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2022年3月、ミカン下北内にオープンしたSYCL by KEIO。京王電鉄とタッグを組んで、企画から運営まで携わっている株式会社ヒトカラメディアの影山氏にコンセプトや取り組みなどを伺いました。
株式会社ヒトカラメディア
施設運営・プロデュース事業部
施設運営チーム
マネージャー
影山 直毅 氏
株式会社ヒトカラメディアについて
“企画〜構想〜運用までを一貫してサポートする、場づくりを通じた共創支援カンパニー”です。「都市」と「地方」の「働く」と「暮らす」をもっとオモシロくする、をミッションとしています。多岐に渡り事業展開しており、軸となる事業は2つあります。1つ目はスタートアップ・ベンチャー企業のオフィスにまつわる総合的な支援です。移転仲介、内装、レイアウト変更など、メンバーの皆さんが活き活きと働ける空間を作っています。
2つ目は、電鉄会社、デベロッパー、時には自治体と組んで、再開発やまちづくりプロジェクトの企画から運営まで一貫して行っています。
SYCL by KEIOについて
SYCL by KEIOがあるミカン下北は京王電鉄さんが開発・運営しているのですが、京王電鉄さんと3年ほど前から何度かプロジェクトをご一緒させていただいていました。その中で下北沢の再開発の意見交換で盛り上がって、今回もまた共創することになりました。
コロナ禍による働き方の変化の加速が進み、今までの価値観が大きく変わっていっていることをきっと多くの方が感じていると思います。下北沢の再開発を行う中で従来のように高架下を綺麗にして、ただ商業施設を入れるだけじゃダメだという話になりました。今まで主に遊び場として親しまれていた下北沢ですが、そのまま再開発をするのではなく、このタイミングで新しいエッセンスが必要なのではないか、下北沢という街だからこその何かが必要ではないか、ということで、今回新たに働くという要素を加えて再開発をすることとなりました。下北沢に働くというエッセンスを加えることで、新たな出会いや発見が生まれるような、さらに魅力的な街を作っていきたいと考えています。
今回手掛けたSYCL by KEIOは、A街区とB街区で形成されています。A街区は個人事業主の方や企業したての少人数企業向け、B街区は小中規模の企業向けになっています。
また、SYCL by KEIOの「SYCL」は「Shimokita Yellow Creative Lounge」の頭文字を組み合わせた造語が由来になっています。コンセプトカラーに「自分を解放する」、「独立心」などの意味があるイエローを採用し、エネルギーを感じられるようにしました。施設名・コンセプトカラーに、やってみたいという熱量が街中で循環するという思いが込められています。
「誰かの“やってみたい”が街とつながる」をテーマに、遊ぶと働くが混ざる下北沢ならではの新しい働き方・街との関わり方を提案していきたいと考えています。
コワーキングスペース
A街区4階がコワーキングスペースで、フロアデザインコンセプトがセッションという意味の「JAM」になっています。井の頭線に沿って細長い作りになっており、入口から見て手前はラフに過ごせるスペース、奥に進むにつれ仕事に集中できるスペースになっています。手前と奥でBGMの大きさも変えており、奥はほとんど無音状態なので、仕事内容によって使い分けることができます。そして、会議室2室、フォンブース5室と働く上での環境を担保した上で、手前にはソファー、キッチンなどリラックススペースを設けました。ウォーターサーバーや冷蔵庫なども手前にあり、メンバーが自然と集まって団欒や意見交換ができる作りになっています。
全体的に、コンセプトカラーであるイエローを採用していますが、イエローにもレモンイエローやクリームイエローなど色調が様々あります。色々な色調のイエローが混合する空間でシナジー効果が出る様を表現しています。
個室のシェアオフィス
A街区5階が個室のシェアオフィスになっています。フロアデザインコンセプト「CO-OP」のもと、家ではなくとも暮らしているように働けるような空間になっています。とにかく居心地良く過ごせるような、気取らない空間を作っているのである意味オフィスっぽくないかもしれません。
1名個室、2名個室、4名個室とありテーブルを設置しています。椅子や棚などの家具は企業側で好きな物を用意してもらえるようにしています。
オフィススペース
B街区3階から5階はオフィススペースで、8月1日にオープン予定です。10坪から30坪の7区画になっており、現時点ではIT企業などの入居が決定しています。内装はA街区に比べると少しシックでシンプルにしています。家具は7割程度用意していますが、A街区同様、企業側で好きな物を置けるようにしています。下北沢で過ごしたいという人は、個性を大切にする方が多いと考えており、そういった方達のそれぞれの個性を大事にするため、敢えて什器をフルで用意していません。入居後に各企業の色を出してもらえればと思います。
入居テナントのための取り組み
様々な取り組みをしていますが、コミュニティマネージャーが常駐していることが入居企業にとって大きなメリットになるのではないでしょうか。コミュニティマネージャーが主体となり、日常的なコミュニケーションはもちろん、テーマをつけたトークセッションやワークショップの開催などを行っています。月1〜2回ほど交流会の開催も実施しており、全体で開催することもあれば新メンバーだけで交流したりなど、内容は都度変えています。コミュニティマネージャーは基本的にキッチン周りに常にいるようにしているので、同じ会社で働いている人に声を掛けるようにお互い気軽に会話をしています。
また、「下北妄想会議」というプロジェクトも進行しています。一人一人の「こんなことやってみたい」という、会社や組織ではなく個人の妄想を起点に、下北沢の多様なプレイヤーが混ざり・つながる、きっかけの場になっています。妄想会議で出てきた「やってみたい」という想いに対し、それを実現できそうなヒトや場、パートナーをお繋ぎしコーディネートすることにより、誰かのやりたいを下北沢の街に繋げ、大小様々なプロジェクトを起こす支援をしています。
第1回はミカン下北に参画している各店舗の皆様に集まっていただき、下北沢の街やミカン下北で「こんなことやりたい」「こんなこと出来たら面白いかも」という妄想を集めました。そこから、パンと他飲食店のコラボ企画や、それを持ってバーに飲みに行けるなど、色々な企画が発案されました。今後もSYCLの「やりたい」を繋げていきたいと思っています。
その他、部活動も行なっています。これは私たちが提案したというより、気が付いたら入居企業の皆さんが自然と集まっていました。SYCLメンバー専用のSlackがあるのですが、そこでも各々交流を楽しんでいます。さらに、専用のシステムも用意しており、そこで会議室の予約等が取れるのですが、そこにSYCLメンバーのプロフィールが細かく載っているので、趣味趣向が合いそうな方をチェックすることができます。
これからのオフィスの在り方について
働き方の選択肢の拡大がコロナ禍を経て加速化しています。これは、いずれ浸透するであろう選択肢が少し早いタイミングで広がったと思っています。今まで「働く=オフィスに出社する」という一極集中だった選択肢が、オフィスに出社したり、家で働いたり、街中のどこかで働いたりと、選択肢が広がりました。リアルなのかオンラインなのかという問題もありますが、これも選択肢の一つだと考えています。全部がSYCL by KEIOのカラーのようにグラデーションになっているだけではないでしょうか。
しかし、リアルとオフラインの働き方の選択肢が広がる一方で、人は本能的に誰かとコミュニケーションを取りたがる生き物だと思っています。直接会話することで会話の温度感を肌で感じることができ、そういったリアルによって感情が動きますが、それはオフィスに集まらないと難しいと考えています。オフィスに集まって雑談をする中で、楽しい話ができたり新しい発見があったりと、議論やクリエイティブな話をすることができます。そのような皆が気軽に集まってコミュニケーションを取る場所が今後求められるのではないでしょうか。我々のように、働く場を提供する側はそういう部分を意識して作っていかなくてはいけないと考えています。
編集後記
サービスオフィスでありながら、まるでシェアハウスのようにメンバーが気軽に交流しているSYCL by KEIO。今後ここから様々なプロジェクトが発信されるでしょう。
ハイッテ編集部からの一言
株式会社IPPO(イッポ)ではオフィス移転を単なる「引っ越し」ではなく、企業価値を高める「重要なプロジェクト」のひとつと考えています。
- 人員の採用計画をどうするか
- 企業ブランディングの向上をどのように行うか
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スタートアップ・ベンチャー企業のオフィス移転に強みを持ち、都心オフィス仲介実績1500件を誇る、オフィスマーケットを熟知した経験豊富なメンバーが、オフィス移転を円滑に進行するよう全力でサポートいたします。