目次
- いちご投資顧問株式会社の概要
- なぜベンチャー企業に「いちごオフィス」が選ばれるのか
- Q.早速ですがいちごオフィスさんのビルにベンチャー企業の入居テナントが増加している理由を教えていただけますか?
- Q.実際ベンチャー企業の入居審査にあたっては、設立が浅く審査書類を確認する上でハードルがたくさんありますが、どのようにクリアしていますか?
- Q.特に与信面で審査の際に見ているポイントはありますか?
- Q.ベンチャー企業だとどのような会社が入居していますか?
- Q.ベンチャー企業の方は移転が早いことがありますが、そのあたりのリスク回避はどのようにしていますか?
- Q.保証会社とタッグを組んで、敷金半額や敷金ゼロ円のサービス(トリプルゼロ)を取り入れているのも、テナントの方々が入居しやすくするための施策の一つでしょうか?
- 入居テナントに合わせたオフィス設計
- まとめ
- ハイッテ編集部からの一言
今回はいちごオフィスリートを運用する、いちご投資顧問株式会社常務執行役の深澤真一氏(写真右)と運用をご担当されている佐々田道雄氏(写真左)にお話を伺いました。いちご投資顧問株式会社が保有するオフィスビルには、テナントとして数多くのベンチャー企業が入居しています。ビルオーナーとしてのベンチャー企業との関係性や、ビジネスパートナーとしてのベンチャー企業とのタッグに至る経緯などを2回に分けてご紹介いたします。シリーズの第1回目は、ベンチャー企業の入居増加の背景やビルオーナーとしての入居者 ファーストとなるビル運営や戦略、そして具体的なバリューアップ事例をお伺いしました。
いちご投資顧問株式会社の概要
いちごは、「心で築く、心を築く」を信条とした「心築」を軸として、不動産価値向上、J-REIT(いちごオフィス、いちごホテル)や太陽光発電を中心としたクリーンエネルギー事業をグループで展開。
また、スポーツ支援として、ウエイトリフティングの三宅宏実選手やライフル射撃、陸上の支援活動、Jリーグのトップパートナーとして社会貢献活動を幅広く行っています。いちご投資顧問は、資産運用会社として、いちごオフィスおよびいちごホテルの二つのJリートのほか、インフラ投資法人、私募ファンドの運用を担当。いちごオフィスでは、中規模オフィスに特化したポートフォリオで首都圏を中心に85物件ほど保有しています。
なぜベンチャー企業に「いちごオフィス」が選ばれるのか
Q.早速ですがいちごオフィスさんのビルにベンチャー企業の入居テナントが増加している理由を教えていただけますか?
まず背景からお伝えすると、ベンチャー企業の中には入居審査をしても設立年数が浅いなどの形式的な理由で入居できないといった事例があることを以前から聞いていました。
一方で、テナントの方々の心境としては事業成長のためにも良いオフィスに事務所を構えたいという思いがあるということも聞いておりました。いちごオフィスでは様々な取組みを通じて、テナント企業の成長を支援したいと考えておりますので、ベンチャー企業の皆様にご入居いただける体制を整えることに力を入れようと考えました。例えば形式的な審査だけではなく実態に即した形でしっかり信用調査をさせていただいています。受け入れるための施策を行うことで、結果的にベンチャー企業の方々に反響があり、その実績が増えてきたのかなと思っています。
Q.実際ベンチャー企業の入居審査にあたっては、設立が浅く審査書類を確認する上でハードルがたくさんありますが、どのようにクリアしていますか?
まずは事業計画書や帝国データバンクなどを利用して我々なりに分析しています。ベンチャー企業は設立して間もないことも多く、通常審査でお願いしている3期分の決算書の提出は難しい場合もあります。その際には、直近の決算書に加え月次の報告書など可能な限りの情報をいただき、詳細を見て判断していきます。あるいは外部の保証会社を利用することでリスクヘッジをしています。
また、明確な数値までは設けていませんが、900社以上の入居テナントに対しベンチャー企業に入居していただく割合を調整することでリスクをコントロールしています。
Q.特に与信面で審査の際に見ているポイントはありますか?
基準は設けていませんが、参考までに挙げるとすれば2点あります。まず事業計画上でマネタイズ面がしっかりしているかという点。次に、仮に現時点で売上がなくてもしっかり資金調達ができているかという点。決算内容の赤字黒字だけでなく、複合的に判断しリスク量を考えるようにしています。
Q.ベンチャー企業だとどのような会社が入居していますか?
具体的なテナント名については挙げられませんが、多種多様な方々に入っていただいています。起業して間もない会社や少し前に話題になった五反田バレーの加盟企業の方々も数多くいらっしゃいます。
Q.ベンチャー企業の方は移転が早いことがありますが、そのあたりのリスク回避はどのようにしていますか?
もちろん、保有ビルから別の保有ビルに移っていただけることが理想的です。一番は1つのビルとしてではなく全体の保有ビルのバランスをとりながら考えています。
また初期投資が大きいものについては、一定期間ご入居していただくケースもあります。その場合は増床も検討できるよう内装や区画構成を工夫しております。その結果、都内のある保有物件のメインテナントの方々は館内で増床を繰り返し長期的にご入居いただいています。
Q.保証会社とタッグを組んで、敷金半額や敷金ゼロ円のサービス(トリプルゼロ)を取り入れているのも、テナントの方々が入居しやすくするための施策の一つでしょうか?
テナントの方々のニーズは多様化しているので、様々なサービスを用意することで選択肢を広げることが重要と考えています。敷金半額やゼロ円のサービスなどでリーシングの間口が広がるのであれば、積極的にテナントの方々にメリットになることをやっていきたいです。
入居テナントに合わせたオフィス設計
Q.御社の取組みで入居テナントの方々から反響があった事例を教えていただけますか?
1年前に、いちご東池袋ビルで、テナントの方々専用に「いちごラウンジ」を設けた時は、かなりの反響がありました。池袋には20坪〜30坪の中小規模のビルは雑居ビルが多く、同じような規模感で共用部が充実している先進的な物件がありませんでした。そのような背景もあり、ワンフロア160坪くらいを分割してフロアの方が共用で利用できるラウンジ付きにしてみるのはどうかと思い、企画してできたのが「いちごラウンジ」です。フロアを6区画に分け、その1区画を共用ラウンジにしました。打ち合わせテーブルや、モニター、Wi-Fi、飲み物などを無料で設置して、フロアの皆さまが休憩や、ミーティングなど自由に過ごせる空間としてお使いいただいています。
【いちご東池袋ビル】
こういった共用スペースを設けることによって、入居時の内装費を抑えたり、人数が増えても移転ではなくレイアウト変更で対応できるなど、テナントの皆様に柔軟に対応しやすいとご好評をいただいています。
Q.たしかに人数の変動があるベンチャー企業にはありがたいです!その他にも共用部以外にされている取組みはありますか?
「いちご神保町ビル」で行ったいちごレイアウトオフィスですね。いちごレイアウトオフィスは、スタートアップ企業をターゲットにあらかじめ内装の造り込みや什器を設置したオフィスを提案する取組みです。いちご神保町ビルでは、可動式の什器や備品をとり揃えて、将来の社員増などを視野に入れ、人数の増減に合わせられるようにしました。
ストッパーを外すだけで簡単にレイアウト変更ができるので、テナントの方々からも大変ご好評いただいています。また、室内にドリンクスペースやコミュニケーションスペースを設けたり、社員の健康増進のための工夫として、座るだけで運動になるエクササイズチェアなども取り入れました。
Q.様々な取組みを試行錯誤されて今の反響があるかと思いますが、実践してみてテナントの方々のニーズに当てはまらないケースもあったのでしょうか?
初期費用を我々で負担して2〜3年間解約禁止という条件でテナントを募集したことがあります。この条件ではあまり反響がありませんでした。テナントの方々からすると期間を縛られたくないという方も多いので当然なのかなと思います。
Q.最近では、「いちご内神田ビル」のリノベーションをしたそうですが詳しく教えていただけますか?
「いちご内神田ビル」もいちごレイアウトオフィスの一つです。もともと内神田という土地は、ターミナル機能を持つ大手町・丸の内が周辺にあり立地に優れたエリアです。土地の単価も大手町・丸の内に比べると安く、ベンチャー企業の方々が多くいらっしゃいます。私たちとしてはテナントの方々同士がうまくビル内で交流できるような場所にしていきたいと考えています。シリコンバレーのIT企業などの設立初期のオフィスの変遷を学び、世界的な大企業でも設立当初はガレージから始まったという話をヒントに、「いちご内神田ビル」では内装にガレージというコンセプトを打ち出しました。
また、テナントの方々のニーズに応えてオープンイノベーションを促す工夫も行なっています。打ち合わせスペースや会議スペースは開放的にし、軽くディスカッションできる空間をいかに多く作れるかというポイントを重視しています。例えば人が集まりやすいソファやカウンター席を置いてみたり、壁を一面ホワイトボードにすることで、偶発的にコミュニケーションが生まれやすい環境を演出しています。
Q.様々な取組みを聞かせていただきましたが、これだけのアイデアはどのようにして生まれてくるのでしょうか?
各ビル担当者がそのビルに対してどのようなテナン卜の方々を誘致したいのかというコンセプトを決め、そこから企画・立案しています。まずは情報を集めるためにも、多方面からヒアリングを行います。物件のプロパティマネージャーや設計士の方々などの外部の意見をはじめテナントの方々や周辺エリアの意見まで調査を行います。
また男性目線での意見が多くなりがちなので、弊社チーム内での若手女性社員にも参加をしてもらい、内装の色彩や使い勝手など女性ならではの意見も出してもらっています。
まとめ
シリーズの第1回目はベンチャー企業の入居増加の背景やビルオーナーとしての入居者 ファーストとなるビル運営や戦略、そして具体的なバリューアップ事例を教えていただきました。特にオフィス内装で随所にテナントからの要望に合わせて柔軟性のある作り込みをしているのが印象的でした。次回はベンチャー企業とのビジネスパートナーとしての取組みや今後の展開を聞いていきます!
ハイッテ編集部からの一言
株式会社IPPO(イッポ)ではオフィス移転を単なる「引っ越し」ではなく、企業価値を高める「重要なプロジェクト」のひとつと考えています。
- 人員の採用計画をどうするか
- 企業ブランディングの向上をどのように行うか
- 従業員エンゲージメントを向上させるには
株式会社IPPOはお客様の経営戦略や想いに寄り添い、将来の発展を第一に考える提案をおこなっております。
スタートアップ・ベンチャー企業のオフィス移転に強みを持ち、都心オフィス仲介実績1500件を誇る、オフィスマーケットを熟知した経験豊富なメンバーが、オフィス移転を円滑に進行するよう全力でサポートいたします。