目次
多様な働き方が浸透する中、様々な雇用形態や職種の方が働きやすい職場環境を構築する動きが増えています。その中でも注目されている働き方のひとつが「フリーアドレスオフィス」です。近年では、様々な業種の会社が導入している一方で、一度導入したものの廃止する企業も存在します。フリーアドレスオフィスは導入時に綿密な計画と事業特性との相性、そして従業員の希望に沿った上で導入しなければ、コストと時間が無駄になってしまいます。本記事ではフリーアドレスオフィスの概要やメリット、デメリット、導入方法を解説します。
フリーアドレスオフィスとは
フリーアドレスオフィスとは、近年注目を集めているオフィス形態のひとつで、社員が個人席を持たずに空いている席を自由に使用できるオフィスレイアウトです。外回りや出張が多い営業主体の企業や在宅勤務が可能な技術職が多い企業で多く採用されています。新しい働き方を実現するためのオフィスレイアウトとしても注目されていますが、自社の事業特性や社員の働き方に合わずに廃止する企業も存在します。
▼フリーアドレスとは▼
フリーアドレスとは、1990年代後半より、外資系企業やIT企業で導入され始めた、オフィスに社員の固定席を作らずに自由なスペースで仕事を行う働き方です。オフィスの固定席という概念を見直すことで、コスト削減やコミュニケーションの活性化を目指す手段として注目されています。近年、フリーアドレスを導入する企業が増えている一方で、フリーアドレスを廃止し、従来の固定席に戻す企業も存在します。
フリーアドレスオフィスがおすすめの企業の特徴
フリーアドレスオフィスを導入し、社員の生産性や満足度の向上に成功している企業には以下の特徴があります。
- Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を導入している
- ペーパーレス化を積極的に推進している
- ノートパソコンやタブレットなど持ち運びが可能なデバイスを中心に使用している
- 小規模の会社でスペースを有効活用したいと考えている
- エンジニアや営業中心といった職種が多い業界
Activity Based Workingとは、ABWとも呼ばれており、オフィス、自宅、コワーキングスペース、カフェなど社員自らが働く場所を自由に決められる働き方を指します。フリーアドレスオフィスを導入する前から柔軟な働き方を導入している企業はフリーアドレスオフィスと相性が良いといえます。また、ペーパーレスを推進している、デスクトップPCを必要としない企業も従業員の場所を固定する必要がないため、フリーアドレスオフィスを導入しやすいといえます。
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フリーアドレスを廃止する企業の特徴とは
近年、フリーアドレスを導入する企業が増えている一方で、フリーアドレスを廃止し、従来の固定席に戻す企業も存在します。
フリーアドレスを廃止した理由には、以下が挙げられます。
- メンバーがどこにいるかわからない
- 集中力が落ちる
- 部署・チーム単位でのコミュニケーションが減る
- いつも同じメンバーが集まって座る
- 書類や持ち物などの管理が煩わしい
- 人材育成がしにくい
- 社員へのフリーアドレスを導入した目的や意義の周知が不足している
- フリーアドレスが向かない事業形態、部署だった
などが挙げられます。
特に従業員数が多い中堅企業以上の企業だとフリーアドレスによるメリットよりもデメリットが多くなる傾向があります。しかし、スタートアップやベンチャー企業といった従業員数が限られる企業において、フリーアドレスのメリットは大きく、導入するスタートアップやベンチャー企業が増えています。
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フリーアドレスのメリット・デメリット
フリーアドレスは働き方改革の一環として採用されることが多く、様々なメリットがあります。
フリーアドレスのメリット
フリーアドレスのメリットには、「社内コミュニケーションの活性化」や「環境美化と省スペース実現」、「組織編成や人員増加に対応しやすい」、「自律的な働き方を推進」が挙げられます。
●社内コミュニケーションの活性化
フリーアドレスを取り入れることで、部署や部門または立場を超えた交流が可能です。決まったメンバーではなく、今まで関わることが少なかったメンバーとコミュニケーションをとることができます。組織内の壁が取り払われることで、組織横断的なコミュニケーションが活性化し、社員の働く意欲や仕事へのモチベーションが上がる効果も期待できます。従来、あまり交流がなかったメンバーとの会話やアイデアの相談を通して、イノベーションの創出やサービス品質の向上に寄与し、従業員の創造性や課題解決力を育むことができます。
●環境美化と省スペースの実現
フリーアドレスを導入することでオフィスの環境美化とセキュリティの向上も期待できます。固定席の場合、自席に不要な物や書類などの私物を置いてしまいがちとなり、「どこに何があるのか」が区別がつかず、資料が見つからないなど業務上にも支障が出てしまいます。フリーアドレスオフィスは、専用のキャビネットやロッカーから仕事の必要なものだけを持って席を移動します。物が少ないことで掃除や整理整頓もしやすく、すっきりとした空間が広いオフィスの実現も可能です。また、必要最低限の荷物を持っての移動となるため、重要資料の紛失や、情報漏洩対策にも効果も期待できます。
さらに限られたスペースを有効活用でき、コスト削減に繋がります。固定席は、各メンバーに専用の座席を与える必要がありますが、営業担当者は外回りが多いため、在席率が低い傾向にあります。フリーアドレスオフィスであれば、固定席を削減でき、無駄なスペースが生まれることはありません。新たに生まれた空間は、社員のコミュニケーションスペースや休憩スペースなどに利用することが可能です。不要なスペースを削減し、有効活用することでメンバー同士の新たな交流も発生しやすくなります。その結果、オフィスの最小化に繋がり、賃料などのコスト削減にも繋がります。
●組織編成や人員増加に対応しやすい
スタートアップやベンチャー企業など事業成長が早い企業にとって、組織編成や人員増加への対応は柔軟性や迅速性が求められます。フリーアドレスオフィスであれば、新たに固定席を準備する必要がないため、急な組織編成や人員増加にも対応がしやすく、事業成長速度を加速できます。
●自律的な働き方を推進
フリーアドレスオフィスでは、社員それぞれが自由に座席を選択できるため、業務の進捗管理を社員個人が徹底する必要があります。そのため、フリーアドレスオフィスでは、社員の自律的な働き方を推進できるため、会社全体の生産性向上のきっかけにもなります。
フリーアドレスのデメリット
フリーアドレスには様々なメリットがありますが、一方でデメリットもあることを忘れてはなりません。フリーアドレスのデメリットは、「集中力が低下する」、「ストレスが溜まりやすい」、「物品管理やマネジメントが面倒くさい」、「社員が疲れやすい」の4つが挙げられます。
●集中力が低下する
フリーアドレスの導入は、社員によっては集中力が低下することがあります。自分の業務とは関係のない従業員が近くに座ることがあるため、会話や電話の声が気になったり、自分の空間がないことで周囲との距離感が近すぎると感じることがあります。集中しづらい環境では作業が進まず、ストレスや生産性が低下するなどの原因になりえます。そのため、オフィスのレイアウトを工夫する、電話可能なエリアを限定するなどの対策が必要です。
●ストレスが溜まりやすい
フリーアドレスオフィスでは、業種やチームワークが求められる業務内容では、コミュニケーションがうまくいかずに業務が滞ることがあります。その結果、業績悪化や業務遅延、コミュニケーションロスによるミスの発生が起こり、従業員のストレスが溜まりやすくなります。
●物品管理やチームマネジメントが面倒くさい
フリーアドレスオフィスは席が固定していないため、郵便物や電話の取り継ぎが難しい傾向があります。また、チームで活動している場合、管理職がチームメンバーのマネジメントがしづらく、教育がうまくいかない、上司や先輩社員に質問しづらいなどの影響が出ることがあります。こうした、デメリットにはグループアドレスの導入で改善が可能です。グループアドレスとは、デスクの島などのグループ毎にフリーアドレス席を作ることです。グループアドレスの導入はチームメンバーのコミュニケーションを活性化し、チームマネジメントの効率化やチームメンバーの連帯感の強化に効果的です。
●社員が疲れやすい
フリーアドレスは自席が固定していないため、毎日作業する席を探し移動しなければなりません。また、いつも使用している席を他の従業員が使用していることがあります。そのため、慣れない椅子や机、また頻繁に移動することで、固定席よりも疲れやすくなります。さらに近く座る従業員が毎回変わることも多く、人によっては気疲れが起きやすくなります。集中スペースなど完全個室席を作るなど作業に集中できる席を用意することがおすすめです。
帰属意識や愛着心の低下
フリーアドレスでは毎日好きな席が選べるため、所属している部署に対する意識は薄れてしまいがちです。部署内のコミュニケーションが希薄になることで、集団意識が薄れ組織への帰属意識や愛着心が低下する可能性があります。また上司と部下との連絡が取りづらくコミュニケーションがしづらくなるため、週に一度は部署ごとに同じスペースで仕事をする、グループアドレスを導入するなどの対策が必要です。
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フリーアドレスオフィスの導入方法を解説
フリーアドレス制を導入して、フリーアドレスオフィスを実現するためには、適切な方法で導入する必要があります。
フリーアドレスの導入目的を決定する
フリーアドレスを導入する目的を全社員で共有し、全社目標を明確にすることが大切です。「部署間を超えて、コミュニケーションを促進し、イノベーションやサービス品質の向上を目指す」、「多様な働き方を導入して、社員の生産性を高める」など従業員の理解を得た上で導入目的を決定しなければなりません。
フリーアドレス独自のルールを策定する
フリーアドレスオフィスでは、固定席と違ったメリットやデメリットが発生するため、独自のルール策定が不可欠です。席を固定化しない、重要書類や機密事項の会話に関するルールを決めるといった独自のルールを決定しましょう。
必要なツールを用意する
フリーアドレスオフィスを導入するために最も必要となる備品がノートパソコンです。作業中のデータを全て保存できる、持ち運びがしやすいノートパソコンの導入を検討しましょう。外出が多い営業職の場合には、持ち運びしやすいモバイルタイプのノートパソコンがおすすめです。社内のどこからでもノートパソコンを使用できるよう、有線や無線でのLAN環境やインターネット環境を充実させておくことも大切です。
また、デスクや専用ロッカーも必要です。フリーアドレスを採用している企業では円形テーブルや長机を使用していることがよくあります。複数人が着席でき、コミュニケーションが円滑になるほか、人数の増減にも対応可能です。その他、プライバシーや集中力を高める仕切りがある個人席、完全個室の集中スペース、チームメンバー全員が同時に集まり業務ができるスペースなどの確保が必要です。専用ロッカーはノートパソコンの他、パソコンに保存できない資料や重要データの保管に必要です。その他に自由な場所で仕事をできる環境では、不審者の入室に注意することも欠かせません。IDカードによる入退室可能なオートロックのドアなど、入退室管理システムの導入も必要です。
対象部署を選定する
フリーアドレスを導入する際に、職種や業務内容によって、向き・不向きがあることを忘れてはなりません。外回りが多い営業職や他部署との交流が必要な企画部門ではフリーアドレスが取り入れやすい一方で、経理などの管理部門では個人情報や重要書類を扱うことも多いため、フリーアドレスには不向きと言えます。またチーム単位での開発業務に携わるエンジニアなど、プロジェクトや必要リソースによってはフリーアドレスに適さないこともあります。フリーアドレスを全社で行っている企業も多いですが、部署や業務内容の向き・不向きを考えた上で、部分的に固定席を残す工夫も必要です。
座席の運用形態を決定する
フリーアドレスオフィスには、完全フリーアドレスとグループアドレスの2種類が存在し、事業内容や職種の割合によって、どちらの運用形態を導入するかを決定します。完全フリーアドレスの場合、エリアを限定せずに従業員が好きな席に座れるため、部署間を跨いだコミュニケーションの活性化が期待できます。一方で、フリーアドレスでは、チームワークが必要な業務の生産性を高め、マネジメントや部署間の連携、メンバー同士連携が取りやすくなります。多くの企業はフリーアドレスとグループアドレスのハイブリット型を選択しているため、自社の事業特性に応じて、導入割合を検討しましょう。
フリーアドレスの運用ルールを周知する
フリーアドレスの運用ルールはオフィス運用マニュアルや社内説明会の実施により周知できます。マニュアルは社内イントラで誰もがいつでも閲覧できるようにしておくことが大切です。また、運用ルールを作成してもマニュアルを見ない社員やルールを守らない社員も少なからず現れます。そのため、オフィス運用マニュアルを作成する際は総務担当者が主導しつつもフリーアドレスの対象社員に実際にフリーアドレスを使ってもらった上でオフィス運用マニュアルの作成に一緒に参加してもらうことがおすすめです。
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※毎週更新【8月28日(月)更新】
フリーアドレスオフィスを実現した成約事例
スタートアップやベンチャー企業のオフィス移転仲介を専門とするハイッテ by 株式会社IPPOでは、フリーアドレスオフィスを実現した実績があります。その中でも、オフィス移転を機にフリーアドレスオフィスを実現し、生産性向上や従業員満足度の向上に成功した企業様をご紹介します。
株式会社ノンピ
様々なフードソリューションを提供する食のプロフェッショナル、株式会社ノンピは新しいビジネスモデルに最適なオフィスが必要となったためオフィス移転を決意。テレワークを主軸とした柔軟なオフィスとして、全席フリーアドレスを導入されました。以前よりもコミュニケーションが活発となり、社内で新しい交流が生まれたほか、社内が常に整理整頓されるようになり、オフィス全体で清潔感が保たれるようになりました。
株式会社KOMPEITO
『置き型健康社食』の福利厚生サービス【OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)】を提供する株式会社KOMPEITOは人員増加をきっかけにオフィス移転を決意。移転をきっかけにオンラインミーティングや集中スペースの設置のほか、グループアドレスを導入したことで部署内外でのコミュニケーションの活性化につなげ、より円滑に業務を進められるようになりました。
Crezit Holdings株式会社
FinTechスタートアップであるCrezit Holdings株式会社では、サービスレベルの向上のために採用強化を目的にオフィス移転を決意。オフィス移転をきっかけに集中できる場所を確保し、フリーアドレスを導入したことで、フルリモートから週1日出社への移行や出社するメンバーの増加につながり、社員のモチベーションや満足度の向上に高い効果を得られました。
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- 今までのオフィス移転仲介実績から経営戦略、従業員の働き方に応じた物件提案が可能
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まとめ
本記事では、フリーアドレスオフィスのメリットやデメリット、導入方法に加えて、実際にフリーアドレスオフィスを実現されたスタートアップ・ベンチャー企業をご紹介しました。フリーアドレスオフィスは働き方の多様化やイノベーションの創出に寄与し、従業員の生産性や満足度の向上にも役立ちます。スペースコストの削減や社内コミュニケーションの活性化が期待できるため、多くの企業が導入を検討しています。一方で、フリーアドレスオフィスの導入は事業特性や従業員の職種によって、向き不向きがございます。グループアドレスの導入やレイアウトの工夫でデメリットを解決できるため、ぜひお気軽にご相談ください。
営業担当者 / ハイッテ編集部 監修者
取締役
大隅識文(osumi norifumi)
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年IPPO(イッポ)を設立。ベンチャー企業が登壇する「Morning Pitch(モーニングピッチ)」の運営に長年携わる。2000社以上の繋がりからお客様同士をマッチングさせることも。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業まで移転取引社数は500社以上、うち居抜きのオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。