから、耐震基準の見直しがされ、1981年に新耐震基準へ変わりました。
法令は定期的に見直しが行われるので、今後の地震の被害の規模によってはさらに新たな耐震基準ができるかもしれません。
耐震化の促進
建物の寿命は、法令でRC造(鉄筋コンクリート)は47年、SRC造(鉄筋鉄骨コンクリート)は60年と定められています。しかし、耐震基準が1981年に変更になってから32年しか経過していないことから、現在では新旧耐震基準の建物が混在している状況です。
国土交通省では首都直下地震や南海トラフ巨大地震に備えるために耐震化を促進しており、2018年時点で住宅が約87%、多数の人が利用する建物が約89%の耐震化されています。
耐震化は、壁を補強したり、屋根を軽くする以外にも建物の基礎を補強している場合があります。オフィスビルではリノベーションと同時に耐震化を行っている場合もあります。
2016年に発生した熊本地震で無被害だった木造建物は旧耐震基準で約10%、新耐震基準の改正がされた2000年6月以降に施工されたもので約60%でした。
上記の数字からもわかるように、耐震基準の違いで地震による被害が異なります。木造建物での比較ですが、より大きなオフィスビルでは違った結果になるかもしれません。
法令上は旧耐震基準の建物でも、耐震化で補強されたことにより、新耐震基準と同等の耐震基準をもつ建物になっているものもあります。ネット上には記載がない場合があるので、仲介会社や管理会社へ直接確認しましょう。
新旧耐震基準の違い
旧耐震基準
1950〜1981年5月末まで施行されました。
旧耐震基準は許容応力度計算(一次設計)で検証されてた基準で、数十年に1度発生する震度5程度の中規模地震で家屋が倒壊・崩壊しないとされています。
震度5よりも大きな規模の地震での検証はされていません。
新耐震基準
1981年6月1日から施行されています。
許容応力度計算(一次設計)と保有水平体力計算(二次設計)で検証された基準で、中規模地震では家屋がほとんど損傷せず、阪神・淡路大震災にも匹敵する震度6〜7の大規模地震で家屋が倒壊・崩壊しないとされています。
※東京都心内でオフィス・事務所移転を検討されている方限定となります。
※東京都以外での移転や飲食店舗、同業種(不動産関連)の方はダウンロードいただけないことがございます。ご了承ください。
耐震基準の確認方法
該当建物の確認申請承認日(建築確認日)からどちらの耐震基準か確認ができます。
旧耐震基準・・・1981年5月31日までに確認申請承認
新耐震基準・・・1981年6月1日以降に確認申請承認
着工前に確認申請承認が行われるため、完成日(竣工日)だけでは耐震基準の判別ができないので注意しましょう。
渋谷の新耐震基準のオフィスビル
渋谷には数多くの新耐震基準のビルがありますが、3棟ピックアップして紹介させていただきます。
渋谷スクランブルスクエア
渋谷スクランブルスクエアは、渋谷最大級の広さを誇る複合施設です。17〜45階がオフィスエリアになっています。
渋谷ヒカリエ
渋谷ヒカリエは、17〜34階にオフィスエリアがあり、その他の階にはショップやレストランも入っている複合施設です。
渋谷ソラスタ
渋谷ソラスタは、オフィスビルとしてだけでなく、コンファレンスルームとしても利用されています。
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まとめ
耐震基準について紹介させていただきました。
日本は地形の関係で地震が起きやすいため、地震対策がされているかどうかの基準が法令で定められています。
現在、新旧耐震基準のどちらも混在するタイミングですが、旧耐震基準の建物であっても耐震化を図り、補強を行っている場合もあります。地震の備えとしては新耐震基準や耐震化された建物も有効ですが、新耐震基準だから絶対に安全というわけではありません。
合わせて、耐震基準の他にハザードマップも併せて確認しましょう。
監修者
株式会社IPPO 共同創業者 取締役 大隅識文
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年株式会社IPPO(イッポ)を設立。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業までオフィス移転取引社数は500社以上、うち居抜きオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。オーナーとの関係性も非常に良く、居抜きオフィス移転の実務を知り尽くした、きめ細かなサポートに、オーナー・顧客からの信頼も厚く、リピートが絶えない。