監修者:大隅識文
株式会社IPPO共同創業者/取締役
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近年、リモートワークが急速に普及した影響でオフィスの空室率が高まり、空室を解消するべくフリーレント制度を活用するオーナーも増加傾向にあります。
本記事では、オフィス・事務所を契約する上でよく耳にする「フリーレント」について詳しくご紹介します。
この記事の目次
賃貸オフィスのフリーレントとは
賃貸オフィスのフリーレントとは、オフィスを借りる際に初期の数か月間、賃料を免除する制度です。
フリーレント期間が終了すると、通常の賃料が発生します。
また、オーナーは賃料を下げるよりもフリーレントをつけるケースが多く、テナントの興味を引き付け空室率を改善するための手法として普及しています。
これは、賃料を下げることにより不動産価値を下げないことと、入居者同士で異なる賃料で入居したことが発覚した場合に他テナントから減額交渉をされないようにするためでもあります。
レントホリデー制度との違い
フリーレントに関連した制度として、レントホリデー制度というものがあります。
オフィスを借りてから最初の数ヶ月間の賃料を免除されるフリーレント制度に対し、レントホリデーとは、賃料の免除期間を分割して適用できる制度です。
例えば、3年契約で6ヶ月間のフリーレント条件で契約する場合、毎年2ヶ月ずつ賃料が免除でき、各年間コストを削減できます。
移転時の初期費用を削減したい場合はフリーレント、複数の期間を定めて総額を抑えたい場合はレントホリデーが効果的です。
賃貸オフィスのフリーレントのメリット
賃貸オフィスのフリーレントは、入居者の初期費用を削減できるだけでなく、オーナーにとっても月額賃料を下げることなく空室率を改善できる合理的な制度でもあります。
具体的にフリーレントには、どのようなメリットがあるのか解説します。
数ヶ月間、無料で賃貸できる
賃貸オフィスの契約開始から数ヶ月間賃料が免除されるため、新規事業立ち上げやオフィス什器の買い揃えなどに資金を集中できます。
フリーレントの期間は、オフィス物件やオーナーごとに異なり、市場には1ヶ月〜9ヶ月以上まで幅広く選択肢があります。
月々の賃料を間接的に削減できる
フリーレント期間も賃料を支払うと仮定し、賃料の総額を契約期間全体で均等に割り、毎月の賃料単価を算出したものを均し賃料(ならし)と呼ぶことがあります。
(契約期間内の賃料総額-フリーレント総額)÷契約期間
フリーレントは実質的な月額賃料を抑えられます。ただし、共益費相当分は免除対象外となるため注意が必要です。
フリーレントを交渉しやすいオフィス物件とは?
高い空室率や入居テナント獲得の競争率が高いエリアに所在するオフィス物件は、フリーレントの交渉余地がある可能性が高い傾向があります。
その他にも、複数フロアや大規模なオフィス、長期的な契約を前提とした交渉である場合、オーナーの安定的な収益が見込めることから交渉しやすいと言えます。
ただし、フリーレントを交渉する際には、不動産市場の把握や需要と供給バランス、エリアなどを複合的に調査することが重要です。
最寄駅との距離があるオフィス物件
地理的な要因はフリーレントを交渉しやすいかどうかに影響を与えます。
特に、最寄駅との距離や路線が関係し、テナント獲得の競争が激しい地域であれば、フリーレント適用のハードルが低い傾向があります。
築年数が古いオフィス物件
最新設備を搭載する高性能な新築オフィスビル開発が進む中、旧耐震基準のオフィス物件や設備の老朽化が目立つ場合など、築年数が古い賃貸オフィス物件などは比較的敬遠されやすいのが実情です。
そのため、空室を埋めるべく競合に比べ好条件で入居者を募集する場合があり、フリーレントの交渉がしやすい可能性があります。
空室期間が長いオフィス物件
長期間空室が続いているオフィス物件は、オーナーにとって経済的な負担となり、フリーレントの交渉ができる可能性があります。
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フリーレントの賃貸オフィスの注意点
フリーレントは期間中全てが無料というわけではありません。
賃料とは別途発生する管理費や共益費、光熱費、廃棄物処理費などは、ビルや契約状況により発生するため、注意が必要です。
稀に共益費や管理費も含めた完全フリーレントというオフィス物件もあるため、事前に営業担当者に相談しましょう。
また、6ヶ月以上の長期間のフリーレントに多いオフィス物件は、短期解約の場合の違約金や特約が定められている場合があります。
契約期間より早期に解約すると残りのフリーレント期間分の賃料相当額または違約金が別途発生することがあります。
フリーレントを活用する際には、事前に違約金や特約があるか、契約内容の確認を徹底しましょう。
フリーレントは賃料を削減できる一方で、免除分を無料期間後の賃料に上乗せしているオフィス物件も存在します。
同じエリアの賃料相場も合わせて調査することが大切です。
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フリーレントを交渉する方法
賃貸オフィス・事務所のフリーレントの交渉は、契約前に行います。
オフィスを内見した際、契約を前提に不動産仲介会社の営業担当へフリーレントを求めている旨を伝えましょう。
契約を前提とすることで交渉が有利に働く可能性があります。以下、オフィス移転におけるフリーレントを交渉する方法を解説します。
地域の相場や需要と供給のバランスを把握する
移転先と同じエリアや条件の賃貸オフィス物件の相場を把握することが重要です。
オフィスの需要と供給バランスや地域の経済状況、オフィスの競合状況などを把握した上で交渉をすると有利に働くケースがあります。
契約開始の時期が遅すぎると総じてフリーレント期間も短縮されるケースが多いので契約開始のタイミングと合わせて確認しましょう。
条件変更の提案をする
交渉は営業担当へ相談後、営業担当からオーナーへ交渉をすることになります。
その際に人気エリアであるほどフリーレント交渉がオーナーにて承諾されないケースがあります。
その場合には契約条件変更も合わせて提案すると承諾を得やすい場合があり、例えばフリーレント期間分を延長した契約期間にすることや敷金の増額などがそれにあたります。
書類に記録する
交渉が成立した際には、交渉内容や結果を文書化することが非常に重要です。
その際に口頭だけではエビデンスが残らないため、メールやチャットツールを用いてどのような交渉を経てこの結果になったかを送ってもらいましょう。
フリーレント付きで契約する場合、賃貸借契約書にフリーレントの期間や条件などが記載されますが、記載内容が事前の話と異なる場合にはトラブル防止のため記載を依頼しましょう。
しかし、交渉は複雑であり時間を要します。
まずは豊富な専門知識やネットワークを有する不動産仲介会社に相談することが、交渉を有利に進める選択肢の一つです。
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監修者
株式会社IPPO 共同創業者 取締役 大隅識文
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年株式会社IPPO(イッポ)を設立。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業までオフィス移転取引社数は500社以上、うち居抜きオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。オーナーとの関係性も非常に良く、居抜きオフィス移転の実務を知り尽くした、きめ細かなサポートに、オーナー・顧客からの信頼も厚く、リピートが絶えない。
執筆者 ハイッテ編集部
株式会社IPPO全般のマーケティングを担っています。ハイッテの運用のほか、オフィス移転事例や賃料相場、オフィス調査なども行なっております。