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オフィスを退去する際に、入居前の状態に戻すことを原状回復といいます。この記事では原状回復の概要や原状回復工事の費用相場などを紹介します。また、原状回復の費用に影響するポイントや費用を抑えるためのポイント、工事の具体的な流れなどについても取り上げているため、これからオフィスを移転する、退去するといった企業のご担当者はぜひ参考にしてください。
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オフィスの原状回復とは
オフィスの原状回復とは、オフィスを退去する際に借りたときの状態に戻した後に、貸主(ビルオーナー)に返却することを意味します。マンションやアパートなどの賃貸物件を退去する際に原状回復を求められると同様に、オフィスの場合でも原状回復が必要となるケースがあります。
原状回復に関しては、賃貸契約を結ぶ際に事前に取り決めが交わされていることがほとんどです。賃貸借契約書を確認すると退去時の特約が記載されており、具体的にどのような状態にして返却しなければならないのか確認することができます。そのため、これからオフィスを退去しようとしている企業の担当者は、まず賃貸借契約書を確認することが大切です。ちなみに原状回復は、契約書をしっかりとチェックしていても想定外の事態が発生するなどトラブルに繋がるケースも少なくありません。そのような背景もあって国土交通省では原状回復のガイドラインを定めています。
【関連記事】オフィスや事務所の原状回復工事とは?退去時の基礎知識や進め方、注意点を解説【宅建士監修】
オフィスの原状回復にかかる費用相場は坪単価3万円〜
オフィスの規模によって異なりますが、原状回復にかかる費用は、坪単価3万円〜が相場です。オフィスの規模と坪単価の関係は以下の表の通りです。
オフィス規模 | 坪単価 |
小規模 | 3〜5万円 |
中規模 | 4〜8万円 |
大規模 | 8〜12万円 |
ご紹介している費用相場はあくまでも目安として考えてください。原状回復の内容やオフィスの種類によっては前後することもあります。例えば高級グレードのビルや坪数の大きいオフィスになると坪単価が12万円を超える可能性もあるでしょう。
なお、一見するとオフィスの規模が違っても価格差はそれほどないように感じられるかもしれません。しかし、こちらはあくまでも坪単価であるためオフィス全体の坪数に換算すると差は大きくなります。例えば、50坪のオフィスで坪単価3万円であればトータルコストは150万円ですが、坪単価5万円だと250万円で100万円の差が生まれます。
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その原状回復費用、相場以上に削減できるかもしれません
原状回復の費用に影響するポイント
原状回復の費用が変動する要素には様々なものがあります。具体的な例としては以下のようなものが挙げられます。
- 水回りの回復
- 内装の回復
- 資材価格の変動
- 経年劣化部分の回復
例えば飲食店の場合、入居時に水回りを変更していると、退去時にそれらを元に戻さなければならないため、原状回復工事にかかる費用が高くなります。また、企業内に研究室を設けているがゆえに水回りを変更しているケースでも同様です。入居時に内装を変更している場合も、原状回復時の費用負担が大きくなりやすいといえます。例えば、ショールームを豪華にするためにシャンデリアを設置している、室内に暖炉を設けている、仕切り壁を作った、といったケースです。逆にいうと、内装工事をしていない場合、工事費用を抑えることができるでしょう。
そのほかに注意しなければならないのが資材価格や処分費用が変動することです。原状回復工事の際に使用する資材の価格や撤去した設備で使用していた部品の処分費用は変動するため、場合によっては相場よりも費用負担が大きくなる可能性があります。また、同じ内装で同じ広さだとしても、必ずしも費用まで同じになるとは限りません。具体的な費用はケースバイケースでもあるため、詳しくは施工業者に見積りを作成してもらい確認してください。基本的にはオフィスの変化が大きければ大きいほど、費用も高くなると考えておきましょう。
原状回復が費用相場よりも高くなるケースも
原状回復にかかる費用が相場よりも高くなるケースもあります。具体的には以下のようなケースです。
- 指定業者が決まっている
- 建物自体のグレードが高い
- 原状回復の範囲が曖昧
建物によっては、最初から原状回復を依頼する業者が決まっているケースもあります。この指定業者制度が採用されている場合、価格面で競合他社と競争するといったことが発生しないため、現状回復費用の相場よりも高くなる可能性があります。オフィスや店舗の場合、指定業者が決まっているケースが多いため、自社が入居しているビルの契約書を確認しておくことをおすすめします。
また、いわゆる高級ビルや築年数が浅いハイグレードビルなど、建物のグレードが高いために費用が相場より高くなることもあります。理由はこれらのビルは立地がよく原状回復にかかる坪単価が高めに設定されていることが多いためです。加えて、ビルの規模が大きくなると、ビルの管理に関わる会社が多くなるため、必然的に費用も高くなります。指定業者の存在や建物のグレードが原因で原状回復費用が高くなることは理解できる一方、中には原状回復の範囲が曖昧であるために費用が高くなることもあります。このような場合、どこまで回復すればいいのか明確でないため、本来であれば不要な箇所まで原状回復の対象に含んで見積りを作成される可能性があります。具体的な例としては、共用部分や設備アップグレードを含まれるといったケースが挙げられます。このような事態を回避するためにも、契約書をしっかりとチェックしましょう。不明点がある場合は早めに確認しておくことが大切です。
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原状回復が費用相場より低くなるケース
原状回復にかかる費用が相場よりも低くなるケースもあります。それは、オフィスにほとんど変化がない場合です。原状回復が必要になるケースとしては、タバコの匂いや照明器具の設置跡、結露放置に伴い発生するカビなどです。もし、これらの要素が発生しないように使用すれば、原状回復工事の規模も小さくなるため費用も抑えられます。オフィスを丁寧に使うことは原状回復の費用を抑えるためにも大切だといえます。
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オフィスの原状回復にかかる費用を抑えるポイント
原状回復費用を安くする方法は以下の状況によって異なります。ここでは、自社で施工業者を選定できる場合と施工業者が指定されている場合それぞれについて解説します。
自社で施工業者を選定できる場合
オフィスの原状回復にかかる費用を抑えるためには、見積りを比較した上で依頼する施工業者を検討することです。施工業者選びの際、1社しか見積り作成を依頼していない状態だと、提示された費用金額が相場と比べて安いのか高いのかがわかりません。また、一般的に見積りを作成する場合、最初は高めの金額を提示しているケースはよくあります。そのため、複数の業者に見積り作成を依頼した後に比較しながら検討することが大切です。見積りをチェックする際は、以下の点に注意してください。
- 不要な工事が含まれていないか
- 費用項目に不明点はないか
- 原状回復ではなくグレードアップ工事になっていないか
- 共用部の工事まで含まれていないか
など
もし可能であれば、前の入居者が原状回復工事を行ったときの内訳を教えてもらい参考にしてください。また、契約書などをチェックして、原状回復工事の範囲をしっかり把握しておくことも大切です。
施工業者がビルオーナー指定の場合
先述の通り、オフィスによっては指定業者が決まっていて、選択肢がほかにない場合もあります。このような場合は、価格交渉には取り組んでみましょう。施工業者によっては交渉に応じてくれるケースもあります。
見積を取る前に賃貸借契約書をチェック
原状回復工事の費用負担を抑えるためには、賃貸借契約書の内容をしっかりと理解しておくことです。賃貸借契約書には、原状回復工事の範囲が示されているため、理解しておくことで見積りをもらったときに不要な項目の有無がすぐにわかります。
また、指定業者の有無も賃貸借契約書には記載されています。契約書を読んで指定業者がいることがわかれば、価格交渉をするための準備を早い段階から進めることも可能です。そのほかにも、契約書をしっかりと読み込んでおけば、原状回復の範囲が曖昧な状態で記載されていたとしても、事前に不明点を明確にすることができます。賃貸借契約書を理解しておくことは、原状回復工事を行う際の大前提となります。
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原状回復工事の流れ
本章では原状回復工事が具体的にどのような流れで行われるのか解説します。原状回復工事に向けて準備を進めている企業の担当者はぜひ参考にしてください。
オフィスの契約内容を確認する
賃貸借契約書をチェックして、具体的にどのような原状回復をする必要があるのか把握します。一般的には元の状態に戻すだけで大丈夫なケースが多くなっている一方、中には特別な条件が記載されている可能性もあるため、注意してください。また、指定業者の有無についても確認しておきましょう。
施工業者へ問い合わせ
契約内容を理解したら、実際に施工業者に問い合わせをしてください。指定業者が決まっていない場合は、複数の業者に問い合わせることが大切です。複数社に問い合わせると、その後の現地調査対応や見積りの比較など手間がかかりますが、コストを抑えられる可能性が高まります。
現地調査→工事内容の確認
問い合わせをした施工業者に実際にオフィスに来てもらい現地調査を行います。現地調査をすることで具体的な工事内容や工期、コストなどが把握できるため、必ず調査をしてもらうようにしましょう。業者によっては電話やメールのやり取りだけで見積りを作成するケースもあります。しかし、現地調査なしで契約した場合、後になって追加費用が発生する可能性もあるため避けたほうがいいでしょう。
見積りや工程の確認
現地調査を終えた後に、具体的な工事費用の話へと移ります。この際、スケジュールについても確認しておき、コストや工期を踏まえた上で、依頼する施工業者を決めてください。業者を選ぶ際は、担当者の雰囲気やコミュニケーションの取り方も大切なポイントです。工事前から工事完了までやり取りすることとなるため、合わせてチェックすることをおすすめします。
正式発注・着工
施工業者が決まったら正式に発注した後に、スケジュールに沿って着工となります。
工事完了
工事が完了したら、オフィスのオーナーに引き渡しを行います。どのような形で引き渡しを行うのか事前に確認しておくとスムーズです。
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ハイッテ by 株式会社IPPOのオフィス移転仲介サービス
株式会社IPPO(イッポ)ではオフィス移転を単なる「引越し」ではなく、企業価値を高める「重要なプロジェクト」のひとつと考えています。お客様の経営戦略を元に、豊富な知識と経験ならではの多角的な提案をさせていただきます。
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まとめ
今回は、オフィスの原状回復工事の概要や費用相場などについて解説しました。オフィスを退去する場合、入居前の状態に戻す原状回復工事が必要になるケースがほとんどです。オフィスの規模によってある程度、原状回復費用の相場は決まっています。しかし、ケースバイケースで費用に差が出ることもあるため注意してください。また、指定業者が決まっていない場合は、複数業者の相見積りを比較検討することで、費用負担を抑えることができます。
営業担当者 / ハイッテ編集部 監修者
取締役
大隅識文(osumi norifumi)
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年IPPO(イッポ)を設立。ベンチャー企業が登壇する「Morning Pitch(モーニングピッチ)」の運営に長年携わる。2000社以上の繋がりからお客様同士をマッチングさせることも。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業まで移転取引社数は500社以上、うち居抜きのオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。