株式会社イデラ キャピタルマネジメントの根本氏にインタビューを実施。運用するオフィスと入居するテナントへの取り組み、同社が考えるオフィスの在り方を伺ってきました。
アセットマネジメント部門
東日本リーシング責任者
ディレクター
根本 亜希子 氏
株式会社イデラ キャピタルマネジメントについて
弊社は、2001年に設立した不動産アセットマネジメント会社です。全国のオフィス・賃貸マンション・倉庫・ホテルなど幅広いアセットを扱っています。アセットマネジメント事業・ファンドマネジメント事業を展開しており、中国の代表的なコングロマリットであるフォースン・グループや海外投資家からの投資資金から、国内の不動産を購入、リノベーションやリーシングをインハウスで実施できる強みを生かし、不動産の価値を高めております。
アセットマネジメント部門には「アセットマネジメントチーム」の他に、「リーシングチーム」と「コンストラクションマネジメントチーム」を有しており、あらゆるアセットに対して細やかに対応できる点が当社の物件運用の強みと言えます。
私の担当するオフィスリーシングは、検討テナントが内覧される際には、できる限り現地に赴き、プロパティマネジャー(管理会社)と一緒にオフィスビルのご案内をしております。検討テナントと直接お会いし、物件の説明をすることで、検討テナントへの物件のアピールをするだけではなく、どのような業種のテナントが、どのようなご事情で、どのような物件をご検討されているのかといった生の声で聞くことができます。
結果的に、現在のマーケットの動きの一部を常にウオッチすることができているのではないかと自負しております。
管理するビル・エリア
弊社が運用している物件の中で、オフィスに関しては全体の約3割で、その内セットアップにリニューアルをしたオフィスが今はほとんどを占めています。今後は、比較的ニーズが高い賃貸面積50〜100坪ほどの区画を引き続きセットアップ物件に仕上げたり、同様の坪数に分割可能な中規模オフィスビルなどをリニューアルしたりしていきたいと考えています。
また、全国の物件が投資対象ですが、今は7割程度が首都圏です。コロナ禍においても、海外投資家の投資意欲は変わらないようです。
五反田エリアに立地する「U’s-1ビル」(基準階約65坪 2021年セットアップ工事完了)は、弊社が初めて本格的にセットアップを手がけたオフィスです。「アセットマネジメント」「リーシングマネジメント」「コンストラクションマネジメント」が三位一体となり、対象となりうるテナントに合ったデザインやレイアウトを考え、内装会社と何度も打ち合わせを重ねました。
このリニューアルは、「空間の広がり」「明るさ」「コミュニケーションの取りやすさ」などを意識しました。五反田というエリアの特性から、若くて設立間もない、ITに関連したテナントに選ばれるよう、工夫したつもりです。
家具を設置したフロアに関しては、その家具を使うワーカーの目的を考えて、働くイメージがつきやすいようにしております。ラフな打ち合わせができるようラウンジを設け、ソファを置いたり気分転換で仕事ができる場、会話が生まれるバーカウンターキッチンを設置するなど意味づけをしています。
日本橋ノーススクエア 1階
「日本橋ノーススクエア」の空き予定の1階に関しては、今後、家具を設置予定です。ペンダントライトやライン照明の設置で、想像を超える明るさを確保しています。ご内見されたら思わず驚いてしまうような素敵な空間をご提供する予定です。
選ばれる理由
U’s-1ビル ラウンジ
「入居しやすい」点ではないでしょうか。そのうちの一つで、ある保証会社の「敷金ゼロ」を前面に推し出すように営業方針を変更しました。特に60坪前後の物件の場合、ご検討されるテナントは設立数年のこれから大きくなられる企業です。資金を敷金ではなく本業に充てることができ、セットアップオフィスであれば大部分の家具や照明なども新しく買う必要がないので、そういったところに入居のしやすさを感じてもらい、選ばれていると思っています。
また、数多くあるセットアップオフィスの中で選ばれていくには、ただ内装が出来上がっている空間だけではなく、ここで集まりたい、コミュニケーションを活性化させたい、ちょっとした催しをこのカウンターでしたい、など入居テナントが「夢を持てる」ような空間を作り上げていかないといけないと思っています。
実際に、入居テナントが「U’s-1ビル」を内覧した際に、「ここで働いているイメージが湧き、一目惚れで入居を決めました」とおっしゃっていただいたことは非常に嬉しかったです。
入居テナントの特徴
繰り返しになりますが、設立2〜3年ほどのスタートアップベンチャー企業が多いです。中には入居の時点から、事業成長したら数年で移転します、とおっしゃられるところもあります。少し寂しい気持ちもしますが、実際に事業拡大に伴い退去されるケースは出てきております。とはいえ、弊社が運用するビルが「出世ビル」になればいいのではと考え、喜ばしいことだとも思っています。
入居テナントのための取り組み
U’s-1ビル エントランス
「入居しやすい」の点をクリアするために、弊社では入居審査を2〜3日で出せるように心がけています。審査が遅くなると申込テナントはご不安に思うでしょうし、そもそも早く入居したいというテナントが多いので、その後の契約・お引渡しの流れも滞らないことが大切です。社内のチームワークの良さからこのスピード感は成せていると思います。
過去には、定期的な入居テナントへ向けた満足度アンケートの実施をしていました。アンケートの声から、緊急時に必要な備品・設備を取り入れた実例もあります。そういった声が今のビル運用にも生かせているのではないでしょうか。
また、日常的にビル現地へ足を運んでいるので、共用部の清掃であったり設備の確認であったり、細かいところまで気を配り共用部の確認をするようにしています。運用するビルに対する愛のようなものですし、当たり前の行動になっています。
これからのオフィスの在り方について
私個人の考えですが、時代と共に人々が生活しやすい仕組みや製品を生み出し、加速度的に利便性が高まる中、なぜ毎朝同じ時間にわざわざ混んだ電車に乗りオフィスへ向かうのだろう、と考えていました。
しかし、コロナによって、状況が少しずつ変わってきました。私の周りに限って言うと、企業にとっても個人にとっても働き方の選択肢が増えたように思います。「ワーケーション」や在宅勤務と出社の「ハイブリッド型」勤務という言葉も生まれましたね。会社によっては住宅地のシェアオフィスを借り増ししたり、本社のオフィススペースを減らしたりといろんな動きがありました。そんな中、弊社の取り組むセットアップオフィスではせっかく顔を合わせるのだから、偶発的なコミュニケーションが生まれるようなレイアウトを意識しながら、時代とエリアにマッチした物件を提供できればと思います。
今後さらに変化していくであろう、働き方・人の考え方の多様性にあったオフィスづくりを意識していきたいと考えております。
編集後記
同社の考える、「入居しやすい」ビルの在り方・取り組みについて伺いました。入居テナント・仲介会社・投資家、全ての関係者を想い、運用するビルを考え、愛する姿が印象強く残りました。
ハイッテ編集部からの一言
株式会社IPPO(イッポ)ではオフィス移転を単なる「引っ越し」ではなく、企業価値を高める「重要なプロジェクト」のひとつと考えています。
- 人員の採用計画をどうするか
- 企業ブランディングの向上をどのように行うか
- 従業員エンゲージメントを向上させるには
株式会社IPPOはお客様の経営戦略や想いに寄り添い、将来の発展を第一に考える提案をおこなっております。
スタートアップ・ベンチャー企業のオフィス移転に強みを持ち、都心オフィス仲介実績1500件を誇る、オフィスマーケットを熟知した経験豊富なメンバーが、オフィス移転を円滑に進行するよう全力でサポートいたします。