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サンフロンティア不動産株式会社の小田氏にインタビュー。
注力している、リプランニング®(不動産再生事業)のセットアップオフィスの今までとこれからについて伺ってきました。
サンフロンティア不動産株式会社
執行役員 アセットマネジメント本部
リプランニング事業部長 事業部統括責任者
小田 修平氏
<事業内容>
自社でビルを購入し再生する「不動産再生事業(リプランニング事業)」を主力事業とする「サンフロンティア不動産株式会社」。都内5区を中心に、中小型オフィスビルの活性化による豊かな街づくりに取り組んでいます。「テナント企業の成長が加速するオフィス」をコンセプトに、2013年よりセットアップオフィスの供給を開始、日本一の供給数(自社調べ)となります。
セットアップオフィスの誕生と変容
誕生
リプランニング事業としてセットアップオフィスを作り始めたのは2013年です。2008年のリーマンショックにより、テナントが入居後数ヶ月経たないうちに移転してしまい原状回復が多発していて、せっかくお金をかけて作った内装をまた壊さなくてはいけないというのは勿体無いと感じていました。そこで、当社にて居抜きオフィスのポータルサイト「そのまんまオフィス」を開始したところ、人気を博し在庫が少なくなってしまったため、自社ビルに約200万円をかけて応接室を設置し提供し始めたことが、当社のセットアップオフィスの第一歩でした。
2013年から本格的にセットアップオフィスの提供をスタートし、都心5区を中心に、ビルにおいてセットアップオフィスを作り続け、需要と認知度も徐々に高まり、昨年1年間ではおよそ100室の供給をしています。現在、サンフロンティアが管理するセットアップオフィスの総数は800室以上です。
2020年からは、コロナ禍で働き方の変化やオフィスの規模縮小といった動きもあり、さらに需要が高まっています。移転してすぐ始業でき、初期費用の軽減できる点からもほぼスタートアップベンチャーの入居が9割を占めています。その中で、当社としてどのようにテナントの成長を促せるかがセットアップオフィスを作る上でのポリシーです。
変容
画像:+SHIFT GINZA EAST
セットアップオフィスは時代により変容を遂げています。主に流通している現行モデルのセットアップオフィスは、当社では第四世代と呼んでいます。セットアップオフィスが誕生した当初の第一世代は、エレベーターホールの拡張からスタートし、そこに受付を設置する、椅子を置き待合室とするなど変化をしました。
さらに空間を広げることでラウンジとしての機能を持ち、第四世代へと進化していきました。このラウンジは社内コミュニティを活性化するための機能をイメージしていて、来客対応もでき、プロジェクターの設置をすることで新製品発表会やセミナーの開催としても利用可能です。ビジネス外では、パーティーなどの活用もできるので、多彩なシーンを演出しています。こういったシーンを通じて、テナントの心理的安全性の促進に繋がると考えています。
この第四世代の特徴は、多彩なシーンを演出する広いラウンジと、意匠・機能両面の高いデザイン性です。機能的には、ジャストスペックの探求をしていて、例えば、席数やトイレの数、デスクの高さ、フォンブースの設置など細かいレギュレーションを微調整し変えていくことでスペースの投資効率の最適化を考えています。そうすることで余剰スペースを生み出し、コミュニケーションの場となる広いラウンジスペースを生みだしています。ガラスパーテーションなどを用いて開放感を保ちながら、2つのエリアをうまく線引きし、40坪ほどのフロア内でもラウンジと執務スペースをおよそ半々でうまく作ることができています。
充実した機能を持つ執務スペースが十分にありながらも、コミュニケーションのスペースを持ち、そこでできることを増やし続けている点が、当社のセットアップオフィスのこだわりです。
第五世代のセットアップオフィス
現在は、セットアップオフィス第五世代の研究開発を進めています。この第五世代というのが、活性化されたコミュニティにより、入居テナント同士のネットワーキングを付加価値にしている「A YOTSUYA (エーヨツヤ)」「+SHIFT NOGIZAKA(プラスシフト乃木坂)」「LIT(リット)」の3ブランドです。
第五世代では、料金面や契約条件面でより入居しやすく、フレキシブルオフィスの体系をとっています。また、なんといっても出会いが生まれ、刺激的な体験が得られる場の提供が最大の特徴ですね。
素材にこだわった内装や、アートギャラリーのような空間、海外風のデザインとまるでカフェのようなレセプションを持ち合わせるなど、内装だけでみても今までのセットアップオフィスから比べると、かなり個性的なデザインとしています。
そもそも、第五世代はセットアップオフィスの中で、ファッション雑誌が持つような作り込まれた世界観のブランド作りをしたい、というところから始まりました。いわゆる、オフィスの内装で一般的とされているグレーカラー基調の8割の人に受けるものから、色を使ったオリジナリティのある個性を追求したセットアップオフィスをもっと作っていきたいですね。
<A YOTSUYA (エーヨツヤ)の記事はこちら>
スタートアップベンチャーが集まるセットアップオフィス
入居するテナント
当社のホームページにも記載している入居率91.18%(※賃貸面積ベース)というものは、管理している3,000室以上の一般オフィスも含めたフロアでの数字です。リーシング・管理などあらゆる面を社内で内製化し、フィロソフィーな絆を持って連携しているので入居率に繋がっているのかもしれません。
この数字の中で、入居テナント企業はスタートアップベンチャーが多いため、成長の早い企業の場合、短期間で拡張移転をすることもあります。そのようなテナントを引き止めるというよりも、出ていくテナントの事業成長を応援し、また次に入居する企業との出会いに期待して、入居を決めたくなるような新たな施策を打ち出していくことに注力しています。
また、セットアップオフィスに入居されるテナントはやはり、スタートアップベンチャーの企業がほとんどですね。業種は様々ですが、特にIT系が多い印象です。拡張移転として出ていく企業が多いので、作っているビルの多くが出世ビルといえるのかもしれません。
テナントとの結びつき
第5世代セットアップオフィスだと、ラウンジを利用して入居している企業同士がコミュニケーションを深めています。テナント企業間で業務の情報交換をしたり、実際にビジネスに発展したり、業務外では映画を観たり食事をしたり…多くの人が参加できるようにあらかじめ時間を決めるなど独自に工夫しているようです。いわばシェアハウスのみんなのリビングみたいな感じです。
当社からもイベントを持ち込んでいます。イベントを通してテナント企業同士の交流を生みだすことはもちろんですが、当社と入居テナント企業との結びつきもできます。
また、当社のイベントに参加したテナント側がSNSに投稿、発信してくれることも多くそういったことからUGCも出来上がっているのも嬉しいですね。ただ、働く場であることは大前提なのでイベントのコンテンツ内容や日時など細かいポイントも意識しつつテナントとの信頼関係を第一に考えて特別な体験を提供していきたいです。
オフィスビルの在り方
私が考えるオフィスビルは賃料をもらったり入居したり、そういった当たり前の流れだけの箱ではなくテナント企業の成長に繋げるための場でありたいですし、それを作っていきたいです。テナントが成長することはそれだけではなくて、入居しているオフィスのある街の活性化になり、国の経済成長に繋がるでしょう。いわば、街づくりと経済的社会貢献に影響すると思っています。
私たちが作るオフィスビルで、東京のオフィスシーンをもっと面白い環境にしたいです。セットアップオフィスであれば、スタートアップベンチャー企業が多く集いますし世界中から注目されて入居する企業の資金調達周りの役にも立てたら嬉しいです。
街の再開発を直接的に行うことはできなくても、スタートアップベンチャー企業が働きやすく、これからを担うZ世代の人たちのアイディアを発信し起業しやすくなるようなネットワーキングのあるオフィス環境を提供して、東京を素敵な街にしていきたいです。
スタートアップのシード期、アーリー期でのオフィス体験を提供して、過去を振り返った際に当社が思い出の一部になっていたら素敵ですね。
編集後記
時代ごとに変化を遂げる同社のセットアップオフィスの今までとこれからについて伺いました。入居テナント同士のコミュニティ作りを支援するような仕組み作りが魅力的でした。
ハイッテ編集部からの一言
株式会社IPPO(イッポ)ではオフィス移転を単なる「引っ越し」ではなく、企業価値を高める「重要なプロジェクト」のひとつと考えています。
- 人員の採用計画をどうするか
- 企業ブランディングの向上をどのように行うか
- 従業員エンゲージメントを向上させるには
株式会社IPPOはお客様の経営戦略や想いに寄り添い、将来の発展を第一に考える提案をおこなっております。
スタートアップ・ベンチャー企業のオフィス移転に強みを持ち、都心オフィス仲介実績1500件を誇る、オフィスマーケットを熟知した経験豊富なメンバーが、オフィス移転を円滑に進行するよう全力でサポートいたします。