資金調達後、何から動くべき?オフィス戦略スタートガイド
2025.07.08
2025.07.08
2025.07.10
資金調達を終えたスタートアップの経営者の方々から、“次に何から手をつけるべきか迷っている”という声をよくいただきます。
この記事では、そんなフェーズにある皆さまに向けて、IPPOがご提案する“成長を支えるオフィス戦略の第一歩”をお届けします。
目次
資金が入った。でも、次にやるべきことが見えていない──そんな経営者は少なくありません。
こんにちは、IPPOの関口です。
スタートアップにとって資金調達はひとつのマイルストーンですが、
調達“後”のフェーズにこそ、本当の意思決定の難しさがあります。
- 採用を加速したい
- 組織を強化したい
- プロダクトを磨きたい
やるべきことは山積み。
でもその中で、“オフィス戦略”が後回しにされているケースを、私はたくさん見てきました。
よくあるのが「とりあえず手狭になったら考えよう」という判断
確かに、今いる場所に不満がなければ、移転は優先度が低く見えるかもしれません。
しかし実際には、オフィスこそ、成長戦略を支える「静かなインフラ」です。
調達直後だからこそ、“これからの組織に必要な器”を設計するタイミングなのです。
オフィス戦略が経営に与える3つのインパクト
用活動において、オフィスは間違いなく“印象形成の最後の一押し”になります。
面接に来た候補者が「この会社、勢いあるな」「この空間で働いてみたい」と思えるかどうか。
これは、求人票やスカウトメールには書ききれない“無言の魅力”です。
実際、IPPOがご支援した企業の中には、内装やレイアウトを変えたことで内定承諾率が上がったという事例もあります。
働く環境は、文化を表現し、行動様式に影響を与えます。
- チーム間の距離感
- 雑談や相談のしやすさ
- 役割に応じたゾーニング
こうした設計は、「採用した人が活躍できるかどうか」に直結します。実は、“合うオフィス”は、経営者のマネジメントスタイルと密接に関係しているんです。
調達直後は、社内外から「資金の使い方」に注目が集まるタイミングです。
このとき、“どれだけ効率的に、効果的に使っているか”が信頼形成に関わってきます。
その点で、「居抜きオフィス」は非常に合理的です。
- 不要でスピード移転(→採用と事業を止めない)
- 内装を活かしてコスト削減(→資金を事業に回せる)
- 廃棄ゼロで環境にも配慮(→PRにも活用可能)
企業としての“意思ある選択”として、評価されることが増えています。
オフィス戦略は「いつかやること」じゃなく「今、設計するもの」
資金調達直後の企業がオフィスを考えるタイミングで、よくある失敗はこの3つです
- 契約終了ギリギリになってから焦って動く
- 経営陣だけで決めてしまい、現場とズレる
- 単純に「広さ」で選び、ブランドや文化との相性を見落とす
IPPOが提案する「オフィス戦略設計の5ステップ」
⇒オフィス戦略の土台となるのは、明確な事業成長シナリオです。特にスタートアップでは、急成長フェーズを見据えた計画が不可欠です。
- どのくらいの期間を見据えるのか
(例えば、12か月・24か月・36か月の人員計画を作成)
・現在10名なら、1年後20名、2年後40名といった具体的な数値目標
・部門別の内訳(エンジニア60%、営業20%、管理部門20%など) - シナリオプランニングの実施
・ベストケース:資金調達成功、売上倍増
・リアリスティックケース:計画通りの成長
・ワーストケース:成長鈍化、人員維持 - ワークスペースの必要数算出
・1人あたり6-8㎡を基準に算出
・会議室は10名に1室、フォンブースは20名に1室が目安
⇒オフィスは働き方と密接に連動する、組織文化を体現する場所です。
- 働き方ポリシーの策定
・フルリモート、週2-3出社、原則出社など明確化
・コアタイム設定(例:10-15時は原則オフィス)
・部門別の出社頻度差も考慮 - 立地戦略との連動
・毎日出社→採用ターゲット層の居住エリアを分析
・週3出社→主要ターミナルから30分圏内
・フルリモート前提→都心から離れた安価なエリアも選択肢 - コラボレーションスペースの設計思想
・オープンイノベーション型:70%オープンスペース
・集中作業重視型:個室ブース多め
・ハイブリッド型:可変レイアウト採用
⇒オフィスは、候補者の入社意欲を左右する最強の採用ツールです。
- ビジュアルアイデンティティの反映
・コーポレートカラーを効果的に配置
・ロゴやミッションステートメントの掲示
・プロダクトやサービスを体感できる仕掛け - 採用ページとの連動
・オフィス写真を採用サイトのメインビジュアルに
・社員インタビューの背景として活用
・バーチャルオフィスツアーの実施 - 来客エリアのブランディング
・エントランスで企業理念を表現
・会議室名にサービス名や価値観を反映
・顧客事例や受賞歴の展示
⇒特にスタートアップの経営では、固定費管理は生命線です。適切な投資判断が求められます。
- 予算配分の目安
・賃料:売上高の5-10%以内
・初期投資(内装):1人あたり50-100万円
・ランニングコスト:賃料の1.5倍で試算 - コスト最適化の工夫
・セットアップオフィスの活用(初期投資削減)
・段階的な内装投資(最初は必要最小限)
・サブリース可能な物件選定 - ROI視点での投資判断
・採用競争力向上による採用コスト削減効果
・従業員満足度向上による離職率低下
・顧客来訪時の成約率向上
⇒成長企業の宿命は想定を超える急拡大。柔軟性のない計画は成長の足かせになるため事前の備えが重要です。
- 拡張オプションの確保
・同一ビル内の追加フロア優先権
・隣接区画の優先交渉権
・短期解約条項の交渉(6ヶ月前通知など) - フレキシブルなレイアウト設計
・可動式パーティション活用
・多目的スペースの確保
・将来の用途変更を見込んだ配線計画 - 1.5倍ルールの適用
・現在20名なら30名分のスペース確保
オフィス戦略は、これら5つのステップを有機的に連携させることで初めて機能します。特にスタートアップにとって重要なのは、「攻めの投資」と「守りのリスク管理」のバランスです。
これらをもとに、“今に最適で、未来にもフィットする空間”をつくるのがIPPOの仕事です。
最後に|オフィスは「コスト」ではなく「意思」です。
オフィス戦略は、目に見えにくいけれど、企業の文化や人材、信頼に確実に影響します。
適切に設計されたオフィス戦略は、採用力向上、生産性向上、企業文化醸成といった形で、確実にリターンをもたらします。オフィスは「コスト」ではなく「投資」として捉えることが重要です。
「まだ少人数だから…」ではなく、
「少人数だからこそ、カルチャーの土台をつくる」という発想が、成長を加速させる。
僕たちIPPOは、そんな“一歩目”から企業のそばにいる存在でありたいと思っています。
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執筆者
株式会社IPPO 代表取締役社長
関口秀人
「不動産の商慣習を再定義し、これからのあたりまえを創る」をミッションに不動産仲介営業部の統括を行い、現在も第一線で営業活動を行う。