10名→30名に増えたら、オフィスはどう変わる?採用拡大期別の選択肢
2025.07.23
2025.07.23
2025.08.27

スタートアップ・ベンチャー企業の急成長期において、オフィス戦略は事業成長を左右する重要な経営判断です。本記事では、「10名⇒30名」「30名⇒50名」「50名⇒100名」規模への拡大期における最適なオフィス移転のタイミング、選択肢、そして2025年最新トレンドを踏まえた実践的なアプローチを解説します。
目次
なぜ今、オフィス戦略が経営課題なのか
スタートアップ・ベンチャー企業が急成長期を迎えたとき、オフィス戦略は単なる「場所の問題」ではなくなります。
むしろ、採用力・組織力・財務健全性を左右する重要な経営判断となるのです。
特に資金調達を終えたばかりの企業にとって、オフィスへの投資は慎重になりがちです。
しかし、成長機会を逃さないためにも、適切なタイミングでの移転判断が求められています。
資金調達後の成長企業が直面する3つの課題
優秀な人材の獲得競争が激化する中、オフィスは「採用の決め手」となっています。
特にエンジニアやデザイナーなど、売り手市場の職種では、オフィス環境が内定承諾率を大きく左右します。
- 面接で来社した候補者の70%以上がオフィス環境を重視(※IPPO調査)
- 最新設備やクリエイティブな空間が「働きたい」という感情を喚起
- SNSでの発信力も考慮した、フォトジェニックな空間設計の必要性
コロナ禍を経て、働き方は不可逆的に変化しました。
しかし、スタートアップにとって「対面コミュニケーション」の価値は依然として高いのが実情です。
- 週2-3日出社のハイブリッド型が主流に
- 出社時は「コラボレーション重視」の活動に集中
- 個人作業用デスクよりも、チーム作業スペースのニーズが増加
この変化に対応できないオフィスは、生産性低下や従業員満足度の低下を招くリスクがあります。
調達した資金をどう使うか――投資家も注目するポイントです。
オフィスへの過剰投資は問題ですが、「ケチりすぎ」もまた成長の足かせとなります。
- 売上高に対する適正な賃料比率は5-10%
- 初期投資を抑えつつ、質の高い空間を実現する方法の模索
- 成長に応じた段階的な投資計画の重要性
2025年のオフィス市場動向
2024年から2025年にかけて、オフィス市場には大きな変化が起きています。
これらのトレンドを理解し、活用することで、より賢い選択が可能になります。
セットアップオフィスの新築ビルへの拡大
従来は既存ビルの空室対策として始まったセットアップオフィスが、新築ビルでも標準仕様として採用されるケースが増加しています。
- BIZCORE、ownsなど大手デベロッパーが戦略的に展開
- 周辺相場より3,000~5,000円/坪高くても成約する需要の高さ
- プロがデザインした洗練された空間を即座に利用可能
居抜き物件流通量の増加と活用メリット
内装工事費の高騰(2020年比で約30%上昇)と工期の長期化により、居抜き物件への注目度が急上昇しています。
- 退去企業:原状回復費用(数百万~数千万円)の削減
- 入居企業:内装工事費・期間ゼロでの即入居
- 環境配慮:廃棄物削減によるサステナビリティへの貢献
内装工事費の高騰と工期長期化への対策
建設業界の人手不足と資材高騰により、従来の移転スケジュールでは間に合わないケースが増えています。
- 工事期間:従来2-3ヶ月→現在3-4ヶ月以上
- 坪単価:従来20-30万円→現在30-40万円
- 早期の計画立案と、セットアップ・居抜きの活用が対策の鍵
成長の転換点を見逃さない – 移転タイミングの具体的指標
「いつ移転すべきか」――この判断を誤ると、成長機会の損失や無駄なコスト発生につながります。
ここでは、定量的・定性的な両面から移転タイミングを見極める方法を解説します。
定量的な判断基準
- 従業員数が現オフィスの適正人数の80%を超えた時
100%になってからでは遅い。80%到達時点で物件探しを開始すべきです。
例:50坪のオフィス(適正25名)に20名が在籍したら検討開始 - 会議室稼働率が常時90%を超える状態が3ヶ月継続
会議室不足は意思決定の遅延や、Web会議の増加による騒音問題を引き起こします。
稼働率は予約システムで可視化し、定期的にモニタリングしましょう。 - 1人あたりのオフィス面積が6㎡を下回る
快適な執務環境の最低ラインは1人6㎡(約2坪)。
これを下回ると、生産性低下や離職率上昇のリスクが高まります。 - 採用計画で半年後に20%以上の増員が見込まれる
移転には最短でも3-4ヶ月必要。採用計画が固まった時点で動き出すべきです。
例:現在30名→半年後36名なら、即座に移転準備を開始
定性的なシグナル
数値だけでは測れない「現場の声」も重要な判断材料です。
以下のようなシグナルが複数見られたら、移転を真剣に検討すべきタイミングです。
🚨 リモートワーク併用でも出社時のデスク不足が発生
「全員出社の日にデスクが足りない」「フリーアドレスでも席の奪い合いが起きる」
このような状況は、従業員のストレスを高め、出社意欲を低下させます。
🚨 部門間の物理的距離がコミュニケーションを阻害
「エンジニアと営業が別フロアで連携が取れない」「経営陣との距離を感じる」
物理的な距離は心理的な距離となり、組織の一体感を損ないます。
🚨 来客対応スペースの不足による機会損失
「商談用の会議室が常に埋まっている」「投資家との面談場所に困る」
ビジネスチャンスを逃すだけでなく、企業イメージの低下にもつながります。
移転タイミングの判断で最も多い失敗は「手遅れ」です。
限界まで我慢した結果、条件の悪い物件しか選べなくなったり、採用機会を逃したりするケースが多く見られます。
「まだ大丈夫」と思った時が、実は動き出すベストタイミングなのです。
フェーズ別オフィス戦略と実現できること
企業の成長フェーズに応じて、オフィスに求められる機能は大きく変化します。
ここでは、10名から100名への成長過程を3つのフェーズに分け、それぞれの戦略と実現できることを具体的に解説します。
Phase 1: 10名→30名|組織基盤の確立期
創業期を脱し、本格的な成長軌道に乗り始めるこのフェーズ。
「スタートアップ」から「組織」への転換期に必要なオフィス環境とは何でしょうか。
必要な変化
- 部門ごとのゾーニング導入
エンジニア、営業、管理部門など、職種特性に応じたエリア分けが必要に。
音環境への配慮(営業の電話vs.エンジニアの集中作業)が特に重要です。 - 専用会議室(2-3室)の確保
10名規模では共有スペースで済んでいた打ち合わせも、30名規模では専用空間が必須。
最低でも4-6名用×2室、8-10名用×1室は確保したいところです。 - カジュアルなコミュニケーションスペースの創出
給湯室の拡張やソファスペースなど、偶発的な会話が生まれる「場」の設計。
イノベーションの多くは、こうした非公式な場から生まれます。
実現できること
- 意思決定スピードの向上
専用会議室により、即座にミーティングを開催。待ち時間ゼロで議論から決定まで。 - 部門間連携の活性化
適切なゾーニングとコミュニケーションスペースで、部門の壁を越えた協働が自然発生。 - 採用面接の同時進行が可能に
複数の面接を並行実施でき、採用スピードが大幅に向上。優秀な人材を逃しません。
事例:株式会社SHAPE Partnersのケース
【課題】
- シェアオフィス閉鎖により、10名の組織に「自分たちの居場所」がない状況に
- 裁量労働制・リモートワーク中心の働き方ゆえに、オフラインコミュニケーションが不足
- 全員が集まる場所がなく、対面でのチームビルディングが困難。特に社会人経験のないインターン生との意思疎通に課題
- 採用活動において、企業文化を伝える「場」がなく、候補者とのミスマッチリスクが懸念される状況
【解決】
- 居抜きを活用し、前テナントのオフィス家具を全て引き継ぐことで初期コストを大幅削減
- 20名着席可能な執務スペースと専用会議室を確保し、学生インターンも含めた全メンバーが集まれる環境を構築
- 週1回の全員出社日を設定し、定期的な対面コミュニケーションの機会を創出
【結果】
- 居抜き活用で3月末検討開始→5月頭契約締結→6月入居完了の約2ヶ月でスピード移転を実現
- ミーティングや社内イベントの開催が容易になり、メンバー全員でのランチなど自然な交流が活性化
- インターン生の業務効率が大幅改善し、オフラインでの指導により成長スピードが加速
- 採用候補者を招いた懇親会の開催が可能になり、企業文化の理解促進によりミスマッチが減少
- 「自分たちの居場所」ができたことで、組織としての一体感と帰属意識が向上
Phase 2: 30名→50名|成長加速期
事業が軌道に乗り、急速な拡大期を迎えるフェーズ。
組織の柔軟性を保ちながら、スケールする仕組みづくりが求められます。
必要な変化
- 多目的スペースの確保
全社会議、研修、社内イベントなど、様々な用途に対応できる可変型スペース。
可動式パーティションで、20名の会議から50名のイベントまで柔軟に対応。 - フリーアドレス制の部分導入
営業部門やプロジェクトチームなど、流動性の高い部署から段階的に導入。
固定席とのハイブリッド運用で、変化への抵抗を最小化。 - 社内イベントスペースの創出
月例全社会議、歓送迎会、勉強会などを自社内で開催できる環境。
外部会場費の削減と、気軽なイベント開催による文化醸成を両立。
実現できること
- 複数プロジェクトの並行推進
プロジェクトごとに最適なチーム編成と作業スペースを即座に構築。 - 柔軟なチーム編成への対応
組織変更や新規事業立ち上げ時も、レイアウト変更なしで対応可能。 - 企業文化の浸透と一体感醸成
定期的な社内イベントで、増加する社員間の結束力を維持・強化。
事例:株式会社FoRのケース
【課題】
- 41坪のオフィスに20名が出社し、今後の採用強化を考えると手狭な状態。成長に対応できる執務環境の不足が顕在化。
- 窓が一部エリア(会議室)にしか存在せず、執務室は日光不足で暗い雰囲気。換気機能も弱く、コロナ禍において従業員が不安を感じる環境。
- 殺伐とした雰囲気で、軽いミーティングができるスペースがなく、メンバー間のコミュニケーションが取りづらい状況。
【解決】
- 渋谷駅周辺で約120坪の広々としたワンフロアオフィスに移転。取り壊し予定のビルで条件交渉によりコストを最適化。
- 執務室一面に窓を確保し、明るく開放的な環境を実現。換気機能も大幅に改善。
- こだわりの内装設計により、執務スペースとフリースペースを設置。自然と会話が生まれるブースを各所に配置し、コミュニケーションを促進する環境を構築。
【結果】
- 1月相談開始→3月物件確定→5月入居完了の約4ヶ月でスムーズな移転を実現
- 「開放感があって空気が美味しく感じる」ほど環境が改善し、明るい雰囲気で従業員の満足度が向上
- メンバー同士の会話が自然に増加し、部署を超えたラフなコミュニケーションが活性化
- 道玄坂より落ち着いたビジネス街で、豊富な飲食店がメンバーの出社意欲を向上 チーム作りと組織強化に寄与し、企業文化の醸成に成功
Phase 3: 50名→100名|組織成熟期
いよいよ100名規模へ。このフェーズでは、「ベンチャー」から「企業」への本格的な転換が求められます。
大企業の効率性とスタートアップの機動力を両立する、高度なオフィス戦略が必要です。
必要な変化
- ABW(Activity Based Working)の本格導入
集中作業、コラボレーション、リラックス、Web会議など、
活動内容に応じて最適な場所を選択できる環境設計。 - 専門性の高いチーム別エリア設計
エンジニアにはサーバールームやラボ、デザイナーには素材ライブラリーなど、
職種特有のニーズに対応した専門スペースを設置。 - 福利厚生施設(カフェテリア等)の充実
社員食堂、仮眠室、フィットネススペースなど、
「働きやすさ」から「働きがい」を生む環境への投資。
実現できること
- 事業部制への移行対応
独立性の高い事業部運営を支える、フロア分けやセキュリティ区画の実現。 - イノベーション創出環境の構築
R&D専用エリアや、社内インキュベーション施設の設置が可能に。 - 優秀人材の獲得・定着率向上
大手企業に負けない職場環境で、採用競争力と定着率を大幅改善。
事例:Aflac Ventures Japan株式会社/Hatch Healthcare株式会社のケース
【課題】
- 従業員数50〜60名への増加により執務環境が窮屈な状態に。セキュリティ対策を施した執務スペースが不足していた。
- 休憩スペースがなく、各自のデスクでランチを取るなど、オンオフのメリハリがつけられない環境が生産性に影響していた。
【解決】
- 南青山から代々木へ移転し、十分な執務スペースを確保。
- 執務エリアとは別に専用のリフレッシュスペースを設置し、部署の垣根を超えた自然な交流を促進する設計を採用。
- 2フロアに複数のフォンブースを配置し、オンラインミーティング環境を充実。
【結果】
- リモートワーク中心だった従業員の出社率が自然に増加
- ランチ時の従業員同士のコミュニケーションが活発化し、部署間交流が促進
- オンとオフの切り替えが明確になり、従業員の働きやすさが向上
- 新しい人材採用にもプラスの効果を発揮
リモートワーク時代の新しいオフィス活用戦略
コロナ禍を経て、働き方は不可逆的に変化しました。
しかし、「オフィス不要論」は既に過去のもの。今求められているのは、リモートとオフィスの最適な融合です。
ハイブリッドワークに最適な設計
出社率60%想定での座席数算出法
全員分の固定席は不要。しかし、少なすぎても問題です。
最適解は「総人員×0.7」の座席数確保です。
- 100名の組織なら70席を用意
- 部門ごとの出社率の違いを考慮(営業80%、エンジニア50%など)
- 繁忙期や全社イベント時の一時的な対応策も準備
座席予約システムの導入
フリーアドレスの課題「席が見つからない」を解決する仕組みです。
- 専用アプリで前日までに座席予約
- チーム単位での隣接席確保機能
- 利用データを分析し、レイアウト最適化に活用
コラボレーションスペース重視の設計
出社の目的が「協働」にシフト。個人作業スペースを削減し、
チームワークエリアを全体の40-50%に拡大します。
- ブレストルーム(ホワイトボード完備)
- プロジェクトルーム(1-2週間占有可能)
- カジュアルミーティングスペース(ソファ・ハイテーブル)
新しいKPI設定
ハイブリッドワーク時代には、従来とは異なる指標でオフィスの価値を測定する必要があります。
- スペース稼働率の最適化(目標:70-80%)
100%は過密、50%以下は無駄。70-80%が快適性と効率性のバランス点。
センサーやWi-Fi接続数で自動計測し、リアルタイムで可視化。 - 従業員満足度スコアの向上
四半期ごとのサーベイで、オフィス環境への満足度を数値化。
「出社したくなるオフィス」を目指し、継続的に改善。 - 1㎡あたりの生産性指標
売上高÷オフィス面積で、スペースの投資効率を測定。
業界平均との比較で、自社のポジションを把握。
ハイブリッドワークの成功企業に共通するのは、「オフィスの役割を再定義した」こと。
単なる作業場所から、コラボレーション・イノベーション・カルチャーの中心地へ。
この発想転換が、次世代のオフィス戦略の鍵となります。
コストを抑えながら質を高める – 最新オフィストレンド活用術
2025年のオフィス市場では、「高品質」と「低コスト」を両立する新しい選択肢が急速に普及しています。
セットアップオフィスと居抜きオフィスを戦略的に活用することで、従来の常識を覆す移転が可能になりました。
セットアップオフィスの活用
セットアップオフィスとは、内装工事が完了し、すぐに業務開始できる状態で提供されるオフィスです。
新築ビルでも標準仕様として採用されるケースが増え、選択肢が大幅に拡大しています。
メリット
通常の内装工事費用(坪30-40万円)が不要に。
50坪のオフィスなら、1,500-2,000万円のコスト削減が実現します。
- 内装工事費:0円
- 什器購入費:0円(家具付きの場合)
- 設計費用:0円
内装工事期間(通常3-4ヶ月)が不要なため、
契約から入居までのリードタイムを大幅に短縮。
- 急な人員増加にも対応可能
- 家賃の二重払い期間を最小化
- ビジネスチャンスを逃さない
有名デザイナーや設計事務所が手がけた洗練された空間。
自社でゼロから作るよりも高品質な環境を利用できます。
- 最新のワークプレイストレンドを反映
- 採用面接での好印象を演出
- SNS映えする空間で企業ブランディング
選定のポイント
- 将来の拡張性の確認
同一ビル内での増床オプションがあるか?
隣接区画の優先交渉権は確保できるか?
成長企業にとって、「拡張余地」は必須条件です。 - カスタマイズ可能範囲の把握
会議室の増設は可能か?
企業ロゴやブランドカラーの反映はどこまで許可されるか?
「完成品」でも、ある程度の個性は出したいものです。
居抜きオフィスの戦略的活用
居抜きオフィスは、前テナントの内装・什器をそのまま引き継ぐオフィス形態です。
入居時だけでなく、退去時のメリットも大きいことから、スタートアップの新定番となりつつあります。
メリット
通常、退去時には数百万~数千万円の原状回復費用が発生。
居抜きなら、この費用をゼロにできる可能性があります。
- 50坪オフィスの原状回復費用相場:500-1,000万円
- 居抜き退去なら:0円
- 次の成長投資に資金を回せる
既存の内装をそのまま使用するため、
契約即日から業務開始も可能です。
- ビジネスの継続性を最優先
- 移転による業務停滞リスクを最小化
- 顧客への影響を最小限に
廃棄物を出さない、環境に優しい選択。
ESG経営の一環としてPR活用も可能です。
- 産業廃棄物の大幅削減
- CO2排出量の削減
- 採用広報での差別化要素に
リスク管理
居抜きオフィスには特有のリスクも存在します。
事前の確認と対策で、トラブルを回避しましょう。
- 設備の残存耐用年数確認
エアコン、照明、配線などの経年劣化状況を専門家がチェック
修繕費用の見積もりを事前に取得
オーナーとの費用負担交渉も重要 - レイアウト変更の制約確認
造作物の移動・撤去は可能か?
追加工事の許可範囲は?
「使い勝手」と「制約」のバランスを見極める
セットアップと居抜き、どちらも「スピード」と「コスト」で圧倒的な優位性があります。
IPPOでは、両方の選択肢から最適な提案をしています。
特に居抜きは、退去企業と入居企業のマッチングが鍵。IPPOでは居抜き専門チームを設置し、長年居抜き物件を扱ってきた豊富なネットワークを駆使して、理想の物件をご紹介します。
セットアップ vs 居抜き 比較表
項目 | セットアップオフィス | 居抜きオフィス |
初期費用削減率 | 60-70% | 70-80% |
入居までの期間 | 2-3週間 | 1-2週間 |
デザイン性 | ◎(プロデザイン) | △(前テナント次第) |
カスタマイズ性 | △(制限あり) | ○(交渉次第) |
退去時の負担 | 〇(原状回復必要なことも) | ◎(引き継ぎ可能) |
物件数 | ○(増加中) | △(タイミング次第) |
移転を成功に導く実践的チェックリスト
オフィス移転は、企業にとって数年に一度の大型プロジェクト。
計画的な準備と段階的な実行が、成功の鍵を握ります。
スケジュールガイド
弊社が運営する物件紹介サイトにて、オフィス移転を7つのステップに分解し、やるべきタスクを解説するガイドを無料でダウンロードいただけます。坪数・準備期間別スケジュールガントチャートのサンプルも付いておりますのでぜひ本記事と併せてご活用ください。
財務面から見る投資判断のポイント
オフィス移転は大型投資。「感覚」ではなく「数字」で判断することが、
健全な経営と成長の両立につながります。
初期投資の目安
30名規模の企業が50坪のオフィスに移転する場合の試算
オフィスタイプ | 1人あたり費用 | 30名総額 | 内訳 |
通常オフィス | 50-100万円 | 1,500-3,000万円 | 内装工事費:1,000-1,500万円 什器購入費:300-800万円 移転諸経費:200-700万円 |
セットアップ | 20-40万円 | 600-1,200万円 | 保証金増額分:300-600万円 移転諸経費:200-400万円 追加什器:100-200万円 |
居抜き | 10-30万円 | 300-900万円 | 譲渡費用:100-500万円 移転諸経費:150-300万円 修繕費用:50-100万円 |
ROI算出の考え方
オフィス投資の効果は、直接的な数値として現れます。
以下の3つの観点から、投資対効果を測定しましょう。
採用コスト削減効果(内定承諾率向上)
- エンジニア1名採用コスト:200-300万円
- 内定承諾率が50%→70%に改善した場合
- 年間10名採用で1,000万円のコスト削減
離職率低下による人材維持コスト削減
- 離職に伴う損失:年収の1.5倍
- 離職率が15%→10%に改善(30名中1.5名減)
- 年間750万円の損失回避
生産性向上による売上貢献
- 快適な環境で生産性10%向上
- 1人あたり売上高3,000万円の企業
- 30名で年間9,000万円の売上増効果
リスクヘッジ
成長企業特有のリスクに備えた、守りの戦略も重要です。
- 段階的な投資計画
初期は必要最小限→業績に応じて追加投資
居抜き・セットアップなら初期投資を抑制可能 - サブリース条項の活用
余剰スペースの転貸を可能にする条項
成長が鈍化した場合の固定費削減策として - 複数シナリオでの収支シミュレーション
ベスト・リアル・ワーストケースで試算
ワーストケースでも耐えられる投資規模に
よくある失敗パターンと回避策
多くの成長企業のオフィス移転を支援してきた経験から、
「よくある失敗」とその回避策をご紹介します。
失敗1:成長スピードの読み違い
【よくあるケース】
「1年後に倍増予定」で広いオフィスを契約したが、成長が鈍化。
広すぎるオフィスで固定費だけが重くのしかかる…
回避策:3つのシナリオプランニング実施
- 積極シナリオ(30%):計画以上の成長
- 現実シナリオ(50%):計画通りの成長
- 保守シナリオ(20%):成長鈍化
→ 現実シナリオをベースに物件選定し、
積極シナリオには「増床オプション」、保守シナリオには「サブリース」で対応
失敗2:現場ニーズとのミスマッチ
【よくあるケース】
経営陣だけで決めた「かっこいいオフィス」が、現場には不評。
「会議室が足りない」「集中できない」と不満が噴出…
回避策:部門代表者を含むプロジェクト体制
- 各部門から1名以上の代表者を選出
- 若手社員の意見も積極的に取り入れる
- 内覧時は必ず複数メンバーで訪問
→ 「みんなで作るオフィス」という意識が、
移転後の満足度と定着率を大きく向上させます
失敗3:移転後の文化希薄化
【よくあるケース】
広くなったオフィスで部門が分断。
「前のオフィスの方が一体感があった」という声が…
回避策:移転を機にした文化醸成プログラム実施
- 移転記念イベント:全社員参加のキックオフパーティー
- 新ルーティン導入:週1回の全社朝会、月1回の全社ランチ
- 空間設計の工夫:中央に全社員が集まれるイベントスペース
→ 「物理的な広さ」を「心理的な近さ」でカバーする仕組みづくりが重要
失敗の多くは「準備不足」と「コミュニケーション不足」から生まれます。
IPPOでは、これらの落とし穴を回避するための「移転プロジェクト伴走サービス」も提供しています。
物件探しから移転後のフォローまで、成長企業の「右腕」としてサポートします。
貴社の状況にあわせて伴走するのがIPPOの特徴です
オフィス移転は、単なる「場所の変更」ではありません。
企業の成長ステージ、組織文化、そして未来への投資戦略が交差する重要な経営判断です。
私たちが伴走しながら一緒に考えること
IPPOは、貴社の現在の勢いだけでなく、3年後、5年後の姿を複数シナリオで描きながら、成長パターンに応じた柔軟な物件選びをサポートします。増床オプションやサブリース条項など、将来の変化に対応できる契約条件の交渉も、私たちの重要な役割です。
また、10名から30名、50名、100名へと成長する各フェーズで必要となる機能は大きく異なります。「スタートアップから組織への転換」「急成長への対応」「企業文化と効率性の両立」など、それぞれの段階で優先すべき要素を明確にし、無駄な投資を避けながら最適な環境を実現します。
さらに、創業時の想いや企業文化を新しい空間でどう表現するかも重要なポイントです。ブランドアイデンティティを体現し、社員が誇りを持てる「らしさ」のあるオフィスは、採用広報でも大きな武器となります。単なる機能的な空間ではなく、貴社のストーリーが感じられる場所づくりをお手伝いします。
そして2025年の今、セットアップオフィスや居抜きオフィスという選択肢が、初期投資を最大80%削減しながら質の高い空間を実現する新しい可能性を開いています。これらは単なるコスト削減策ではなく、スピードと柔軟性を確保する戦略的な選択です。入居時だけでなく退去時まで見据えたトータルでの最適化を、各選択肢のメリット・デメリットを正直にお伝えしながら提案します。
まずは、貴社の「今」と「これから」をお聞かせください。
- 現在の課題は何か
- どんな組織を目指しているか
- オフィスに何を期待するか
正解は一つではありません。
100社あれば100通りの最適解があります。
IPPOは、貴社だけの最適解を一緒に見つけ、実現まで伴走します。
物件探しから契約交渉、移転プロジェクト管理、そして移転後のフォローまで。
成長企業の「オフィス戦略パートナー」として、全力でサポートいたします。
オフィス移転は、企業成長の大きな転機。
その転機を、成功への跳躍台に変えるお手伝いをさせてください。
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