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【更新日】2023年6月2日
近年、飲食店だけでなく、オフィス移転でも居抜きオフィスがトレンドになってきています。初期費用を削減できるだけでなく、原状回復工事や内装工事の期間を短縮できるため、スタートアップ・ベンチャー企業に人気です。今回は、そんな居抜きオフィスの入居時と退去時ごとのメリット・デメリット、居抜きオフィスで注意すべきことを紹介させていただきます。
居抜きオフィスとは
居抜きオフィスとは、前テナント(借主)が借りた状態へ戻すための原状回復をせずに内装や設備、家具・什器を残したまま退去したオフィスを指します。全ての内装や什器をそのままにして退去するケースもあれば、一部の内装を残して退去するケースもあり、オフィスごとに契約内容が異なります。かつては飲食店での居抜きが多かったですが、近年、オフィスの居抜き物件も増えています。その背景にオフィスの空室が出た際に、空室期間を短くするためにオーナー(貸主)が居抜きを許可するケースが出てきました。ビットバレーとも呼ばれる渋谷ではスタートアップ・ベンチャー企業が集績しており、移転期間短縮とコスト削減のため居抜き入居・退去を行うケースも増えています。
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【関連記事】居抜きオフィスとは?セットアップオフィスとの違いやメリットを解説
スケルトンとの違いとは
居抜きオフィスは、前のテナントが使用していた内装や設備が残されたまま引き渡されます。これに対して、スケルトンは、内装や設備を一切設けず、床や天井のみの状態で引き渡されます。居抜きオフィスのメリットは、すでに内装や設備が整っているため、移転後すぐに事業を再開できる、つまり、入居までの期間が短縮できることです。また、前のテナントが設置した内装や設備を利用することで、新たにオフィスのレイアウトを考える手間や費用を削減できることも魅力的です。
一方、スケルトンのメリットは、自社のニーズやブランドイメージに合わせてオフィスの内装や設備を自由にデザインできる点です。また、最新の設備を導入することで、効率的かつ快適なオフィス環境を構築できますが、内装工事や設備導入に時間と費用が必要となります。それぞれの特徴を踏まえた上で、オフィス環境や予算、ブランドイメージなど、総合的な視点で居抜きオフィスとスケルトンオフィスの選択を行うことがオフィス移転成功のポイントです。
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居抜きオフィスが人気な理由
スタートアップ企業やベンチャー企業に人気の理由は以下の通りです。
●コスト削減
居抜きオフィスは、既にオフィス家具や設備が整っているため、新規で購入する必要がありません。これにより、初期投資を抑えることができ、削減した予算は採用や研究開発に回せます。
●時間短縮
居抜きオフィスは、内装やオフィス家具が揃った状態のため、契約後入居してすぐに業務を開始できます。そのため、通常オフィスで必要とされる内装工事が不要となり、1〜1.5ヶ月の内装工事期間やオフィス家具購入に関わる時間を削減できます。加えて、内装を考える時間やコンペを行っている時間の短縮にもつながり、スタートアップ・ベンチャー企業は急激な事業拡大が見込まれることがあるため、時間短縮は事業拡大にも大きなメリットがあります。
●工数削減
オフィス移転専任で業務を行う担当者は少なく、特にスタートアップ・ベンチャー企業の場合は経営者がオフィス移転業務も並行することが多いです。しかし、オフィス移転のタスクは最重要項目だけでも35項目あり、他の業務も行いながら対応するには荷が重いものです。居抜きオフィスは内装工事やオフィス家具購入の必要がないため、それに対する工数が削減できます。
●企業ブランディング
スタートアップ・ベンチャー企業は攻めた事業を展開する中で同時に企業ブランディングも必要となります。その際に居抜きオフィスに入居することで、廃棄物を減らし内装やオフィス家具を再利用することになり、SDGs目標No.12「つくる責任 つかう責任」の貢献もできます。これにより、SDGsに配慮した企業というブランディングにも繋がります。以上の理由から、スタートアップ企業やベンチャー企業には居抜きオフィスが非常に魅力的な選択肢となっています。場合によっては不足するオフィス家具の購入や追加の内装工事が必要な場合もあるため注意しましょう。
オフィス移転は退去と入居を同時におこなう大変な業務です。解約時ペナルティなど事前に想定されるトラブルを把握することで、スムーズな移転を実現できます。
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居抜きオフィスのメリット
コスト削減やスケジュール短縮ができる居抜きオフィスのメリットを入居時と退去時に分けて紹介します。
居抜きオフィスへの入居メリット
スタートアップ・ベンチャー企業が居抜きオフィスに入居する場合、下記のようなメリットが挙げられます。
- 内装工事費用・什器購入費用の削減できる
- 内装工事期間の短縮できる
- 入居後すぐに利用可能
居抜きオフィスに入居すると内装工事や什器購入のコストを削減できるだけでなく、入居後すぐに稼働開始できる場合が多いです。そのため、スピード感を重視するスタートアップ・ベンチャー企業に人気になっています。また、前テナントが残した内装の原状回復義務が引き継がれるため、退去時に原状回復を行う必要があることも念頭に入れておきましょう。もし、居抜きで退去したい場合は、再度オーナーの承認を得る必要があります。
居抜きによる退去メリット
次に退去する場合は、下記のような内容が挙げられます。
- 原状回復費用・什器の処分費用を削減できる
- 解約予告期間を短縮できる
- 引き渡し直前まで利用できる
内装をそのまま引き継ぐ、什器を譲渡することで、SDGsのNo.12「つくる責任、使う責任」に貢献し、環境への負荷軽減にも繋がります。居抜きで退去する場合、トラブル防止のために後継テナントとの間で造作譲渡契約書を締結しましょう。どの内装を引き継ぐのか、どの什器をいくつ譲渡するのかを明確にすることでトラブル防止に繋がります。
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居抜きオフィスのデメリット
居抜きオフィスのデメリットを入居時・退去時に分けて紹介します。
居抜きオフィスの入居デメリット
居抜きオフィスに入居する場合、下記のようなデメリットが挙げられます。
- 既に内装がある場合、内装をカスタマイズしにくい
- 内装に経年劣化がある場合がある
- オフィスの場合、居抜きの物件数が少ない
中には内装の老朽化により内装工事が必要なオフィス物件もあります。その場合はオフィスによって工事区分が異なり、内装によっては工事期間が数ヶ月かかる場合もあれば予定よりも多くコストがかかってしまう場合もあるので、事前に確認しましょう。また、近年、居抜きオフィスも増えていますが、飲食店に比べると物件数が少ないです。居抜きオフィスの情報が一部の不動産会社にしか開示されていないケースもあるため、仲介業者に相談する際は居抜きオフィスの仲介実績があるといいでしょう。
居抜きによる退去のデメリット
次にオフィスを居抜き退去する場合は、下記のようなデメリットが挙げられます。
- オーナーへの交渉が必要な場合がある
- 後継テナントが見つからない場合がある
- 必要な書類と確認事項が通常の退去よりも多くなる
オフィスでの居抜き物件が少しずつ増えていますが、オーナーによっては居抜き不可の場合もあります。加えて、居抜きオフィスの場合、仲介業者にとっても事例が少なく負担が大きいため対応できないケースもあります。居抜き入居を検討する際同様、居抜きオフィスの仲介実績がある仲介業者に依頼しましょう。また、居抜きによる退去の場合、内装や什器を譲渡するための造作譲渡契約書が必要です。居抜きオフィスには大きなメリットがある一方でデメリットもあります。慣れていない仲介会社が間に入るとトラブルが発生してしまうことも…。居抜きオフィス移転を多数仲介する株式会社IPPOの宅建士監修の居抜きトラブル事例を見てトラブルに備えましょう。
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居抜きオフィスに入居・退去する場合の注意点
通常のオフィスに比べてトラブルが起きやすい居抜きオフィス。注意すべきことを紹介します。
退去するまでの移転スケジュール
オフィスによっては居抜きオフィスでも内装工事が必要な場合があります。その際は工事区分を確認の上、どのような内装工事を実施するのかを決めてスケジュールを確認しましょう。大規模な内装工事や部品が届かないなどにより予定よりも工事期間が数ヶ月伸びる可能性もあります。
関係各所への確認
居抜きオフィスは通常のオフィスと異なり、オーナー、前テナントまたは後継テナント、仲介業者、内装業者の最大4社間でのやりとりが発生します。通常オフィスでは前テナントまたは後継テナントとのやりとりは基本的に発生しません。また、出資を受けている会社の場合は株主からオフィス選びの指摘を受けるケースもあります。事前に決裁の確認をしておきましょう。
造作譲渡契約の締結
内装や什器の全てを譲渡する場合でも一部を譲渡する場合でも造作譲渡契約書の締結しましょう。通常のオフィスに比べて書類が増えますが、トラブル防止に役立ちます。
【関連記事】造作譲渡契約書とは?作成ポイントや注意点も解説
退居時の原状回復義務の有無
前述したように居抜きオフィスに入居すると原状回復義務が引き継がれることになります。その際、内装によっては多額の原状回復費用が発生するため、退去時にかかる原状回復義務についても確認しましょう。前テナントが内装にこだわって特殊な内装を入れていた場合、原状回復費用も比例して高くなる傾向にあります。
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【関連記事】居抜き物件のトラブル事例&対策法を解説!事前確認の項目も紹介
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まとめ
居抜きオフィスのメリット・デメリットや注意点について紹介しました。原状回復費用を削減できたり、工事期間を短縮できるなどのメリットがある一方で、注意点が多い居抜きオフィス。スムーズに移転ができるよう事前に確認しましょう。
営業担当者 / ハイッテ編集部 監修者
取締役
大隅識文(osumi norifumi)
宅地建物取引士【東京都知事:第237969号】
中央大学卒業後、マスメディア向け制作会社に入社し経営にも携わる。その後不動産仲介会社に転職し、共同創業者として2018年IPPO(イッポ)を設立。ベンチャー企業が登壇する「Morning Pitch(モーニングピッチ)」の運営に長年携わる。2000社以上の繋がりからお客様同士をマッチングさせることも。シード・アーリー期のスタートアップ企業から上場企業まで移転取引社数は500社以上、うち居抜きのオフィス移転の取引実績は200社以上に達する。