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近年、ビジネス環境の変化に伴い、スタートアップ・ベンチャー企業は特に経費削減と業務効率化に注力しています。その中で、オフィスの運営においてもコスト削減が重要視されています。本記事では、日々オフィスに向き合う株式会社IPPOがどのようにして居抜き退去を行ったのかインタビューしました。
株式会社IPPO
管理部
永原夢実子
オフィスの居抜き退去について
Before
・原状回復費用約600万円 ・オフィス家具の廃棄による費用発生・環境負荷大 ・オフィスレイアウトがマンネリ化 |
After
・原状回復費用0円、クリーニング費用の30万円のみに削減(約600万円削減) ・オフィス家具の廃棄がゼロ ・他社オフィスのレイアウトを実際に見ることで知見増加 |
オフィスの居抜き退去をして良かった点
弊社では居抜きオフィス移転コンサルティングを得意とする仲介会社でありながら、これまでは居抜き退去を経験したことがなかったのですが、今回のオフィス移転で実際に居抜き退去のメリットを感じることができました。その中で、弊社が居抜き退去のテナントになったことで特に良かったと感じた点が2点あります。
1点目は、コストメリットです。
居抜き退去をしたことにより原状回復費用を約600万円浮かせることができました。通常、事務所を借りると退去する際に原状回復義務が発生します。近年では物価上昇の影響もあり、坪単価約10万円前後が相場です。弊社の原状回復費用は見積もりの段階で坪単価10万円計算で約600万円になりました。しかし、居抜き退去したことにより、クリーニング費用のみの30万円程度で済ませることができました。この点は移転担当者として会社に費用削減で貢献できたと考えています。
2点目は、居抜きにより弊社が使用していた内装・レイアウトのまま後継テナントが入居することで、新たな使い方を発見できたことです。仲介させていただいたお客様の内装やレイアウトを見ることはありますが、今まで弊社が使っていたレイアウトからどのように変わるのかを比較することができました。また、実際に担当者目線で後継テナントと連絡を取り合ったことで、後継テナントの内装・レイアウトの小さな工夫に気づけたように思います。特に、天井を高く見せるためのデスクの選択や配置など今後のオフィス作りに生かす考えが参考になりました。今回の居抜き退去では後継テナントに対して弊社営業の利根川がオフィス移転コンサルティングを行っており、オフィス移転を通じてさらに関係値構築にも繋がったと聞いています。
オフィスの居抜き退去をして苦労した点
必ずしもどの居抜き移転で起こることではないですが、居抜きオフィス移転に慣れている弊社でも、今回の居抜き退去で大変だったことは3点ありました。居抜きオフィス移転はメリットが多数ある一方で、通常の移転フローと異なる居抜き移転ではイレギュラーな事象が発生することもあります。
1点目はオフィス移転のスケジュール調整です。
居抜き退去する際は、当然ながら後継テナントがいるため少しのズレが全体に影響を及ぼします。そのため弊社の新オフィス入居日・退去日を確定させ、後継テナントへ迷惑がかからないように調整していました。弊社の場合、新オフィスの内装工事のスケジュールが曖昧で、入居日が確定できない状態があり、この間に造作譲渡契約の準備や退去時の荷物の整理など他のできることを進めていました。
2点目は什器の造作譲渡契約です。
今回の居抜き退去では、内装の他、ソファやレストラン席などの什器も譲渡する契約になっていたため、明確に線引きをすることが大変でした。弊社の場合は、資産管理をしっかりとできていなかったため、現オフィスにある什器を全て把握するところから始めました。その後、後継テナントと必要な什器の擦り合わせを行います。具体的には「このソファーは残します」「このレストラン席は残しません」 のような形で進めていきます。事前に漏れなく、ダブりなく什器リストを作成することで、後出しで確認をする必要がなくなるため、丁寧に作り込むことをお勧めします。
また、造作譲渡契約書は後継テナントが物件審査を通過し、賃貸借契約の締結のタイミングに合わせて締結できるように案文作成し事前に調整を行っていました。弊社は居抜きオフィス移転を多数支援させていただいているため造作譲渡契約にも慣れていますが、後継テナントは居抜きオフィス移転でなければ通常は触れることのない契約内容です。造作譲渡契約の内容から流れまで利根川と一緒に説明し、事前準備をしっかりと行っていたことでスムーズに契約締結まで行えました。
造作譲渡契約はオフィスを居抜き退去する際に何を残すか、どのように引き渡すかを決めるための契約だわん!
3点目はインフラの引き継ぎです。
弊社は NURO回線を使っており、後継テナントもNURO回線を使っていたためルーターを含めて譲渡可能かの相談がありました。インフラ周りの譲渡は稀なため、私自身の知見がなくインフラ会社へ引き継ぎが可能かどうかを確認する必要がありました。その際、インフラの契約情報は契約者以外に非公開なこともあり、手続きをスムーズに進めることができずに苦労した記憶があります。
オフィスの居抜き退去の方法
居抜き退去は物件オーナーの承諾なしには行えないため、まずは解約予告時に物件オーナーや管理会社へ居抜き退去が可能か確認します。居抜き退去の承諾が取れてから後継テナントを探し、後継テナントが見つかり条件面の擦り合わせで合意した場合に受け渡しまで進めます。弊社も同様のフローでした。
居抜き退去を行う中で一番大変なことは後継テナントを探すことです。通常、居抜き物件の募集期間は解約予告をして原状回復工事の発注期限までの限られた期間で、情報も非公開であるケースが多いため、居抜き入居希望のテナントがその情報に辿り着くまでが大変です。また、入居テナント側はこの短い期間で事業計画や採用計画、内装のイメージを固めた上で入居するか検討するというハードルがあります。
弊社では居抜きオフィス情報メディア「ハイッテ by 株式会社IPPO」を運営しているため、物件情報を掲載し、後継テナントからの問い合わせを受け付けていました。ありがたいことに「ハイッテ by株式会社IPPO」や既存のお客様の中から内見に数十社、検討に3社上げていただき、最終的に条件に合意した1社が居抜き入居しました。居抜き入居希望のテナントが数十社も来ることは珍しく、弊社は非常に多くの企業に内見をしていただきましたが、実際に検討の土台に上がったのは3社だけです。内見に来て下さった企業の方と話す中で強く感じたことは、検討の土台に上がるか否かの要因は移転スケジュールが合うかどうかということです。この点が双方がマッチングしないとそもそも居抜き入居・退去が実現することは少ないです。
担当者目線では、後継テナントが見つかったとしてもその後の契約までもたついてしまうと居抜き退去ができない可能性もあるため、解約予告を出す前から事前準備をすることが大切です。弊社は先述したように資産管理をしっかりとできていなかったため、慌てて資産管理を行うことになり管理部の時間をかなり使いました。
オフィスの居抜き退去を検討する方へのアドバイス
もし居抜き退去を検討する場合、可能な限り早く不動産会社やオフィス移転コンサルティング会社へ連絡することをおすすめします。先述した通り、居抜きオフィス移転は後継テナントとのマッチングなしには成立しません。そのため、余裕を持って相談しておくことで後継テナント側に十分な検討期間を与えることができ、結果としてマッチングの可能性向上に繋がります。また、余裕を持った移転スケジュールを組むことでオフィスレイアウトの検討期間なども充分に取ることができるためおすすめです。
一般的な総務の立場だと移転プロジェクトが決まった後にアサインされ、対応することが多いと思います。しかし、居抜き退去を実現する場合、担当者が経営戦略を理解しているかどうかが大事です。経営戦略から事業計画や採用計画を見越してオフィス移転について、ただ不動産会社の提案を鵜呑みにするのではなくコーポレートサイドからも経営層に提案することが大切です。
また、今回の後継テナントのオフィス移転コンサルティングでは、弊社営業の利根川が対応していたため居抜きオフィス移転に知見がありスムーズに進めることができました。居抜き退去側も入居側も居抜きオフィス移転に知見がないと費用や時間の面でトラブルが発生する可能性もあるため、居抜きオフィス移転に精通した人や会社を間に入れることをおすすめします。
オフィスの居抜き退去に今後期待すること
居抜き退去は会社としてメリットが多く、今後さらに普及するのではないかと考えています。また、移転担当者としては会社に対する貢献度が数字で表されることはやりがいに繋がるため、もっと居抜き退去というカルチャーが広がってほしいと考えています。
一方、居抜き退去のメリットは知っているが、大変そうなイメージがついている方もいると思います。私が思うに「大変」というイメージは知見がない故に発生する手戻りの多さにあると感じています。そのため、体系的な知識を持ち、スケジュールやタスクを導いてくれる不動産会社やコンサルティング会社を見つけることで大幅に楽になります。もし、どこに相談するか迷った際はIPPOにご相談いただけると嬉しいです(笑)
編集後記
居抜き入居をした前オフィスを居抜き退去し、「JMFビル渋谷03」へ移転をした株式会社IPPO。今回、「ハイッテ by 株式会社IPPO」を通じて内見を獲得したり、既存顧客に対し居抜き入居の案内をすることにより、約600万円という大幅なコスト削減が実現できました。居抜き入退去は通常のオフィス移転とフローが違うため、実績がある仲介会社に依頼すると安心です。
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株式会社IPPO(イッポ)ではオフィス移転を単なる「引越し」ではなく、企業価値を高める「重要なプロジェクト」のひとつと考えています。
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営業担当者
セールス
利根川公紀(tonegawa kouki)
法政大学卒業後、新卒で大手インテリアメーカーに入社。自身の更なる成長を求め、株式会社IPPO(イッポ)へ参画。入社1年間で年間開拓数100件以上、会社個人目標を大幅プラスで達成する。打ち合わせや商談に縛られず、まずはランチで交流して繋がりを作る「ランチAPO」の社内文化を自ら作り、多くの案件を創出。大手デベロッパーとの500坪のオフィス契約実績あり。