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13年以上、シェアオフィス業界に携わる森川氏。同社のシェアオフィスに対する思いや裏側について語っていただきました。
CompassOfficesJapan株式会社
日本支社 代表
森川 和哉 氏
CompassOfficesJapan株式会社について
香港に本社を構える弊社は創業12年目を迎え、アジアを中心に世界に42拠点展開しています。全拠点でのスピーディー且つ密なコミュニケーションを大切にしているため、拠点は香港やオーストラリアなど時差があまりないエリアに展開をしています。
弊社が日本進出をしてから11年が経ちますが、今まではサービスクオリティを担保することを徹底して行っていたこともあり、日本拠点は神谷町にある「虎ノ門40MTビル」と恵比寿にある「いちご恵比寿グリーングラス」の2拠点のみでした。しかし、今後さらに段階的に拡大していくため、その一環として「Yotsuya N Club」をオープンしました。
今後、弊社は自社ブランドの展開に加えて、裏方に徹する、いわゆるシェアオフィスの設計コンサル、リーシング、運営の受託も積極的に行っていきます。ビルオーナー様はオフィスを作るプロですが、シェアオフィスとなると運営業務に慣れている会社は多くないのが現状かと思います。そこで、その運営を弊社が弊社のブランド名を前面に打ち出さずに、黒子として担っていくのです。
Yotsuya N Clubについて
「Yotsuya N Club」は、日神不動産株式会社との共同プロジェクトです。オープン前にオーナーである日神不動産株式会社よりリーシングと運営の相談をいただき、弊社がプロジェクトに参入することになりました。
四谷エリアは土地柄、士業の事務所や法律事務所関係が多いため、その業界の方々の入居が多くなるのではないかと思っていますが、現在はターゲットを明確にしてはいません。「Yotsuya N Club」に入居するテナントと共に、地域と共存し、四谷ならではの ”ここでしかない何かがある”、そう言ったビルを作っていきたいと考えています。
エントランス、レセプション
「Yotsuya N Club」は全体的に重厚感のあるホテルライクな内装になっており、レセプションは入口すぐのところに設置されています。アメリカ東海岸のホテルをイメージしています。
ラウンジ・ワークプレイス・会議室
2階に入居テナントと来訪者がミーティングや打ち合わせに使えるラウンジ・ワークプレイスがあります。オープンな内装になっているため、カジュアルな打ち合わせに使いやすいと思います。また、会議室やフォンブースも設置されています。時間貸しになっているので必要な時間だけ予約をして利用ができます。ラウンジと異なり仕切りがついているため、機密性の高い内容のミーティングの際は会議室を使うといいかもしれません。
オフィススペース
入居テナントのオフィススペースが2〜5階に計29室あります。大小様々な坪数の区画があるので、企業規模やフェーズに合わせて選べると思います。シェアオフィスやサービスオフィスの中には窓が一切ない区画もあると思いますが、「Yotsuya N Club」は全ての区画に1つ以上の窓が設けられています。窓があるだけで室内の雰囲気が明るくなるので働きやすさにもつながるのではないでしょうか。
De-Luxe SOHO タイプ
6階〜8階はSOHOタイプとなっていて、キッチン、バス、トイレが併設されています。通常の住宅用のマンションとは違い、こちらも高速WIFI、デスク、家具なども予め準備されています。受付コンシェルジュ+ラウンジ+会議室+SOHO、もちろん事務所登記も可能ということで、住居向けマンションとは一線を画したDe-Luxeな仕様となっています。
入居テナント様のための取り組み
既存の「いちご恵比寿グリーングラス」や「虎ノ門40MTビル」では、入居テナントと3ヶ月に1度、社内では、週に1度の頻度でカスタマーサポートミーティングを実施しています。そこで意見交換をして、入居テナントの皆様がより快適に過ごせるように努めています。例えば、一般的にシェアオフィスは決められた稼働時間外は空調が止まってしまったり、有料になることが多いです。しかし、「いちご恵比寿グリーングラス」は建物の設計的に熱が篭りやすく非常に暑いため、時間外も無料にしました。
このように入居テナントの皆様が意見を遠慮なく言える場を設けています。入居テナントの皆様がフラストレーションを溜めずに本来のお仕事に集中して頂くために、些細なことでも言える環境を作り出すことは必須であると考えています。
入居テナントの皆様が快適に利用できるような施策を仕掛けることも大事ですが、例えばA社にとっての「いいサービス」が、B社が「いいサービス」と感じるかというと、そうとは限りません。サービスの平準化とは、全ての入居テナントに同じサービスをするということではなく、満足度の程度を同じにすることが重要です。そのためには、その会社がどんな仕事をしているのか、何を目指しているのかなどを十分理解した上で、サービスを提供していく必要があります。
入居テナントのビジネスに対する理解を深めた上で、時には、当方からの仕掛けとして、暑い日にアイスを配ったり、集中のお供にラムネを配ったりする日もあります(笑)入居テナントの皆様に寄り添って、何をしたら喜んでもらえるかを考え、弊社が運営するシェアオフィスの価値を見出していきたいと思っています。
そういった取り組みの甲斐あってか、弊社の運営するシェアオフィスは入居テナントの約80%が初回契約期間終了後も更新契約での継続利用をしていただいており、業界では非常に高い水準をキープさせて頂いております。
この度オープンした「Yotsuya N Club」でも入居テナントの皆様に寄り添った施策を練って、より使いやすいオフィスにしていければと考えています。
まずは、その一つとして、施設のアプローチ部分に、近頃急速にネットワークを広げている”LUUP”のポートの設置を開始しました。これを入居者様がご利用いいただくことにより近隣の移動が非常に便利になります。
これからのオフィスの在り方について
シェアオフィスは、色々なコミュニティや情報の受発信ができるため、様々なポテンシャルがまだまだあると思っています。シェアオフィスフロアと基準階の賃貸オフィスフロアの面積を戦略的に構成することによって、入居テナント様のオフィスの拡大・縮小もビル内で完結できる様になって行けばよいと考えています。シェアオフィスでは、従業員数が少なければラウンジやコワーキングスペースなどの区画を利用し、多くなれば基準階の賃貸オフィススペースの区画に移動するなど、1社がそのビルの中で長く居続けることで、持続可能なオフィス環境を提供することができ、オフィスビルそのものがSDGsを体現化することが可能となります。
コロナ以降も、オフィスビルの在り方が変化する中で、その数だけは賃貸オフィスビル、シェアオフィス共に、東京を中心に数が増えて来ています。しかし、かつて立地と施設さえ良ければ入居テナントを確保できていたものが、それだけでは中々入居者が集まらないのが現実です。実際、2024年以降の竣工予定で現在設計段階にあるビルオーナー様から数社、シェアオフィスをビル内に内包することによって集客を拡大させたいとの相談をいただいております。多くのビルオーナーが「何かを変えないといけない」と考えていると思いますので、「Yotsuya N Club」のように急遽、弊社がプロジェクトに参入するようなケースは増えてくると考えています。リーシングや、運営のノウハウがないままシェアオフィスのオープンに踏み出すと、十分に集客ができずに赤字になってしまう可能性もあります。そうならないように弊社はそんなビルオーナーの黒子として、設計などのコンサルはもちろんのこと、それだけでなく、実際に自社で運営を行っているオペレーターとして、設計、リーシング、運営を一気通貫で提供し、自社ブランドを前面に押し出さずに、ビルオーナー様に寄り添ったオンリーワンのビル作りに貢献できる、そんな集団になりたいと考えています。
その中で、弊社はオフィスビルの在り方を変えるために、ハード面よりソフト面に重きを置いて参ります。世の中に溢れているものと、オンリーワンのものどちらがいいかを考えた時、大抵の人はオンリーワンのものを選ぶのではないでしょうか。基本のサービスを提供するスタンダードは必要だとしても、長く入居していたいと思ってもらえるようなサービスを提供していかなくてはいけないと考えています。つまり弊社のようなサービス提供者側は、入居テナントにとって入る意味があるオフィス作りを目指すことが不可欠になると思います。オフィスビルはこれからも新たな形を模索しながら進化を遂げていくでしょう。
編集後記
入居テナントに寄り添った運営で拡大していく、同社運営のシェアオフィスが今後続々オープンしていくことが楽しみです。
ハイッテ編集部からの一言
株式会社IPPO(イッポ)ではオフィス移転を単なる「引っ越し」ではなく、企業価値を高める「重要なプロジェクト」のひとつと考えています。
- 人員の採用計画をどうするか
- 企業ブランディングの向上をどのように行うか
- 従業員エンゲージメントを向上させるには
株式会社IPPOはお客様の経営戦略や想いに寄り添い、将来の発展を第一に考える提案をおこなっております。
スタートアップ・ベンチャー企業のオフィス移転に強みを持ち、都心オフィス仲介実績1500件を誇る、オフィスマーケットを熟知した経験豊富なメンバーが、オフィス移転を円滑に進行するよう全力でサポートいたします。