目次
「ヒト(人材)」「カネ(資金)」「チエ(経営ノウハウ)」を総合的に支援する日本初の本格的ハンズオン型ベンチャーキャピタルとして1996年に設立されたグロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社。今回はインベストメント・プロフェッショナルの深川氏に同社の強みや業界についてのエピソードなどを伺いました。
グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社
インベストメント・プロフェッショナル
深川 康介 氏
【グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社】
グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社について
特徴・強み
弊社は日本初のハンズオンベンチャーキャピタルとして、プレシリーズA〜シリーズAをメインに投資を行っており、特にシリーズA以降は社外取締役を派遣するなどして支援を行っています。
スタートアップはプロダクトやお客様と徹底的に向き合うフェーズ、初期的なPMF(プロダクトマーケットフィット)を経た後に、経営リソースの配分や組織拡張、競争環境の変化に向き合うフェーズに移行していきます。プロダクト・サービスチームが経営チームに進化していくフェーズの半年〜1年程前から、弊社が同じ目線で議論するパートナーとして投資支援先と向き合い支援させていただいているのが特徴です。シリーズA以降は先のことを考えて逆算することに意味が出てくるタイミングなので、次の1年、次回調達タイミング、そして5〜10年を経て社会の公器・インフラになっていくことを踏まえ、そこに対する目線感、アジェンダ、マイルストーンを一緒にブラッシュアップしながら議論を進めさせていただいているイメージです。
さらに、グロース支援に特化した「GCP X」というチームを持っていることも特徴です。スタートアップには非連続な拡大・成長を遂げる「勝負の時」と言えるタイミングがあると考えています。その「勝負の時」の訪れの兆しをなるべく早いタイミングで捉え、急速な成長を経営の上流からサポートすべくキャピタリストと「GCPX」のメンバーがタッグを組む形で投資支援先と向き合い、会社の成長ポテンシャルが最大限発揮される様に全面支援しています。「GCP X」は経営面でのサポートはもちろんですが、経営陣の進化、リクルーティングエージェントのマネジメントなど、組織や人材面でのサポートにも力を入れています。
そして何よりベンチャーキャピタル(VC)として25年以上の歴史と経験があり、グロービスグループの政・官・財のエコシステムも存在しているので、それらを有効活用出来ることが起業家の方からはメリットに感じていただいています。
投資先のターゲット
プレシリーズAからシリーズAで1〜10億円の初回投資を行わせていただくのがメインです。その後も未来に対する目線感が合い、マイルストーンを達成している場合には積極的に追加投資させていただいており、最大で1社当たり70億円から80億円程度まで投資可能です。
領域とステージは限定しておらず、テクノロジーのレバレッジが効く領域は全て、シードやカーブアウトについても投資させていただいています。ディープテックやWeb3などの領域についても積極的にみているメンバーがおり、複数の投資実績があります。
ファンドとしては、巨大産業の進化・強化に取り組む企業や構造的に日本に優位性があるコンテンツ・カルチャーや特定のディープテックテーマなどに注目しています。
一貫しているのは、「日本でこそ、そして日本からこそ取り組む価値がある偉大な挑戦」を応援させていただくという姿勢ですね。短期で小さく儲かるという様な投資はしません。
投資する際のポイント
テーマ/市場、起業家/経営陣、プロダクト/モデルが一般的なポイントかと思いますが、特に前者2つを重視しています。
テーマ/市場の部分は、その大きさや持続性、拡張性や日本の構造的優位性などのファクト寄りの要素もですが、起業家の捉え方のアングルや将来的な進化仮説も重視しています。テーマ/市場をダブルクリックした課題構造をどの様に捉え、どこからアプローチしていくべきと考えているかという部分は投資前から多くの時間を使って議論させていただいています。
起業家/経営陣の部分は、経験や能力なども勿論ですが、双方がパートナーとして一緒に挑戦していきたいと思えるかが重要だと考えています。起業家の構想・挑戦からするとまだ折り返し地点とも言えるIPOまでですら5〜10年の時間がかかるのは当たり前であり、その間には良いことも勿論ですが、多くの困難が待ち受けているはずです。その際に立場を超えて互いにファーストコールし合える関係を築けそうか、築きたいと思えるかということを重視しています。
ベンチャーキャピタリスト(VC)と起業家は、家族ではないが次の5〜10年を一緒に過ごすことを双方コミットしている、頻繁に連絡を取り合うが利害関係の無い友達という訳でもないという何とも特殊で絶妙な関係性です。その中でどう転んでも、互いに長い付き合いで過ごしていこうと思えるか、その様な信頼関係を築けるかが非常に大事だと思っています。
深川氏について
VC業界で働いている理由
学生時代は外交官を志していたのですが、紆余曲折を経て、新卒ではコンサルティング会社に入社しました。そこで約6年間大企業の経営改革支援などに携わらせていただき、その後イギリスへMBA留学にいきました。ちょうどその期間がコロナ禍と重なり、時間だけはあったので、数百人の方とオンラインでお話しさせていただき、色々悶々と考えた末、自分の残りの人生の時間は新産業・事業の創出に使おうと決めました。その後、起業/スタートアップ/ベンチャーキャピタルに様々な形で関わる機会を得て、最終的には一番腹落ち感があり、20〜30年の時間をかけて取り組みたいと思えたベンチャーキャピタリスト(VC)という生き方を選びました。
投資後の付き合い方
成長支援、追加調達支援からイグジット(Exit)支援まで全てカバーしています。月に1〜2回の定期的なミーティングに加え、年1〜2回の経営合宿でも一緒に議論をしています。経営合宿ではいくつかのアジェンダと資料をこちら側で準備することもあります。採用についてもキーポジションについては面接に同席させて頂き、一緒に見極め・口説きを行っています。アドホックなディスカッション、電話、チャットなどは常に実施しており、情報シェアやコネクションの紹介などは勿論ですが、真面目な会話だけでなく、ほぼ雑談の様なカジュアルなやりとりもしています。
投資先とのエピソード
1つ目は株式会社スマートバンクとのエピソードです。私がMBA留学時に滞在していたイギリスはFintech先進国で、FinTechサービスがかなり発達しています。滞在当時から様々なFintechサービスをマニアの様に使っていました。スマートバンク社の提供しているB/43というサービスは、経営陣がイギリスに滞在しFintechサービスに触れる中で構想を具体化していっており、経営陣の強さやPMFの濃さも勿論ですが、何よりテーマ/市場の未来を語り合うのが楽しかった。
同社のB/43というサービスは、私もユーザーとしてマニアックに使い倒させていただいています。私自身、SNSでサービスへの感想をエゴサするのが日課になっているのですが、スマートバンク社の方が「そんなにエゴサしているなら」ということで、検索キーワードリストを送ってくれるという出来事もありました(笑)
2つ目はManabie International Private Limited.とのエピソードです。実は同社は、元々弊社が投資していたQuipperという会社の創業メンバーの1人が立ち上げている会社です。QuipperもManabieもEdtechの会社なので、同じ領域に10年挑戦する中で、再度ご一緒出来ているという状況にエモさと覚悟を感じています。
同社は経営陣も含めて組織の7〜8割が海外の方で、ボーン・グローバルな企業です。東南アジアに100人超えで優秀なエンジニアを抱えており、そのエンジニアチームが最速で作り上げたものを日本のお客様に提供しています。また既にアジア展開も実施しており、日本人が経営するスタートアップではまだかなり少ないアジアから日本へ、そして日本から世界へという挑戦を行っている会社です。
最近注目している業界
FinTech、AgeTech、Blue Economyに注目しています。また一貫して産業進化/強化、ボーン・グローバルはテーマとして持っています。
Agetechについては、留学中に「LIFE SHIFT」の著書や「人生100年時代」というフレーズで有名なリンダ・グラットン先生の授業を受けており、どう生きるか・どう老いていくかに興味を持つようになったことがきっかけです。授業を受けていた際にも、この領域においてどの様なモデル・スタートアップが日本から出てくるかは世界中から注目されていると感じました
また海洋国家日本には水・水産業関連の産業・技術集積がありBlue Economyというテーマでも日本発のモデルが生まれてくるのではないかと期待しています。
今後の展望
政策や大企業の動きを見ていても、日本社会全体がスタートアップや新規事業を含む「新しい挑戦」に賭けていると感じています。そういう意味で、次の5〜10年が日本のスタートアップエコシステム、ひいては社会全体にとって「勝負の時」になることは間違い無く、我々も覚悟を持って、健全なプレッシャーを感じながら日々動いています。お金の流れのみならず、人の流れを変えることにも貢献したいと考えており、大学生向け・社会人向けの起業家養成講座やアクセラレータなどにもより一層力を入れていきます。ここで新産業の創出や産業進化が起こせることが証明され実感出来れば、「新しい挑戦」に対する「希望」が生まれ、より多くの挑戦者が登場し、うねりがどんどん増幅していくと考えています。
興味があるもの
人との対話と新しい場所を訪れることですね。人との対話はベンチャーキャピタリストという生き方で満たすことが出来ているので、プライベートで特に興味があるのは新しい場所を訪れることです。
人生のうち6〜7年は海外で過ごしており、50ヶ国ほど訪れているのですが、特に自然環境の偉大さに何とも言えない興奮を感じます。タイで農作業をしたり、ネパールの山奥の村で幼児教育の教員をしたり、南アフリカで戦略コンサルタントとして働いていたこともあります。ちなみに、ラオスの象使いの免許も持っています(笑)
編集後記
東京大学での学生向け授業に加え、Globisが開催する「G-STARTUP」の他、複数のアクセラレータプログラムでメンターとしても活動している深川氏。ソフトな喋り方ゆえに、グロービス・キャピタル・パートナーズ内ではウィスパー深川と呼ばれているとかいないとか(笑) 資金調達の相談がある方、深川氏のウィスパーボイスを聞いてみたい方は、是非お問い合わせください。
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