目次
オフィス・事務所の解約する際の解約手続きの詳細や注意点を徹底解説します。オフィス・事務所の解約方法や必要書類などを把握することで、無駄な手間や費用を削減し、トラブルなくスムーズな手続きが可能になります。
一概に解約をしてオフィス移転をした方が良いわけではないため、事業計画や採用計画に見合ったオフィスか検討しましょう。
オフィス・事務所を解約する際に必ず必要となるものの1つが「解約通知書」。
物件によりますが、解約日の3〜6ヶ月前には提出の必要があり、提出を忘れると希望通りに解約できない可能性もあります。
まずは、宅地建物取引士監修の解約通知書テンプレートをダウンロードしてオフィス・事務所の解約をスムーズに進められるように準備しましょう。
オフィスを解約するメリットとは
現在入居しているオフィス・事務所が広すぎたり、使用人数に見合っていない場合、解約することでコスト削減や従業員の働き方改善、事業成長の最適化などのメリットを享受できます。本章では、現在のオフィス・事務所が最適化されていない場合の解約のメリットについて詳しく解説します。
コスト削減
オフィス・事務所を解約することにより賃料や光熱費、管理費などオフィス・事務所運営にかかる費用を削減できます。都心部のハイグレードビルやサービスオフィスなど設備が整っているオフィスを賃借すると、毎月高額な賃料が固定費として掛かります。一方で、都心部でも築年数が経過している物件や駅までの距離が少し離れた物件に移転すれば、賃料の引き下げが可能です。
従業員の働き方の改善
現在のオフィス・事務所が広すぎる場合は密なコミュニケーションができず、逆に狭すぎる場合は席数が不足したり出社したいメンバーが出社できない可能性も考えられます。そのような場合には現在のオフィスを解約して、適切な広さ・条件のオフィス・事務所に移転することで従業員の働き方を改善できます。
例えば、フリースペースやフォンブースを設置することで空間を効率よく使用し、メリハリをつけて働くことも可能です。
事業成長の最適化
スタートアップ・ベンチャー企業の多くは事業フェーズに併せてオフィス移転を行いますが、そのオフィス・事務所が最適化されていない場合、オフィス・事務所が事業成長の阻害要因になることも考えられます。
オフィス・事務所は毎月の賃料や光熱費などのランニングコストが広さによっては数百万円単位になることもあります。不要なスペースがあると無駄な賃料・光熱費が発生するため、解約して新オフィスを構えることでフリーキャッシュを増やせるかもしれません。加えて、坪数が大きすぎる場合、コミュニケーションが取りづらいことにより事業展開のスピードが遅くなる可能性もあります。内装やレイアウトをMVVにフィットさせたものにすることにより、企業ブランディングも可能になります。
オフィス・事務所を解約してどのような目的を達成したいかによってどのようなオフィスが最適か検討しましょう。
レイアウトひとつで社員の採用率や定着率が改善することも!?事業や業界事情により異なるレウアウトは生産性にも大きな影響があり、その後の事業成長速度にも寄与します。また、移転の検討段階からレイアウトを計画的に考えることで、移転工数も大幅に削減が可能です。新しいオフィス•事務所移転の形である、居抜きによる賃貸オフィスへの移転を考えてみませんか?
解約予告期間とは
オフィス・事務所の解約予告期間とは、賃借人(テナント)がオフィス・事務所の契約を終了する際に、事前に賃貸人(オーナー)に通知しなければならない期間のことです。解約予告期間は、両者間の契約終了を円滑に進める目的があります。解約予告期間を遵守することで、賃借人(テナント)は違約金を回避し、賃貸人(オーナー)は新たな賃借人(テナント)を探す時間を確保できます。
解約予告期間は何ヶ月前?
解約予告期間は物件によって異なりますが、多くのオフィス・事務所は退去日の3〜6ヶ月前であることが一般的です。契約時に交わした賃貸借契約書に詳細の記載があるため、事前に確認をしましょう。解約予告期間を過ぎてしまった場合、日割り賃料の支払いや違約金が発生する場合があるため、注意が必要です。
解約予告期間の確認方法
解約予告期間は賃貸借契約書で確認できます。賃貸借契約書には解約条件や期間、予告方法などが記載されています。多くの場合、書面で告知をすれば良いとなっていますが、もし指定の書式がある場合は従いましょう。いずれの場合も、事前に情報収集を行い、解約予告期間に沿った手続きを進めることが重要です。
関連リンク:居抜き物件で必要な賃貸借契約書とは?確認ポイントを解説【宅地建物取引士監修】
オフィス解約の手続きと流れ
オフィス・事務所の解約手続きは、まず解約の目的を明確にし、次の移転先を選定します。その後、解約予告を行いましょう。移転先が見つかる前に解約予告をしてしまうと、解約日までに移転先が決まらず一時的にオフィスがない状態や希望の条件を妥協して移転先を選ぶ必要があることが考えられます。
ここでは一般的な解約の手続きと流れをご紹介します。
オフィスを解約する目的を明確にする
オフィス・事務所の解約を検討する際には、その目的を明確にすることが重要です。例えば、事業拡大や従業員増加によるスペースの不足、低コスト化のためのオフィス移転、リモート化によってオフィス・事務所が不要になったなど、様々な理由が考えられます。目的を明確にすることで、オフィス・事務所解約の適切なタイミングや移転先の選定、必要な手続きをスムーズに進めることができます。
移転先オフィスを選定する
移転先のオフィス・事務所選定には、事業の規模やニーズ、立地条件などを考慮することが重要です。また、居抜きオフィスやセットアップオフィスなどオフィスの種類やコスト面も比較検討しましょう。アクセスや周辺環境、社員の働きやすさやセキュリティ面も重要なポイントです。適切な移転先オフィス・事務所を選定することで、業務効率や働く環境の向上に繋がります。
契約締結後に解約予告を行う
移転先のオフィス・事務所選定が完了した後、賃貸借契約書で定められている期限で解約予告をします。移転先のオフィス・事務所が決まる前に解約予告を出してしまった場合、万が一移転準備が間に合わなかった際トラブルになる可能性があります。また、申し込みをした後でも審査に落ちてしまう場合や、他テナントが先に契約してしまう場合もあるため注意しましょう。
オフィス・事務所を解約する際に必ず必要となるものの1つが「解約通知書」。
物件によりますが、解約日の3〜6ヶ月前には提出の必要があり、提出を忘れると希望通りに解約できない可能性もあります。
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原状回復工事を依頼する
通常、オフィス・事務所の退去時には借主が原状回復工事(借りた時の状態に戻すこと)をしなければなりません。まずは工事業者から見積もりを取得する必要があります。工事業者は物件オーナー指定の場合がありますが、解約予告と同時に複数業者に相見積もりを取得すると費用交渉がしやすくなります。
原状回復工事を依頼する際は、居抜き退去も検討すると費用を抑えられるため併せて検討しましょう。居抜き退去をすると、原状回復義務を後継テナントに引き継ぐことができるため、工事費用の削減や移転期間を短縮できます。ただし、原状回復工事が始まる前までに次の入居テナントを探さなければならず、見つからない場合は原状回復工事をする必要があります。いずれにしても、早めに原状回復工事の見積もりを依頼しましょう。
新オフィスの準備をする
新オフィス・事務所の準備をするにあたって、まず移転先の住所や電話番号の変更手続きが必要です。オフィス・事務所内の内装レイアウトや家具の配置を決定し、必要に応じて購入や移動を行いましょう。
新オフィス・事務所に移転する際には、インターネット回線や電話回線の設定も必要です。従業員のPCやプリンター等の設定も忘れずに行いましょう。
また、セキュリティ対策で入退室管理や防犯カメラの設置が必要な場合は、事前に準備しましょう。最後に、新オフィス・事務所での業務が円滑に行われるよう、社員への事前説明を実施しましょう。
取引先企業へ移転の連絡をする
取引先企業へ移転の連絡をする際は、事前に通知書を作成しましょう。移転先の住所や電話番号、移転予定日等を明確に記載し、書類を用意しておきます。
通知方法としては、書面での郵送やメールが一般的です。事前に電話で連絡を行うことも可能ですが、必ず書面での郵送やメールなどテキストが残るようにしましょう。
公的機関への手続きを行う
オフィス・事務所移転や解約に伴い、公的機関への手続きが必要になります。まず、適切な手続き方法を確認し、事前に必要な書類を準備しておくことが重要です。各種公的機関への手続きには、以下の手続きがあります。
1 | 解約予告(解約通知書ダウンロード) |
2 | 健康保険、厚生年金保険適用事務所名称・所在地変更届 |
3 | 労働保険名称・所在地等変更届 |
4 | 本店移転登記申請書 |
5 | 支店移転登記申請書 |
6 | 異動届出書 |
7 | 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書 |
8 | 事業開始等申告書 |
9 | 雇用保険事業主事業所各種変更届 |
10 | 車庫証明 |
11 | 防火対象物使用開始届出書 |
12 | 消防計画作成(変更)届出書 |
13 | 防火対象物工事等計画届出書 |
14 | 防火・防災管理者選任(解任)届出書 |
15 | 転居届 |
16 | インターネット・電話回線の変更手続き |
17 | 銀行口座・クレジットカードなどの金融情報の変更手続き |
18 | 取引先への連絡 |
【関連記事】オフィス・事務所移転で必要な届出は?税務署などへの手続き一覧を網羅【宅地建物取引士監修】
引越し作業を行う
オフィス・事務所の引越し作業は、計画的に行うことが重要です。まず、引越し業者と契約し、日程や作業内容を確認しましょう。また、引越しに伴う諸費用を把握し、予算内に収まるように計画を立てます。引越し当日は、社員の役割分担や手順を明確にしておくことで、スムーズに作業が進みます。引越し後は、各部署のレイアウトや機能を早急に整えることが大切です。早期に業務が再開できるように、事前に必要な設定や準備を行いましょう。
オフィス解約にかかる費用
オフィス・事務所の解約に伴い、いくつかの費用が発生します。主に、違約金や原状回復費用などが必要です。契約内容や物件オーナーによって、費用は異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
引越し費用
引越し費用は、業者との契約内容や移転距離、荷物の量によって変わります。また、追加サービスを利用する場合費用が上昇することがあります。引越し業者に見積もりを依頼し、適切な予算を組んでおくことが望ましいです。
原状回復費用
オフィス解約時には、原状回復費用が発生することが一般的です。原状回復費用には、内装や設備の修復費用、清掃費用、廃棄物処理費用などが含まれます。ビル管理会社や契約内容によって大きく異なるため、事前に確認し、予算に組み込んでおくことが大切です。
賃料・敷金(保証金)
オフィスの賃料や敷金(保証金)は、契約時に重要な事項の一つです。通常、敷金は契約時に支払い、退去時に原状回復が確認された場合に一部または全額が返還されます。しかし、敷金の返還に関しては、物件により異なるため、確認が必要です。
また、オフィス・事務所の移転では二重賃料が発生してしまうことが往々にしてあります。
二重賃料とは、退去予定のオフィス・事務所の賃料と入居予定のオフィス・事務所の賃料の両方を支払うことです。回避するためには、退去するオフィス・事務所と入居するオフィス・事務所のスケジュール調整を綿密に行わなければなりません。
不用品の処分費用
オフィス・事務所の移転時には、不用品の処分費用も考慮する必要があります。物品の選択や業者との取引を通じて、費用を抑える方法を検討しましょう。また、不用品の処分には、環境や地域の規制に留意し、適切な方法を選択することが重要です。
移転先の内装費用
オフィス・事務所の移転に伴い、移転先での内装費用も検討しなければりません。内装費用は、新しいオフィスのデザインや機能、企業のビジョンに合わせた空間作りに必要な費用であり、事前に概算を立てることが必要です。また、専門業者と相談し、費用対効果を考慮したプランを作成しましょう。
その他の費用
オフィス・事務所移転に際しては、火災保険や公的手続きに関する費用も考慮する必要があります。火災保険料は、移転先の物件の規模や条件によって異なります。また、移転に伴う法人登記や住所変更の手続きなど、公的手続きにかかる費用も事前に確認し、予算に組み込むことが重要です。
オフィスを解約する際の注意点
オフィス・事務所を解約する際には、契約内容を確認し、違約金や手続き期間などの注意点を把握しましょう。
違約金がかかることがある
賃貸借契約によって、定められた契約期間などに違反する場合は違約金が掛かる場合があります。一般的には、契約期間内での解約の場合は残りの賃料(残存賃料)や更新料の一部が違約金として請求される場合が多いです。事前に内容を確認し、違約金が発生しない時期に解約予告をしましょう。
解約予告の取り消しは難しい
一度解約予告を行った場合、基本的に取り消しはできません(民法540条2項)。そのため、解約予告を出すタイミングは慎重に見極めなくてはなりません。移転先のオフィス・事務所が決まらないまま解約予告を出してしまうと、あっという間に退去日になり稼働する場所がなくなってしまう可能性もあるため、注意しましょう。
しかし、解約予告期間は賃貸人(オーナー)が次の借主を募集し空室期間をなくすための仕組みのため、賃貸人(オーナー)にとって同等のメリットがある理由があれば一度交渉してみましょう。
郵送物が届かないことがある
郵便物の変更届は、届出をしてから反映までに1週間前後かかります。手続きが遅れてしまうと、重要な書類や荷物が新住所に届かず、業務や取引に支障が出る可能性があります。旧住所まで取りに行かなくてはいけない場合もあり、余計な手間が掛かるため、余裕を持って手続きを進めましょう。
入居審査完了後に解約予告をする
オフィス・事務所の入居時は、住居物件と同様に審査があります。審査基準は賃貸人(オーナー)や物件によって異なります。スタートアップやベンチャー企業の場合は、賃借人(オーナー)に対してどれだけ業績が見込めるのか資料やプレゼンで説得することも必要です。いずれにせよ確実に審査に通る保証はないため、審査通過後に解約予告をすると安心です。
オフィス・事務所を解約する際に必ず必要となるものの1つが「解約通知書」。
物件によりますが、解約日の3〜6ヶ月前には提出の必要があり、提出を忘れると希望通りに解約できない可能性もあります。
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目的とスケジュールを明確にする
なぜオフィス・事務所を解約するのか、目的を明確にします。加えて、現在のオフィス・事務所での課題を洗い出し、解決できる移転先を選定することで働きやすさ向上が期待できます。定めた目的や課題に合わせて、移転先のオフィス・事務所を選定しましょう。
また、スケジュールも明確にする必要があります。契約期間や解約予告期間などを確認した上で、いつまでに退去するオフィス・事務所の手続きを終えるのか、いつまでに入居するオフィス・事務所の手続きを進めるのかを事前に確認し、漏れがないようにしましょう。
解約日を過ぎると賃料がかかる
契約を解約する際は、解約日を確実に把握しましょう。解約日を過ぎてしまった場合、契約が更新され、予期せぬ費用が発生する可能性があります。このようなトラブルを避けるためには、契約書の内容をよく確認し、解約の手続きを計画的に行うことが重要です。
また、解約には様々な理由があり、企業の状況によっては、解約手続きが煩雑になることがあります。必要に応じて、オフィス移転の専門家のアドバイスも活用しましょう。
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まとめ
目的とスケジュールを明確にし、適切な手続きを行うことで、オフィス・事務所移転の効率性や成功率を高めることができます。また、契約解除や退去に関する手続きは煩雑であり、退去サポートなどのサービスの利用が効果的です。退去サポートを活用することで、手続きのスムーズさやトラブル回避が期待できます。
営業担当者 / ハイッテ編集部 監修者
取締役
大隅識文(osumi norifumi)
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年IPPO(イッポ)を設立。ベンチャー企業が登壇する「Morning Pitch(モーニングピッチ)」の運営に長年携わる。2000社以上の繋がりからお客様同士をマッチングさせることも。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業まで移転取引社数は500社以上、うち居抜きのオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。